科研費 - 市原 寛
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海洋アセノスフェアの粘性率を制約するための海底物理観測・モデリング国際協働研究
研究課題/研究課題番号:23H00138 2023年4月 - 2027年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(A)
馬場 聖至, 一瀬 建日, 竹内 希, 竹尾 明子, 森重 学, 杉岡 裕子, 松野 哲男, 多田 訓子, 市原 寛
担当区分:研究分担者
本研究は、マントル深部からの上昇流とリソスフェアとの相互作用と、ハワイプルームによって形成されたハワイ・天皇海山列が途中で屈曲する形状を組み合わせた着眼点から、海底電磁気・地震観測とダイナミクスモデリングの協働により、海洋アセノスフェアの粘性率構造を制約することを目指す。所期の目的を達成するため、史上最大規模の電磁気・地震合同観測アレイをミッドウェイ島北方海域に設定し、国内およびドイツの海域地球物理観測グループと協働して実施する。観測データから推定されるアレイ下のマントル電気伝導度構造、地震波速度構造を、ダイナミクスモデリングによるマントルの流動パターン予測と対比させつつ、包括的に解釈する。
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人工電磁周波数コム信号による火山の精密モニタリングシステムの構築
研究課題/研究課題番号:20H01992 2020年4月 - 2023年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
小川 康雄, 市原 寛, 南 拓人, 石須 慶一
担当区分:研究分担者
火山の噴火予知研究では、地下のマグマや熱水系の分布を解明し、その時間的な変動を監視する観測が重要である。比抵抗はマグマや熱水や粘土鉱物の分布に敏感な物理量であり、地表での電磁波の観測から、地下の比抵抗分布やその時間変動を検知することができる。地下の比抵抗分布の時間的な変動を精密に監視するには、精密に制御された人工信号を利用する電磁場観測が必須である。本研究では、精密に制御された2系統の信号系列送信し、多数の受信機で常時取得することによって、革新的な精度で火山の3次元地下構造を常時モニターするシステムを開発する。草津白根火山でこの実証実験を行う。
(1)人工電磁信号の送受信システムの運用:昨年度に引き続き、草津白根山南麓において2方向の電流電流ダイポールを用い、周波数10Hz から0.01Hz の帯域で周波数コム信号を2系列出力し、繰り返し周期100秒および10秒にて5月末から5ヶ月間にわたり送信した。送信システムとしては、ファンクションジェネレータをGPS時計で10MHZの精度で同期同調させて、コム信号を2系統出力し、それを2系統のパワーアンプで増幅し、ダイポールに通電した。受信システムとしては、広帯域MT電磁場測定装置および、低消費電力電場ロガーを草津白根山湯釜火口周辺に展開した。受信機は、夏季に落雷による被害を受けたため、機器の修理および避雷対策を行った。
(2)送受信信号処理プログラム作成:送受信時系列から、信号成分を取り出すために、1時間スタックデータを単位として処理するプログラムを作成した。受信機の時系列から人工送信源の正弦波信号を取り出すために、当初信号成分とドリフト成分に分離する方法を検討したが、信号成分がドリフト成分に混入することが確認されたため、時系列処理にあたっては、単純に受信信号をスタックすることとした。
(3)モデル計算:3次元インバージョンコードを用いて、水蒸気噴火場における、水蒸気発生の検知能力を検証した。表層の低比抵抗・低透水性の粘土キャップの下方に生ずると考えられる高比抵抗層を示す水蒸気層を高感度に検知できることが確認された。この構造は、従来の自然信号を用いたMT法では検出できない。
(4)MT応答の時間変化:送信する信号成分が高度に制御されたスパースなラインスペクトルからなり、かつ振幅も小さいので、人工電流源を流しつつ、MT観測も可能になる。湯釜火口のデータを5ヶ月間に渡り日別に解析し、地表表層の比抵抗変動と深部の比抵抗変動に分離することに成功した。
昨年度に比べ新型コロナウイルス感染拡大防止の措置が緩和されたため、野外観測の機会が増え、5ヶ月間にわたる野外観測を実施することができた。また送受信信号処理プログラムもほぼ完成することができた。
また、水蒸気噴火の切迫度を表すと思われる地下の水蒸気の出現に相当する薄い高比抵抗層の出現が、人工電磁探査では検出できることが、数値モデル実験によって示された。このことは、従来の自然電磁場を用いたMT法探査では不可能なことであり、本手法が将来的に水蒸気噴火の予知にとって重要な技術になる可能性を示すことができた。
さらに、送信する信号が特定の周波数に限定されており、信号強度も自然信号より微弱であるために、人工信号を流しつつ、自然信号を用いたMT法観測も、同時に連続観測できることがわかり、自然信号を用いた時間変動観測と併用することができることがわかった。将来的には、人工信号と自然信号をジョイントして解析することによって、それぞれの構造に対する感度の違いを利用した高度な観測が可能となると予測された。
2021年度に引き続き、本格的な観測の運用を行い、データを蓄積する。ひきつづき、時系列処理におけるS/N比の向上を目指す。
数値モデル計算から、送信信号源を受信機に近づけることで、水蒸気層の出現による高比抵抗層の出現の検出能が高められることがわかったので、2022年度は、既存の草津白根山南麓の送信アンテナに加えて、草津白根山山頂に近い地点にも送信源を設置する予定である。これにより深部を対象とする遠方の送信源と、浅部を対象とする近地の送信源と配置し、同時に送信する。信号系列は合計で4系統になるが、これらはわずかに異なる周波数を選ぶことによって、同時に送信しても受信側で混信することはない。
また、有限要素法を用いた地下構造モデリング計算を進める。副次的に得られる自然信号を用いたMT法観測データについても、その時間的な変化を引き続き観測する。 -
研究課題/研究課題番号:20K04105 2020年4月 - 2023年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
市原 寛, 北田 数也, 多田 訓子
担当区分:研究代表者
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
近年、火山山頂部および火山島などの「観測の空白域」において、ドローンを用いた遠隔観測が注目されている。しかし、深部比抵抗構造の解明に重要な電場観測は難易度が高く研究例はない。本研究は、海底で先行している遠隔電場観測の技術を応用してドローン電場観測を行い、陸上の「観測の空白域」における地下の電気比抵抗構造の解明を可能にすることを目的とする。令和2-3年度はおもに装置の開発を行い、令和3-4年度に検証試験および研究成果の発表を行う計画である。本観測によって得られた知見は、将来的に月および火星等における惑星内部構造解明に向けた探査にも活用可能であると期待される。
火山山頂部および火山島は噴火予測や火山活動そのものの理解において重要な観測域であるにも関わらず、アクセスの困難さおよび安全面から「観測の空白域」であることが多い。特に、ケーブルを展張しての設置が必要となる地球電場において、観測の難易度は高くなる。このため、本研究はUAV(ドローン)を用いた地表設置による電場観測を実現し、これらの難観測域における電気比抵抗構造の解明を可能にすることを目的とする。具体的には、UAV本体に取り付けた電極とUAVに吊したケーブルの先に取り付けた電極を距離を開けて着陸させ、電極間の電位差を測定してMagnetotelluric法の電場データとして活用する構想である。
2021年度は、UAVによる運用の基礎試験および測定機器の試験を実施した。UAVの飛行試験は、COVID-19感染症による行動規制により、分担者が所属する研究機関のある横須賀市内の比較的人工物の少ない地域において実施した。この試験により、機材を模した錘を吊した状態での飛行、着陸の際の制御方法などの検証を行った。次に、簡易な電場ロガーを用いた高サンプリングレート(1024 Hz)での電場測定の試験を行い、問題なくデータが取得できることを確かめた。また、および埋設しないで電場を観測するための設置素材の検討をおこなった。一方で、研究開始当初購入を予定していたUAVが販売停止となり、また、セキュリティ問題により購入可能なUAVに制限が生じたことから、購入する得UAV機種の再選定を実施した。
2020年度に生じた購入を想定していたUAVの販売停止、およびセキュリティ問題による購入可能なUAVの制限によって、実際の観測に用いることが可能なUAVの予算内での購入が困難な状況となっている。このため、2021年度もUAVの購入ができていない。また、COVID-19感染症の影響により、2020年度に引き続き観測に制限が生じており、2021年度は横須賀市内での限定的な試験のみ実施した。したがって、本年度の研究は想定よりもやや遅れている状況にある。
2022年度は実際のフィールドに環境の近い御嶽山山麓部にて観測試験を実施する。また、電極を埋設しない方策の電場の観測試験を実施する。 さらに、UAVへの装置の装着、電場測定装置の展開方法の検討、配置した電極の配置(電極間距離および方向)の計測を他のUAVを用いて測定する方法を確立する。これにより、本研究の目的である遠隔地での電場観測に必要な技術要素の全てを確立することを目指す。ただし、予算内でのUAVの購入が困難になることが予想されることから、実際の難観測地域での電場観測は実施しない可能性がある。 -
フィリピン・タール火山におけるその場観測に基づくマグマシステムの発達過程の研究
研究課題/研究課題番号:19KK0084 2019年10月 - 2023年3月
科学研究費助成事業 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
熊谷 博之, 堀田 耕平, 大倉 敬宏, 楠本 成寿, 大場 武, 市原 寛
担当区分:研究分担者
噴火に至るマグマシステムの発達過程を、次の噴火が迫っているフィリピン・タール火山を対象に地震学・電磁気学・火山化学・測地学的手法を用いて解明する。これまでの研究により、この火山では脱ガスを起こしているマグマが浅部に存在することが推定されている。本研究では、この変動源の直上において地震および電磁気観測を強化するとともに、面的な重力測定を行う。これにより、散乱・速度・比抵抗・密度構造を詳細に調べ、マグマの状態とその時間変動を解明する。さらにそれらの結果を火山ガスの測定結果や圧力源の推定結果等と比較することにより、火口で活発に起こっている噴気活動と関連性を調べる。
本研究では2020年にタール火山で起こった噴火に伴い、地震波伝播構造・電磁気構造・重力・地殻変動・流体組成にどのような変化が起こっていたかを解明することを目的としている。2021年度の研究により、タール火山で発生した火山構造性地震の散乱波の継続時間を表すエンベロープ幅の逆問題解析から、地震散乱波の強さを示す平均自由行程と非弾性減衰を推定する手法の開発を行った。さらに、その手法を2011年10月から噴火直前の2020年1月までに発生した地震のエンベロープ幅データに適用し、火山島東斜面において浅部マグマが存在すると推定されていた領域における平均自由行程と非弾性減衰の時間変動の推定を行った。その結果、噴火直前にそれらの推定値が系統的な変動を示し、特に平均自由行程がCO2ガスの放出量と相関する関係が見られた。これはマグマにおける揮発性成分が脱ガスして生じた気泡によって地震波散乱の強度が変わったことによると解釈された。ただし、平均自由行程と非弾性減衰の時間変動の推定量はばらつきが大きく、推定精度に関する検討が今後必要である。また、2017年にタール火山島で測定された重力値からブーゲー異常を求めた結果、タール火山は高重力異常がカルデラ内に存在する火山であり、火山島の麓から火口湖に向かって重力異常値が大きくなる特徴があることが分かった。さらに、衛星画像(InSAR)により噴火前には長期の収縮があり、直前に膨張が起こったことが分かった。
コロナ禍によりフィリピンへの出張ができなかったため。
昨年度までの研究により、タール火山で発生した火山構造性地震の散乱波の継続時間を表すエンベロープ幅の逆問題解析から、地震散乱波の強さを示す平均自由行程と非弾性減衰を推定する手法の開発を行った。さらに、その手法を2011年10月から噴火直前の2020年1月までに発生した地震のエンベロープ幅データに適用し、火山島東斜面において浅部マグマが存在すると推定されていた領域での平均自由行程と非弾性減衰の時間変動の推定を行った。しかしながら、それらの推定量はばらつきが大きく、推定精度に関する検討が必要であることがわかった。そこで、本年度はこれらの検討を進めるとともに、推定された平均自由行程と内部減衰の時間変動と、火山ガスの放出量、火口湖水の組成変化、GPSおよびInSARにより推定された火山島およびその周辺での地殻変動との関係を調べ、噴火に伴うマグマ溜まりおよび火道におけるマグマの挙動を解明する。その成果を国内外の学会で発表するとともに、論文としてまとめ国際誌に投稿し出版する。さらにコロナ禍による渡航制限が緩和され次第、フィリピン火山地震研究所を訪問し、これまでに得られた研究成果に関する議論を行うとともに、噴火後の観測データの共有を進める。さらにタール火山およびその周辺地域における電磁気・重力観測を行い、噴火後にどのような地下構造の変化が生じたかの解明を進める。 -
大規模フラクチャーの強度・透水性を非破壊技術で把握できるか?
研究課題/研究課題番号:18H03894 2018年4月 - 2022年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(A)
後藤 忠徳, 柏谷 公希, 山口 覚, 西尾 嘉朗, 笠谷 貴史, 市原 寛, 田所 敬一, 村上 英記
担当区分:研究分担者
陸上や海底に数多分布する大規模なフラクチャの透水性や力学的強度を知るために、本研究では、地殻の非破壊探査(電気・電磁探査および地震探査)と地質学的・地球化学的調査を組み合わせた新たな技術を開発した。全岩の透水係数を適切に推定できる岩石物理モデルの構築、岐阜県阿寺断層周辺の地下構造の精密可視化、南海トラフ熊野灘における海底下構造調査などを実施し、海・陸の断層破砕帯沿いの高間隙・高透水ゾーンの議論を実施した。
陸上や海底に分布する活断層は様々な活動度を有している。従来の地表付近での地質学的な活動度推定は有効ではあるが、大規模な活断層やそれに伴う大きなフラクチャについては、空間的な分布範囲が広く深いため、フラクチャの強度や透水性を把握する技術がなかった。本研究によって、物理探査による広域・間接的な情報を用いることで、この問題を克服するための基礎的知見を得ることに成功した。 -
研究課題/研究課題番号:18H01319 2018年4月 - 2022年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
多田 訓子, 馬場 聖至, 市原 寛
担当区分:研究分担者
西之島は2013年11月に活動を再開した小笠原孤の火山島であり、現在も活動が続いていることから、海域火山を研究する上で貴重なフィールドである。本研究の目的の一つは、西之島の地下の電気伝導度構造を求めることによって、西之島のマグマだまりの位置や大きさを解明することである。そのために必要な観測データを取得するために、これまで、海底電位磁力計(OBEM)を海底に設置してきた。
2020年12月と2021年1月の2回の航海で、海底に設置していたOBEMの自己浮上による回収と、無人ロボットを使用した回収を試みた。その結果、自己浮上によって2台回収することができたが、どちらも海底設置中に海底で数km移動していたことが分かった。無人ロボットで設置した海底付近でOBEMの捜索を行ったが、発見には至らなかった。その後、2021年2月に、西表島に1台のOBEMが漂着したため、現地に赴いてデータと機器を回収することができた。
一方で、2019年に実施したドローンによる空中磁気探査のデータを解析し、西之島の地下約1kmまでの三次元磁化構造を求めた。2019年の時点では、西之島の表層から地下1kmまでに、高磁化の領域が2箇所存在していたことが分かった。この結果を査読付き国際誌に投稿するように準備を進めている。
西之島に設置していたOBEMを4台回収することができなかったが、1台は漂流し、西表島でデータと共に回収することができた。西之島から西表島までOBEMが漂着した事実を元に、他分野の研究者とも協力して、新たな研究内容を進めている。
回収したOBEMのデータの解析を進め、西之島の三次元電気伝導度構造を推定する。今後の航海で空中磁気探査を行い、2019年12月から始まった大規模噴火が西之島の地下にどのような影響を及ぼしたかを、データから議論する。 -
研究課題/研究課題番号:16H06475 2016年6月 - 2021年3月
科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
望月 公廣, 藏下 英司, 三浦 誠一, 汐見 勝彦, 中島 淳一, 上嶋 誠, 市原 寛
担当区分:研究分担者
豊後水道を囲む多様なスロー地震発生領域において,陸域から海域にわたって地震学的・電磁気学的な調査・観測手法を総動員し,プレート境界面周辺の地震波速度・電気伝導度の3次元的構造を求めた.これらの構造は互いに調和的であり,陸域下の深部テクトニック微動発生域,および海域下浅部テクトニック微動の発生域では,流体が豊富に分布していることを明らかにした.さらに四国東部では,沈み込んだ海山の凸構造が深部テクトニック微動発生領域を規定している可能性を示した.紀伊半島沖南海トラフでは,海域での連続地震観測から,スロースリップの発生サイクルに伴う地下構造中の流体分布の時空間変化を明らかにした.
多様な断層すべりが発生している領域において,それを囲む海陸域での大規模な地震学・電磁気学的総合観測・調査による構造把握を通した,断層すべり発生メカニズム解明に向けた研究は,世界的にも類を見ない.これまで,断層すべりの特徴や発生サイクルを決める重要な要因として,断層周辺に分布する流体の関与が議論されてきた.本研究では,地震学的および電磁気学的構造の両面から,断層すべりの性質と流体分布との相関が認められ,さらには地震学的構造の時空間変化とスロー地震発生サイクルでも,流体の蓄積・放出過程との関係が示された.断層すべりの発生メカニズム解明に向けて,今後の研究方針への重要な指針を与えたと考えられる. -
海陸電磁気データ統合解析による巨大地震発生帯の流体挙動の解明
研究課題/研究課題番号:16K17793 2016年4月 - 2020年3月
市原 寛
担当区分:研究代表者
配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )
沈み込み帯における比抵抗構造全貌の解明に必要となる、海陸に跨るMangetotelluric法データの統合解析における問題を解決することを目的として、本研究では以下の研究成果を得た。(1)これまでデータの取得が行われなかった沈み込み帯の海陸境界付近において海底電磁気データを取得し、海底地形によるMTインピーダンスへの影響を評価した。(2)これらの影響は、適切な設定を行えば、既存の三次元フォワード・インバージョンコードによって再現ができ、三次元比抵抗モデリングが可能であることを示した。
本研究は複雑な海底地形を示す領域でも三次元比抵抗構造解析が可能であることを示した世界初の例であり、今後は世界の沈み込み帯において比抵抗構造の解明が進むことが期待される。特に、本研究で観測点を設置した南海トラフ西端部に位置する日向灘―高知県西方沖は、近年スロー地震が発生する地域として注目されており、さまざまなプロジェクトにより観測が進行中である。本研究による検討がこれらの研究に活用されると同時に、取得したデータについても活用可能であることから、今後は南海トラフ西端部において比抵抗構造、さらには流体分布の解明がこれまでにない精度で解明されることが期待される。 -
沈み込むプレート上層部における間隙流体循環の解明と巨大地震発生帯への影響の評価
研究課題/研究課題番号:15H03715 2015年4月 - 2018年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
山野 誠, 後藤 忠徳, 笠谷 貴史, 川田 佳史, 上嶋 誠, 武井 康子, 市原 寛, 小平 秀一, 後藤 秀作
担当区分:連携研究者
日本海溝海側の太平洋プレート上において、地殻熱流量が3~5 kmのスケールで顕著な増減を繰り返すことを明らかにした。この短波長変動は、海溝近傍でのプレートの曲がりによる海洋地殻の破砕、それに伴う流体循環の発達が、不均質に進行することを示すものと考えられる。また、同じく日本海溝海側での海底電磁気探査データから比抵抗構造を求めることにより、太平洋プレートの上部における水の存在、その海溝へ向かっての変化に関する情報を得ることができた。
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巨大海台の正体を探る:海底地震・電磁気観測によるオントンジャワ海台地下構造の推定
研究課題/研究課題番号:15H03720 2015年4月 - 2018年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
末次 大輔, 塩原 肇, 杉岡 裕子, 伊藤 亜妃, 一瀬 建日, 馬場 聖至, 市原 寛, 多田 訓子, 田中 聡, 石原 靖, 大林 政行, 利根川 貴志, 中西 正男, 三浦 誠一, 歌田 久司, 佐野 貴司, ,
担当区分:連携研究者
オントンジャワ海台において海底・海洋島地震観測をおこなった。データ解析の予察的な結果は以下のとおりである。海台直下深さ600km付近に太平洋スラブが滞留している。その周囲の深さ100-400kmには低速度異常があり、一部はカロリン・ホットスポット列につながっている。温度に敏感な地震波減衰は海台周囲では強く、海台下では普通の海洋マントルでの減衰と同程度の強さである。下部マントルからのマントル上昇流が滞留する太平洋スラブを避けるように上昇を続け、表層のホットスポット火山活動の原因になっている可能性がある。また、海台地殻のモホ面が40㎞と深いこと、地殻内部に不連続面があることも分かった。
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日本周辺でのアレイ電磁気観測(JEMINI計画)のための基礎的研究
2014年 - 2016年
科学研究費補助金 基盤研究(B)
担当区分:研究分担者
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海沈み込むプレートにおける含水・脱水プロセス~海底電磁気観測からのアプローチ~
2012年 - 2013年
科学研究費補助金 新学術領域研究
担当区分:研究代表者
新学術領域研究「地殻流体:その実態と沈み込み変動への役割」の公募研究課題
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海底電磁気観測による沈み込み帯全域の流体分布の解明
2010年 - 2011年
科学研究費補助金 新学術領域研究
担当区分:研究代表者
新学術領域研究「地殻流体:その実態と沈み込み変動への役割」の公募研究課題
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物理探査・地質情報の統合解析による内陸地震発生帯の3次元イメージング
2006年 - 2007年
科学研究費補助金
担当区分:研究代表者