科研費 - 近本 謙介
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宗教テクスト文化遺産アーカイヴス創成学術共同体による相互理解知の共有
研究課題/研究課題番号:22H00005 2022年4月 - 2026年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(A)
阿部 泰郎, 楠 淳證, 三谷 真澄, 道元 徹心, 石川 知彦, 野呂 靖, 近本 謙介, 瀬谷 貴之, 齋藤 真麻理, 小池 淳一, 高岸 輝, 菊地 大樹, 上島 享, 横内 裕人, 渡辺 麻里子, 佐藤 愛弓, 高橋 悠介, 大東 敬明, 大河内 智之
担当区分:研究分担者
日本の希有な多様性を示す宗教文化の諸位相を、宗教テクストという概念のもとに、世界普遍の課題としての遺産理念と、人文学の再生・探求とを重ねて問い直す。その実践の拠点として、多数の宗教テクストを蔵す龍谷大学に「宗教テクスト文化遺産アーカイヴス研究基盤」を創設し、さらに寺社や各地域に伝存する各種宗教テクストの探査救出ー記録保存ー解読再現ー社会共有のサイクルによるアーカイヴス化を行い、遺産として創成する。従来の研究蓄積と最新の知見を踏まえ、先端デジタル人文学を活用して高度な多元学術データを構築し、そこに析出される〈間宗教テクスト〉の解明を通じ、「相互理解知」の発見と共有の実現を志向する研究である。
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科学技術を駆使した唱導資料と交流史に基づく東アジア法会学創成への挑戦
研究課題/研究課題番号:21K18360 2021年7月 - 2024年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
近本 謙介, 荒見 泰史, 大谷 由香
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:6370000円 ( 直接経費:4900000円 、 間接経費:1470000円 )
研究期間を考慮し、対象を限定しつつ実験的な研究と分析を進める。研究対象として、南都を中心とする唱導資料を中核に据え、その引用話・成句・語彙・法会儀礼としての特色を、安居院流唱導との相関、敦煌資料・莫高窟の絵画資料等との比較対照研究を交え、ビッグデータ処理に優れた科学技術を駆使する方法論により解明する。同時に、本研究の成果として得られる唱導資料のことばと法会における役割の位相を、東アジア唱導交流史のうちに位置づけ、双方の研究の進展に寄与することを企図する。
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基盤研究(A)中世拠点寺院の蔵書と美術に基づく人と知のネットワーク解明
研究課題/研究課題番号:20H00012 2020年4月 - 2025年3月
近本 謙介
担当区分:研究代表者
配分額:44850000円 ( 直接経費:34500000円 、 間接経費:10350000円 )
本研究は、中世以来の経蔵・文庫のすがたをとどめる三つの拠点寺院の統合的分析に基づき、経蔵・聖教形成の過程と実態を解明することで、それを成した人と知のネットワークの動態に迫るものである。三つの拠点寺院(真福寺・金剛寺・称名寺)の影響関係の全貌は未だ十分に明らかにされてはおらず、本研究は僧侶の動態や典籍の伝播への着目により、これに挑む。
その際、文献資料と連関する宗教美術(絵画・彫刻等)に着目する点、諸寺院典籍の汎宗的性格を教学面から定位する点に、学術的創造性がある。
研究体制は拠点寺院全ての学術調査責任者をメンバーに加えて構成し、海外の研究者との協働のもと、基盤調査においては若手研究者の育成も図る。 -
基盤研究(B)金剛寺摩尼院聖教の調査を基盤とした日本中世の宗教的知の流通と蔵書形成に関する研究
研究課題/研究課題番号:19H01235 2019年4月 - 2023年3月
海野 圭介
担当区分:研究分担者
南北朝時代の歴史を語る上で重要な拠点でもある真言宗御室派大本山天野山金剛寺(大阪府河内長野市)の塔頭で後村上天皇(1328-68)の行在所であった摩尼院(大阪府河内長野市)に伝来した資料群の悉皆調査を行い、それらと金剛寺本坊に蓄積された資料群と併せ見ることを通して、学問寺院としての金剛寺の歴史的展開と諸寺院の間の文化的ネットワーク構造の把握とそこに行われた学問と文芸の実態の解明を行う。
本研究の提示する下記の3点のテーマにおける本年度の実績は下記の通りである。
1)摩尼院所蔵典籍・文書類の目録化及びその蔵書史的記述:摩尼院に伝領される書物を経蔵から全点搬出し、破損状態の確認と簡易クリーニングを行い、アーカイバルボックスに移した上で書誌学的調査を開始した。本年度については、蔵書の概要の把握と棒目録(簡易目録)の作成を行った。
2)南河内地域の寺院ネットワークと知識流通の解明:従来の調査によって見えてきた学問寺院としての金剛寺にとって重要な意味を持つ典籍群のうち、摩尼院伝来資料を併せ見ることで新たな視界が開ける可能性を有する資料群を重点的に検討し、平安時代末から室町時代にわたる南河内地域の寺院における知識の流通構造の解明を目指し、摩尼院及び金剛寺に伝来する、天台宗・浄土教関係の典籍及び根来寺に由来する真言典籍類、神道関係の典籍類の調査に基づき、関連寺院のマッピングを開始した。
3)摩尼院及び金剛寺聖教の調査と研究を起点とした寺院文化圏に関する国際共同研究:「寺院」や「経蔵」を対象とした調査により見出された大量の典籍・文書の存在により、前近代日本の文化的活動に対する理解が変わりつつある。こうした新しい動向に欧州、北米、中国などの研究者も敏感に反応している。研究活動の国際化と研究視角の多様化に伴い、寺院文化圏を対象とした研究も在外研究者との協働による成果が従来以上に期待されるようになってきている。本年度においては、在台湾研究者との共同研究を企画し、台湾師範大学において日本・台湾の研究者による研究報告と討議を計画していたが、全世界的疫病の流行により日本・台湾双方の研究者の所属機関内の判断によって、企画を一端中止することとした。
摩尼院経蔵の調査は、予定していた夏期・冬期の2度行い、当初の見込み点数の調査を終了した。摩尼院及び金剛寺聖教の調査と研究を起点とした寺院文化圏に関する国際共同研究の観点からの国際ワークショップの企画については、全世界的疫病の流行により中止を余儀なくされたが、予定された報告原稿はすでに投稿されており、状況の改善を待って今一度開催の企画を進めたく思っている。また、状況の改善が見込まれない場合についても、オンライン会議等の非対面形式による開催方法の検討を進めている。
摩尼院経蔵の調査については、本年初頭より全世界で流行している疫病がおさまらない限り、10名を越える調査員と調査補助者が集合して資料を整理しつつ調査カードを作成するという形で行ってきた従来の方法での調査を継続することは難しいように思われる。そのような状況に陥った場合には、調査スケジュールに遅延が生じる可能性も否定できない。政府及び地方公共団体等の示すガイドラインと所蔵者の意向を確認しつつ、安全な方法での調査の再開の道筋を考えたい。状況が改善されない場合は、画像データ作成を先行する等の方法で遅滞の解消を図りたい。
摩尼院及び金剛寺聖教の調査と研究を起点とした寺院文化圏に関する国際共同研究の観点からの国際ワークショップの企画についても、状況の改善を待って今一度開催の企画を進めたく思っている。また、状況の改善が見込まれない場合についても、オンライン会議等の非対面形式による開催方法の検討を進めている。 -
基盤研究(B)唱導文献に基づく法会の綜合的研究―寺院聖教調査の統合と復元的研究への展開―
研究課題/研究課題番号:16H03385 2016年4月 - 2020年3月
近本 謙介
担当区分:研究代表者
配分額:16640000円 ( 直接経費:12800000円 、 間接経費:3840000円 )
調査フィールドの基盤調査・研究に据えている各寺院・文庫調査については、研究成果の統合に向けて、以下のような研究実績と成果を得た。〔金剛寺 調査・研究〕『天野山金剛寺善本叢刊』第1期・第2期の公刊(平成28年度・29年度)を経て、調査データの綿密化・高度化を図った。さらに、他の寺院とのネットワークを解明するフォーラムを国内(名古屋大学)および海外(ハンブルク大学)において開催した。〔金沢文庫調査・研究〕神祇関係のテクストを中心とする展示を金沢文庫にて開催し、併せて研究成果を公表する研究集会を国内(横浜市立大学)および海外(エクス・マルセイユ大学)で開催した。〔真福寺調査・研究〕昨年度中に目録の入力作業・電子化の第一段階を予定通りに終了し、本年度からはデータの確認作業を進めた。また、金剛寺・東大寺等との寺院ネットワーク解明に向けた研究と、その成果報告の場を設けた(上述、名古屋大学・ハンブルク大学)。〔勧修寺調査・研究〕引き続き、重要文化財指定に連動した調査聖教・経典類の全貌解明に向けての研究を展開した。
法会・唱導学創成に向けて、本研究が積極的に展開している統合的・復元的研究においては、法会の実態を灌頂に着目して解明するフォーラムを海外(UCサンタバーバラ)において開催した。東アジアにおける唱導の比較対照研究においては、あらたに文文化遺産と交流史に着目するプロジェクトを立ち上げ、学内のプロジェクト経費に採択された。具体的な研究推進は、次年度に引き継がれ、後継の共同研究へと引き継いでいく計画を立案中である。
統合的研究成果への展開の一環として、前近代の日本における信仰を正統と異端の観点から、キリスト教との相対化をも意図して分析するフォーラム(ヌーシャテル大学)を開催した。また、絵画資料等を含む宗教テクストの世界を身体や芸能の視点からとらえなおすフォーラム(コロンビア大学)を開催した。
成果の報告・公刊の点では、本研究の中核的課題とする、唱導文献に基づく法会の統合的・復元的研究において、一部に顕著な業績を上げることができている。金剛寺に関する研究では、予定を前倒しするかたちで『天野山金剛寺善本叢刊』第1期・第2期を刊行できたことは、特筆すべき成果である。このことにより、研究期間後半を、調査研究の綿密化に宛てることができている。さらに、寺院間ネットワークを探求する課題に向けて研究体制を整え、学会を名古屋大学に招致して、金剛寺・真福寺をめぐる聖教類のネットワーク解明の成果を得た。もちろん、調査研究対象の中核に置いている金剛寺・真福寺に関しても、今後に向けて多大な作業が残されている。両寺院聖教の悉皆目録完成は、将来的に完遂させなければならない重要な点である。この点については、本研究課題の後半に作業を進めると共に、次の共同研究の中核に据える計画を立案済みである。
復元的研究について、本年度は研究分担者との共同研究体制を活かし、灌頂儀礼とのかかわりから法会の実態を復元的に探究するプロジェクトを進め、UCサンタバーバラにおいて成果報告の国際研究集会を開催することができた。これは、昨年度の論義を中心とする復元的研究と対をなすものであり、これを研究期間最終年度を待たずに行えた点は、当初の研究計画以上の進展を示すものである。これらの共同研究の成果の公刊についても、各々進行中であり、研究期間最終年度およびその翌年に二つの出版物が公刊される予定である。もちろん、これらの研究についても、今後に向けての課題は残されている。たとえば、院政期から鎌倉時代初期にかけての法会の復元的研究については、さらに多くの時間を要することが明らかになりつつある。この点については、本研究期間中に最大限の努力を進めると共に、不十分な点は後継の共同研究で、更に進展させることを計画済みである。
調査フィールドと位置づける部分については、本研究の課題解明に直結する点を進めると同時に、後継課題につなげる準備段階として、金剛寺・真福寺聖教の悉皆目録完成を見据えた作業を同時に展開する。
復元的研究においては、後白河院を中核に据えた研究を進めるが、本研究期間中に完遂できるわけではないので、最大限の成果報告を行うと共に、今後に向けての展開方法を策定する。
研究成果の発表を行った国内外のフォーラム・学会から得られた成果については、それらのうちのいくつかを出版物として公刊する計画が進展中である。最終年度に間に合わせるものは確実に実現させると共に、研究期間終了後2年のあいだに公刊する計画で進めているものについては、内容をさらに充実させつつ実現させる。 -
基盤研究(B)「唱導文献に基づく法会の綜合的研究―寺院聖教調査の統合と復元的研究への展開―」
2016年4月 - 2019年3月
日本学術振興会 科学研究費
担当区分:研究代表者
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基盤研究(B)金剛寺聖教・文書類を基盤とした社寺ネットワークの解明とその蔵書史的研究
研究課題/研究課題番号:15H03186 2015年4月 - 2019年3月
海野 圭介
担当区分:研究分担者
本研究では、真言宗御室派大本山天野山金剛寺所蔵典籍の悉皆調査によって蓄積された基礎的データに基づき、日本文学、書誌学・文献学、美術史学、国語学、仏教史学等の成果と方法とを包含した共同研究を通して、寺院文化圏とその知的ネットワークの解明を進めた。併せて、金剛寺所蔵の中古・中世の知識のネットワーク形成の解明に寄与する貴重典籍について、翻刻と書影をあげ、その内容と意義について述べた書籍を5冊刊行した。また、仏教典籍の国際共同研究の進展を図り、ハンブルク大学写本学研究所、名古屋大学人類文化遺産テクスト学研究センターとの共同でシンポジウムを開催し、研究成果の周知と今後の課題の共有を行った。
従来未公開であった天野山金剛寺所蔵の典籍類を学術資料として活用することを可能にし、金剛寺を中心とした南河内地域の〈知〉のネットワーク構造を明らかにしたことは、今後の寺院資料研究をはじめとする日本文学・日本歴史・仏教史、美術史等のさまざまな分野の研究、および地域を対象とした研究や地域の文化活動に大きく寄与するものとなった。 -
基盤研究(B)「金剛寺聖教・文書類を基盤とした社寺ネットワークの解明とその蔵書史的研究」
2015年4月 - 2018年3月
科学研究費
担当区分:研究分担者
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基盤研究(S)宗教テクスト遺産の探査と綜合的研究―人文学アーカイヴス・ネットワークの構築
研究課題/研究課題番号:26220401 2014年5月 - 2019年3月
阿部 泰郎
担当区分:研究分担者
本研究は、日本に伝存する宗教文化の遺産を、テクスト学の視点と方法から綜合的に探査し、その全体像と歴史文化的文脈を解明し、アーカイヴス化して未来に継承することを目的に、諸位相の宗教テクストの探査とアーカイヴス化を遂行した。その対象は、中部地域から全国に亘る寺社・民間の宗教文献と図像・儀礼に及ぶ宗教テクストであり、その体系構造を明らかにすることを領域融合による協働により果たし、国際共同研究によりあらたな学術研究モデルの創出を目指すものである。
本研究期間内に、真福寺大須文庫のデータベース基礎構築と『中世禅籍叢刊』(全12巻)を完結させ、中世仏教における禅の再認識をテクスト研究から推進したのを始め、日本各地の寺社、民間の重要な宗教テクスト群の悉皆調査とアーカイヴス化を促進した。宗教図像と儀礼のテクスト学研究も、聖徳太子絵伝や安居院唱導文献の諸領域で、国際共同研究を行い、人間文化研究機構と連携し、四館綜合展覧会「列島の祈り」開催を通じて社会に成果を発信した。 -
基盤研究(B)唱導文献に基づく法会の綜合的研究 研究課題
2013年4月 - 2016年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
近本謙介
担当区分:研究代表者
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基盤研究(A)中世宗教テクスト体系の綜合的研究―寺院経蔵聖教と儀礼図像の統合―
2010年4月 - 2015年3月
科学研究費補助金 基盤研究(A)
担当区分:研究分担者
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基盤研究(A)「中世宗教テクスト体系の綜合的研究―寺院経蔵聖教と儀礼図像の統合―」
2010年4月 - 2014年3月
科学研究費
担当区分:研究分担者
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基盤研究(B)院政期の宗教施策に関する寺院文芸研究-鳥羽から後鳥羽院政をめぐる領域複合的解明
2009年4月 - 2013年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
担当区分:研究代表者
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基盤研究(B)「院政期の宗教施策に関する寺院文芸研究―鳥羽から後鳥羽院政をめぐる領域複合的解明―」
2009年4月 - 2012年3月
日本学術振興会 科学研究費
担当区分:研究代表者
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基盤研究(B)「真言密教寺院に伝わる典籍の学際的調査・研究―金剛寺本を中心に―」
2007年4月 - 2010年3月
科学研究費
担当区分:研究分担者
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基盤研究(C)寺社勧進・修造をめぐる唱導文芸に関する文献学的研究―九条家と慶政の動向を中心に―
2006年4月 - 2009年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
担当区分:研究代表者
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萌芽研究「中世宗教テクストの綜合的研究」
2006年4月 - 2008年3月
科学研究費
担当区分:研究分担者
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基盤研究(C)「寺社勧進・修造をめぐる唱導文芸に関する文献学的研究―九条家と慶政の動向を中心に―」
2006年4月 - 2008年3月
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
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基盤研究(C)「山岳修行僧行尊の伝記と詠歌についての総合的研究」
2005年4月 - 2007年3月
科学研究費
担当区分:研究分担者
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基盤研究(C)中世前期の南都における唱導文献に関する研究
2003年4月 - 2006年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
担当区分:研究代表者