科研費 - 岡本 敦
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体積再結合プラズマの衝突輻射過程による非等方・非平衡エネルギー分布診断
研究課題/研究課題番号:23H01148 2023年4月 - 2027年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
岡本 敦, 高橋 宏幸
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:18720000円 ( 直接経費:14400000円 、 間接経費:4320000円 )
プラズマを構成する電子のエネルギー分布が熱平衡の場合とそうでない場合とで、あるいは、磁場に平行な方向と垂直な方向とで電子の温度が異なる場合で、電子が衝突して生じるプラズマの発光や電子とイオンが結合して原子に戻る過程(体積再結合過程)がどのように変化するのか、実験を通じて明らかにします。実験結果に基づいて、プラズマの発光からエネルギー分布を予測するモデルの構築を試みます。
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ダイバータ配位プラズマの境界層におけるプラズマ流と不純物輸送へのドリフトの効果
研究課題/研究課題番号:22H01202 2022年4月 - 2026年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
藤田 隆明, 岡本 敦, 星野 一生
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
内部コイルを用いてダイバータ配位の環状プラズマを生成し、その境界層におけるプラズマ流や不純物イオンの流速などを詳細に計測する。三角形度などプラズマ断面形状を様々に変えた実験を実施し、ダイバータプラズマシミュレーションコードの結果と比較する。これにより、プラズマ流に対するイオンドリフトの効果を明らかにするとともに実験的な裏付けのある不純物輸送モデルを提案する。
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実験室プラズマで解き明かす非接触ダイバータの構造形成過程と非定常ダイナミクス
研究課題/研究課題番号:20H01883 2020年4月 - 2024年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
高橋 宏幸, 飛田 健次, 岡本 敦, 木崎 雅志
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
本研究はプラズマプロセスやプラズマ推進の分野で広く利用されている高周波プラズマ源をダイバータプラズマ研究に応用するものである。(1)高周波プラズマに特有である単一マックスェル分布から逸脱した電子の生成、(2)波動加熱を利用する事によるイオン温度計測の容易化、および(3)体積再結合プラズマに対するイオンビームの重畳を行う事で実環境のダイバータに近い環境を実験室プラズマ内に作り出し、非接触ダイバータの構造形成過程における粒子・エネルギーバランスや体積再結合反応率に対して高エネルギーイオン衝突が及ぼす影響を実験的に調査するものである。
今年度の主な研究実績は以下に示す通りである。
(1)DT-ALPHA装置での水素分子活性化再結合プラズマ(水素MARプラズマ)生成を目指し、水素プラズマに対する水素2次ガス導入実験を行った。ガス導入量を緻密に制御しながらプラズマの計測を行ったところ、2次ガス導入領域において体積再結合進展時の典型的な挙動である電子密度のロールオーバーが観測された。DT-ALPHA装置としては初めてMAR過程の進行を示唆する結果を得る事ができた。
(2)Retarding field analyzer(RFA)を用いた磁力線平行方向のイオン温度計測手法の確立に取り組んだ。オフセット電流や空間電荷制限電流の影響を検証し、1-1.5eV程度の軸方向イオン温度を得た。DT-ALPHA装置では初めて磁力線平行方向イオン温度を評価した。加えて、磁力線垂直方向の速度成分を有するイオンがRFAに流入した際に、電流-電圧特性、ひいては平行方向イオン温度の計測にどのような影響を及ぼすのかを検証した。電流-電圧特性の形状に対する垂直方向速度成分の混入の影響は避けられないものの、垂直方向速度成分の影響を受けずに軸方向イオン温度の評価を行う方法を確立する事ができた。
(3)ヘリウム再結合プラズマに対して電子温度および電子密度の磁力線方向計測を行った。連続スペクトルから再結合フロントでの電子温度を評価すると0.5 eV程度であるにも関わらず、再結合フロント下流の電子温度を静電プローブで評価すると1-2 eV程度の値が得られた。体積再結合の進展によって電子エネルギー分布に歪みが生じ、その結果見かけの電子温度が観測されているものと考えられる。非接触ダイバータ中では従来のような流体近似が成立せず、運動論的に扱う必要を示唆する結果である。
本研究課題は、(1)ビーム入射実験の標的となる水素再結合プラズマの生成、(2)高強度水素イオンビームの生成と標的プラズマへの入射、および(3)電子やイオン診断手法の確立の3項目を組み合わせて遂行する。
(1)に関しては、本研究では水素分子活性化再結合プラズマの生成を念頭においている。水素プラズマに対する水素2次ガス導入実験を行い、体積再結合進展時の典型的な挙動である電子密度のロールオーバーを観測した。水素MARプラズマの生成に成功した事を示唆する結果である。今後は水素バルマー系列線の強度比を観測し、水素分子活性化再結合プラズマの生成を裏付ける。このように(1)の項目に対しては順調に研究が進展している。
(2)についてはやや遅れが生じている。本研究ではExBフィルタで水素イオンの弁別を行う事で水素ビームの生成を行う。これまでにフィルタによるイオン弁別の可否の検証や漏れ磁場・漏れ電場がビームイオンの軌道にどのような影響を与えるのかを明らかにしている。しかし高圧ケーブルの手配に遅れが生じフィルタの導入はまだ完了していない。次年度はExBフィルタの導入に向けた作業に注力する予定である。
(3)については当初の計画を上回り順調に進んでいる。今年度はRetarding field analyzer (RFA)を用いた磁力線平行方向イオン温度計測の手法を確立させた。また、磁力線に対して垂直方向の速度成分を有するイオンがRFAで計測された場合に磁力線平行方向のイオン温度の評価にどのような影響を及ぼすのかを明らかにした。更に、体積再結合が強く進展する事により電子エネルギー分布に歪みが生じ、その結果再結合フロント下流では見かけの電子温度が観測される事を明らかにした。非接触ダイバータでの電子エネルギー分布としてマックスウェル分布を暗に仮定するのではなく、その発展を解く必要がある事を指摘する結果である。
当初の計画に沿って研究を実施するが、水素再結合プラズマの生成と高エネルギー水素イオンビームの生成に特に注力して研究を進める。今年度は水素プラズマに対する水素2次ガス導入実験によって電子密度のロールオーバーが観測された。水素分子活性化再結合プラズマの生成を示唆する結果であるが、それを裏付けるためには水素バルマー系列線の発光強度の変化も計測する必要がある。複数輝線を同時に観測可能な分光器を用いてバルマー系列線の圧力応答を計測し、水素分子活性化再結合の進展を裏付ける。平行して水素イオンビームの生成に向けた研究も進める。今年度の支援によってExBフィルタを導入するために必要な機器の手配が完了した。次年度はExBフィルタの導入を速やかに進める方針である。まずは(a)フィルタ導入前の実験体系でヘリウムイオンビームや水素イオンビームの引き出しを行い、DT-ALPHAに到達するイオンビーム電流値を計測する。その後、(b)DT-ALPHA装置とイオンビーム源との間にExBフィルタを導入し、事前に見積もった電場によりイオン(H+,H2+,H3+,Heなど)の弁別が可能である事を確認する。弁別性能の確認後、(c)DT-ALPHA装置に到達するヘリウムイオンビームと水素(H+)イオンビームの電流を計測し(b)で得た結果との比較を行う。この比較を通して、想定している高エネルギー水素イオンビーム入射実験に必要な強度のイオンビームが得られているかを確認する。水素再結合プラズマの生成が想定通りに進まない場合、水素電離進行プラズマに対して水素イオンビームを入射してその応答を調査する。電子温度や電子密度だけではなく、振動温度や回転温度にもイオンビーム入射の影響が現れると予想される。高エネルギーイオンが水素の電離進行過程へ与える影響を調べるとともに、再結合プラズマへの入射実験に備えたデータを蓄積する。 -
研究課題/研究課題番号:19H01869 2019年4月 - 2023年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
岡本 敦, 高橋 宏幸
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:17160000円 ( 直接経費:13200000円 、 間接経費:3960000円 )
プラズマを構成する電子は一つ一つは様々な運動エネルギーを持ってプラズマ中を飛び交っています。電子の全体としてのエネルギー分布が熱平衡の場合とそうでない場合とで、電子が衝突して生じるプラズマの発光や電離・再結合の過程がどのように変化するのかをエネルギー分布を計測する実験を通じて明らかにし、プラズマの発光からエネルギー分布を予測するモデルの構築を試みます。得られる成果は、より合理的で確実な核融合炉の設計のために活用されることが期待されます。
本研究の目的である体積再結合過程に対する電子エネルギー分布の影響解明のために、以下の項目を実施した。
・電子エネルギー分布の時間発展を原理的に取得可能な条件付き抽出法を静電プローブ解析に新たに導入した。浮遊電位に観測される間歇的な負側への変動(スパイク)を条件とすることで、スパイクが発生しているマイクロ秒程度の時間において電子温度が上昇していることを明らかにした。エネルギー分布の直接計測に有効なレーザートムソン散乱について、想定される入射光子数および散乱光子数の見積もりを行い、入射光学系と集光光学系を設計製作した。
・体積再結合過程が支配的となる実験での中性ガス圧力の分布を詳細に把握するために、分子流から粘性流までの広範囲の圧力条件で、装置内の中性ガス圧力分布を推定する計算コードを開発するとともに、適切な圧力計を整備し高ガス圧力下の実験を開始した。さらに、プラズマ生成・加熱に用いるマイクロ波入射システムの入射モードを調整するための制御機器を製作し、加熱の高効率化による高密度プラズマ生成実験を開始した。
・非等方なエネルギー分布が、励起・電離などの反応速度係数を通じて衝突輻射モデルに及ぼす影響の定量評価を開始した。最初のステップとして陽子衝突について非等方性を考慮した衝突輻射モデルを構築し、磁気ミラー閉じ込めプラズマ中の計測や数値解析に及ぼす影響を明らかにした。モデルの実験検証に温度と共に必要となる流体的な平均速度について、マッハプローブを用いたイオン流速計測の導入と径方向電場による流速制御の実験を開始した。
・分光計測の多視線化による視線奥行き方向の分布情報推定の高精度化のため、多視線計測を可能にする受動分光計測システムを考案し基礎データを取得した。
詳細な実施項目ごとに進捗状況は異なるが、研究全体を総括すると概ね順調に進展しているといえる。
衝突輻射モデルの逆問題として高精度にパラメータを推定する手法の開発では、計算機環境の移行に伴う停滞が生じたが、回復しつつある。並行して実施した、多視線計測を可能にする受動分光計測システムの検討が順調であり、実験実証に向けては着実に進展している。
新たな計測手法の導入など実施項目の多様化がみられたが、4件の国際会議口頭発表を含む多くの研究成果発表が行えている。
大幅に研究計画を変更することはなく、順調に進展している研究項目は当初の計画通りに推進し、遅れがみられる研究項目はより効率的に推進していく。
これまで一部手動で対応していた実験シーケンスが自動化され、条件を系統的に走査して実験データを蓄積する実験の効率向上が期待できる。
実験からモデル構築まで、これまで得られた多様な研究成果を総括することで、体積再結合過程に対する電子エネルギー分布の影響解明に取り組む。 -
超高速中性子と高レベル廃棄物の有効利用による革新的核変換核融合炉の提案
研究課題/研究課題番号:17H06231 2017年6月 - 2020年3月
科学研究費補助金 挑戦的研究(開拓)
橋爪 秀利
担当区分:研究分担者
核融合反応で発生する超高エネルギーの14 MeV中性子と、原子力発電所より生じる使用済み核燃料に含まれる高レベル廃棄物(核分裂生成物やマイナーアクチノイド)を組み合わせたこれまでにないコンセプトを持つ新しい核融合炉の概念設計を行った。マイナーアクチノイド燃料と核変換部の設計、および核分裂生成物の核変換部を含むブランケット設計評価を実施し、当該核融合炉の導入によりこれら高レベル廃棄物の国内における貯蔵量を確実に低減可能となるシナリオを示した。
本研究では、核分裂生成物やマイナーアクチノイドを有効に利用した新しい核融合炉の概念設計を行い、高レベル廃棄物の地層処分以外の選択肢を示すことにより、現在の原子力エネルギー問題を解決すると同時に、核融合炉に対するコスト低減の要求を緩和することによって、核融合炉の近い将来における意義の明確化を行った。
第5期科学技術基本計画にある、第3章「経済・社会的課題への対応」に記載されている「将来に向けた重要な技術である核融合炉等の革新的技術、核燃料サイクル技術の確立」を同時に解決する研究内容であり、新しい核燃料サイクルの未来図を示し、原子力エネルギーの社会的受容性を格段に向上させる可能性を持っている。 -
ダイバータ領域励起水素分子の高エネルギーイオンによる生成消滅ダイナミクスの解明
研究課題/研究課題番号:26420848 2014年4月 - 2017年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
担当区分:研究代表者
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立体磁気軸ステラレータ装置による先進ヘリカルシステムの基盤研究
研究課題/研究課題番号:24246152 2012年10月 - 2016年3月
科学研究費補助金 基盤研究(A)
北島純男
担当区分:研究分担者
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資源探査のためのロバストなタンデム型中性子源
研究課題/研究課題番号:23656585 2011年4月 - 2013年3月
科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究
北島純男
担当区分:研究分担者
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プラズマ‐中性粒子結合系の高エネルギーイオン流れ場におけるダイナミクス
研究課題/研究課題番号:22740357 2010年4月 - 2014年3月
科学研究費補助金 若手研究(B)
担当区分:研究代表者
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レーザー誘起蛍光法を用いた境界層プラズマの原子分子密度分布の計測法の開発
研究課題/研究課題番号:17740362 2005年4月 - 2007年3月
科学研究費補助金 若手研究(B)
担当区分:研究代表者