科研費 - 俵山 雄司
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地域の日本語教育における各分野の専門家と日本語教師との協働の研究
研究課題/研究課題番号:20K00725 2020年4月 - 2023年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
俵山 雄司
担当区分:研究代表者
配分額:1040000円 ( 直接経費:800000円 、 間接経費:240000円 )
近年、「生活者としての外国人」を対象とした地域の日本語教育では、言語の習得を主眼とした活動以外に、防災やゴミといった生活情報の共有を主眼とした活動が行われている。その際、日本語教室の運営者や日本語教師と、市役所や消防署などの関係部署の専門家との連携・協働が行われている。
本研究は、各分野の専門家と日本語教師との協働に焦点を当て、企画・教材作成・実施の各局面について記述・分析し、どのような役割分担が効果的なのか、また、克服すべき課題は何かについて考察する。
2020年度は、専門家と日本語教師の協働の実態調査の基礎作業として、地域日本語教室に関わる専門家の専門分野の拡がりや協働の形態について調査を行った。具体的には、文化庁「「生活者としての外国人」のための日本語教育事業」のうち「地域日本語教育実践プログラム」の2009年度と2019年度の実施内容報告書の記述を対象として、10年間で日本語教師と専門家との協働がどのように変化してきたかを明らかにした。
分析の結果、専門家の関与が見られたのは2009年度は78件中8件(10.3%)だったのに対し、2019年度は17件中10件(58.8%)であり、割合が大きく増加していた。両者とも、外国人向け日本語教室での関与と、指導者向けの養成講座での関与の2つのパターンが観察された。
2009年度の特徴として、教室の目的が、介護ヘルパー(介護施設と連携)や、就農者(酪農家などと連携)など、ある職種の養成に特化したものが複数あることが挙げられる。一方、2019年度は、東日本大震災や熊本地震の経験、頻発する豪雨災害を受けて、防災関係の連携が目立つ。連携先も防災士、行政・自治会の防災担当者など様々なものがあり、日本語教室・指導者養成の双方に見られた。また、行政の連携先が、健康増進・ゴミ・防災など、多岐にわたっていることも目を引く点である。
その他、日本語教室の実施内容(カリキュラム)を見ると、2009年度は、言語に焦点を当てた回の間に、イベント的に専門家を招いた体験などがあることが大半であったが、2019年度は、専門家を招いた(もしくは、専門家のところに出向いた)回のみならず、前後の回とまたがって「事前学習・体験(and/or講義)・振り返り」の流れが存在したり、専門家を複数回連続で招いた活動となっていたりするなど、綿密にデザインされたものが増えていることがわかった。
本年より地域の日本語教室で実施された外国人住民向けの医療・防災・ごみなどの講座に参加し、専門家に対しての調査をする予定であったが、コロナウィルス感染拡大により、実施を取り止めたため、調査を延期した。
コロナウィルスの感染状況を見つつ、市町村などで開催された講座に参加し、予定していた調査を実施する。 -
ノートの筆記過程の分析に基づく日本語学習者の講義理解過程の実証的研究
研究課題/研究課題番号:17K02879 2017年4月 - 2020年3月
科学研究費助成事業
田中 啓行
担当区分:研究分担者
本研究課題では、日本語学習者が講義を受けている間にどのような順番でノートを取ったかという筆記過程のデータと、ノートに関するインタビューへの日本語学習者の回答を分析した。その結果、日本語学習者が、話の先を予測しながら講義を聞き、講義者が専門用語などの説明のために用いた具体例を活かして講義の内容を理解していることが明らかになった。また、このような理解の仕方がノートの取り方に反映されていた。以上のことに基づいて、日本語学習者が講義を理解する力を伸ばすための方策を提示した。
本研究課題は、日本語学習者がノートを書く過程を分析対象とすることで、講義を受講している間の理解に着目した点に学術的意義がある。このことによって、「何が理解できないのか」だけではなく、「なぜ、どのように理解できないのか」を示した。また、ノートを書いた日本語学習者へのインタビューを合わせて分析することで、なぜそのようなノートの取り方をしたのかの裏づけをとったことにも意義がある。本研究課題の成果は、日本に留学する日本語学習者がより良く講義を理解するために必要なことを示した点で、社会的意義があるものと考えられる。 -
外国人住民の文化的多様性を考慮した高齢期ライフプラン作成のための協働実践型研究
研究課題/研究課題番号:26310102 2014年7月 - 2020年3月
科学研究費助成事業
結城 恵
担当区分:研究分担者
本研究の目的は、定住化あるいは帰化を予定する外国人住民が、日本で安全に安心して高齢期に備えるライフプランを設計し実践できるように、関係者による協働型実践研究(Community-based Participatory Research、以下CBPRと記す)を導入することにあった。研究対象とする地域は、外国人住民が集住する群馬県内のA市で、比較社会学の観点から、外国人住民の視点に立った「高齢期」の理解を図り、文化的・社会的多様性を考慮したCBPR実践を展開する過程を記述することで、外国人住民の日本における「高齢期」の備えに必要となる、人的多様性を考慮した社会システム構築のあり方を考察した。
CBPR実践の結果、参加者の意識が、【情報収集・理解の段階】日本での生活習慣の情報収集につとめ、日本でのやり方を理解し、実践してみようとする段階→【振り返り共有の段階】日本でのやり方を自分の経験と照合し、その経験を他者に共有しようとする段階→【文化融合表現の段階】日本でのやり方を自分の生活スタイルに融合させ、それを表現使用とする段階→【主体的社会参画の段階】生活者として社会に参画しようとする段階が確認された。本研究により、異文化社会で高齢期を活きる生活者の自己実現モデルの一形態を抽出することができた。 -
地域の日本語ボランティア養成講座における複数の活動型の提示の意義と影響
研究課題/研究課題番号:26370587 2014年4月 - 2018年3月
科学研究費助成事業
俵山 雄司
担当区分:研究代表者
配分額:1300000円 ( 直接経費:1000000円 、 間接経費:300000円 )
本研究は、地域の日本語支援者に対して、「教授型」の活動に加え、「対話型」の活動に携わるための知識や態度を内容とした研修・養成講座を企画・実施し、その効果や課題をアンケートとインタビュー調査を通じて探った。その結果、調査協力者の8名中2名が「対話型」の活動を取り入れたものの、6名は、この種の活動を取り入れておらず、また両者それぞれが取り入れに難しさを感じていたことがわかった。その背景としては、グループや支援者自身の文法重視のビリーフ、外国人参加者のニーズの多様性への対処、教材の選定・加工のためのスキルや時間の不足、「対話型」について理解するためのリソースの不足などが挙げられた。
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日本語学習者の母語場面・接触場面を対象とした対話コーパスの構築と分析
2013年4月 - 2017年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
澤田浩子
担当区分:研究分担者
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テキストの結束性を重視した母語別作文コーパスの作成と分析
2013年4月 - 2016年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
金井勇人
担当区分:研究分担者
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日本語の配慮表現に関する学習者コーパスの作成と対照研究
2013年4月 - 2016年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
牧原功
担当区分:研究分担者
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大学講義をデータとした「わかりやすい」日本語の研究
2012年4月 - 2014年3月
科学研究費補助金 若手研究(B)
担当区分:研究代表者