科研費 - 上山 純
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バイオモニタリング手法によるマイコトキシン曝露の包括的理解とリスク評価への応用
研究課題/研究課題番号:23K09669 2023年4月 - 2026年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
上山 純
担当区分:研究代表者
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
本研究ではマイコトキシンのリスク評価のさらなる発展に貢献すべく、human biomonitoring (HBM;ヒト試料を分析すること)を用いた曝露評価を疫学的に実践することを目的とする。具体的には、大量のヒト尿サンプルに応用可能な尿中マイコトキシン類のマルチターゲット分析法を開発、既存の尿サンプルからマイコトキシンを定量し、生体試料分析値からリスク評価指標を算出することである。本研究は、将来のマイコトキシンのリスク解明のための疫学研究設計や考察の基盤となる情報を提供でき、ヒトに関する科学的根拠による規格基準値設定等、リスク管理の発展に大きく貢献できる、世界的にも先駆的な研究である。
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複数の疾患リスクに関わる初経・閉経年齢を規定する生活環境因子の同定とその寄与評価
研究課題/研究課題番号:20H03939 2020年4月 - 2024年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
永田 知里, 上山 純, 和田 恵子, 近藤 高明
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
配分額:1300000円 ( 直接経費:1000000円 、 間接経費:300000円 )
初経・閉経年齢はがん、心血管障害等複数の疾患のリスク要因であり、疾患によりリスクを上げたり下げたりする。本研究では、学童、妊婦と出産児、地域住民を対象に、初経および閉経年齢を規定する生活環境因子を前向き研究の手法で同定する。特に、食習慣、運動、生活リズム、成長、精神発達、受動喫煙、照明環境、妊娠中の栄養・ホルモン状態、環境化学物質の観点で農薬やパーソナルケア製品使用に着目する。環境化学物質暴露、サーカディアンリズムに関しては、尿標本にて生体指標を測定する。見出された規定因子が、これらの疾患罹患に初経や閉経の時期を介しどれだけ寄与するかを算出し、リスクの背反する疾患群への予防策考案に繋げる。
本研究は、複数の疾患のリスク要因である初経年齢、閉経年齢について、これを規定する生活習慣・環境因子を同定することを目的としている。中学2年生女子266名において血中性ホルモン、エストラジオール(E2)、テストステロン(T)、DHEAS と血中IGF-1を測定し、月経状態および第二次性徴との関連性を評価した。第二次性徴はChan (2010)らの身長スパート、体毛、にきび、乳房に関する質問票を用い、それぞれはっきり伸びている最中/ほぼ伸び終わった、はっきりと生えてきている最中/大体生え終わった、たくさんできている最中/できて大体で終わった、大きくなっている最中/ほぼ成長し終わった、に該当するか否かでグループ分けした。また、体毛、乳房の発達、月経の有無を基にターナーステージを同定した。補正医因子として年齢、肥満度、身長、両親の喫煙状態を用いた。月経が開始した女子は246名でこのうち154名は月経周期が順調であると回答した。ターナーステージではlate pubertalに相当する者が86.7%であった。DHEAS とIGF-1値はステージが高いほど有意に高く、順調な月経がある女子は月経のない女子に比べE2、IGF-1値が有意に高かった。DHEAS値 は体毛発育、DHEAS とT値はにきびの出現に有意な正の関連性を示した。尿中アクリルアミド代謝物量は、これらのホルモン値と有意な関連を示さなかった。
本人の喫煙状態が閉経時期に影響を及ぼすことは多くの研究で知られているため、配偶者の喫煙状態の影響も、閉経前女性3090名を対象とした高山コホートにおいて評価した。対象をベースライン時の婚姻者に限り、年齢、BMI、喫煙歴、教育年数、運動習慣、出産数、初経年齢で補正した解析では、配偶者の喫煙状態、喫煙年数とも閉経とは関連が認められなかった。
学童におけるコホートでの追跡調査は、学校・保健所関係者の協力が得られ、予定通りに順調に進行している。地域住民からなるコホートでの調査は、アウトカムを閉経に絞らず、協力を得やすいトピックも追加し依頼をしたが、開始できていない。
学童におけるコホートでは、学校・保健所関係者との良好な連携関係を保ち、追跡調査を続ける。地域住民におけるコホートでは、大学での他の研究者と協調しながら進める。パラベンなどの環境物質の測定方法も確立されたので、対象者の年齢層を広げ、性ホルモン値や初経年齢との関連を評価する。 -
バイオモニタリングによる除草剤のヒト曝露実態の理解とリスク評価への応用
研究課題/研究課題番号:20K10450 2020年4月 - 2023年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
上山 純
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
除草剤は、農業分野や林業分野のみならず一般家庭でも使用されている身近な化学物質で、その生体影響に関する懸念が近年増加している。本研究では、大量のヒト尿サンプルに応用可能な尿中除草剤曝露マーカー測定法を世界に先駆けて開発し、既存の尿サンプルへの大規模応用により、集団ごとの曝露レベルの分布(個人間変動)、個人内変動、地域差、経年変化などの変動要因を解明するとともに、バイオモニタリングデータによるリスク評価指標を算出することである。
本研究課題の目的は、大量のヒト尿サンプルに応用可能な尿中除草剤曝露マーカー測定法を世界に先駆けて開発し、既存の尿サンプル(小児、一般健常成人、農業従事者等)への大規模応用により、集団ごとの曝露レベルの分布(個人間変動)、個人内変動、地域差、経年変化などの変動要因を解明するとともに、バイオモニタリングデータによるリスク評価指標を算出することである。研究の結果、1)世界的にも分析のスループットに優位性のある尿中グリホサート測定法を開発し、2)日本人グリホサート曝露レベルを初めて明らかにした。本研究により、農薬のリスク評価の基盤となる技術と情報を構築した。
本研究は、将来の農薬のリスク評価に疫学研究の設計やその考察の基盤となる情報として貢献できるだけでなく、安全・安心を求める国民のニーズに対して応えることができ、EUや欧米とは異なる農業形態・生活様式のアジア圏で初めての取り組みであった。
規模が大きくかつ種種の採取デザインで得た既存のヒト尿サンプルをHBMに利用することから、経済性に優れたHBMを実施し、除草剤の曝露マーカーの特徴を多角的に理解できた。将来の慢性的な低濃度農薬曝露リスクを追求する環境疫学・労働衛生学研究、衛生行政の発展に大きく貢献しうる研究成果である。 -
幼児期に摂取する肥満促進性環境化学物質のカクテル効果に関するコホート研究
研究課題/研究課題番号:19H01078 2019年4月 - 2023年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(A)
上島 通浩, 上山 純, 加藤 沙耶香, 榎原 毅, 佐藤 博貴
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
配分額:390000円 ( 直接経費:300000円 、 間接経費:90000円 )
本研究は愛知県における出生コホート調査参加児4,457人を対象集団として、1歳半、3歳、8歳時点の肥満促進物質(obesogen、以下OBと略す)および候補物質への曝露量を、尿中の特定物質の分析及び網羅的測定(ノンターゲット分析)により評価し、8歳時点での体格指標および血中肥満マーカーとの関連を縦断的・横断的に調べる。また、各種OBの消化管吸収量を修飾する腸内細菌叢及びその化学物質代謝酵素発現を、3歳までと8歳の時点間で比較する。本研究により小児肥満へのOBの寄与、特にリスクの大きさを明らかにする。
小児の肥満は成人期の2型糖尿病、脂質異常症、高血圧等の発症に結びつく公衆衛生上重要な課題である。本研究では、脂肪生成や体脂肪蓄積の促進要因として環境化学物質(肥満促進物質obesogen、OB)が作用するという概念に着目し、愛知県における出生コホート研究参加児を対象に、幼児期におけるOB候補となりうる化学物質への曝露を調べるとともに、曝露と体格指標との関連解明を目指した。化学物質への曝露量は、尿中に排泄される親物質または代謝物の測定により評価し、複合曝露を網羅的に評価するための手法開発をモデル化学物質を用いて行った。また、化学物質の体内動態の観点から幼児期の腸内細菌叢解析を行った。
本研究の第1の意義は、体が急激な成長段階にある幼児期の化学物質曝露に注目し、肥満促進物質の候補および候補となりうる物質について、千人以上の規模の尿中排泄物質測定を行ったことにある。排尿自立前の時期の小児を対象にこの規模で行われた研究は、世界でもきわめて少ない。第2の意義はこの測定が出生コホート研究の一環として行われたことにある。本研究は、対象とする8歳までの時期に加え、後継プロジェクトが対象とするそれ以降の時期における各種成長指標との関連の解析の基盤となる。第3の意義は、本研究が異なる作用機序が想定される物質群への複合曝露の解明を念頭に置いた点にある。網羅的曝露測定への新しい道を切り拓いた。 -
家庭用ピレスロイド系殺虫剤曝露の理解に向けたバイオモニタリングの実践応用
研究課題/研究課題番号: 17H04132 2017年4月 - 2020年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
上山純
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
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低用量殺虫剤曝露の代謝物プロファイリング:エクスポソーム導入へのマイルストーン
研究課題/研究課題番号:16H05259 2016年4月 - 2019年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
上島通浩
担当区分:研究分担者
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尿中化学物質の網羅的分析による農薬類曝露マーカーの探索と分析法の開発
研究課題/研究課題番号:26460799 2014年4月 - 2017年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
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胎児期の非蓄積性殺虫剤曝露の解明と出生児の成長・発達への影響に関するコホート研究
研究課題/研究課題番号:25293151 2013年4月 - 2016年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
上島通浩
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
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殺虫剤の生体影響リスク評価へのメタボノミクスの導入
研究課題/研究課題番号:20310035 2009年4月 - 2011年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
上島通浩
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
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殺虫剤曝露指標の実践的応用を目指した基礎的研究
研究課題/研究課題番号:21790551 2009年4月
科学研究費補助金 若手研究(B),課題番号:21790551
上山純
担当区分:研究代表者
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健常成人集団で腹部脂肪蓄積が血管内皮機能に及ぼす影響の分析化学的・生理学的評価
研究課題/研究課題番号:19590626 2008年4月 - 2010年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
近藤高明
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
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一般集団での殺虫剤曝露が健康へ及ぼす影響に関する実験的・疫学的評価
研究課題/研究課題番号:19790404 2007年4月 - 2008年3月
科学研究費補助金 若手研究(B)
上山 純
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
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一般生活集団における殺虫剤曝露状況および疾患罹患時の体内動態の解明に関する研究
研究課題/研究課題番号:17790364 2005年4月 - 2007年3月
科学研究費補助金 若手研究(B)
上山 純
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金