科研費 - 鷺谷 威
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研究課題/研究課題番号:23H01270 2023年4月 - 2028年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
鷺谷 威, 寺川 寿子, 松多 信尚, MenesesーGutierrezAngelaDelValle
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:18330000円 ( 直接経費:14100000円 、 間接経費:4230000円 )
活動的なプレート境界である日本列島では顕著な地殻変動が生じる。地殻変動データは完全弾性体を仮定して解釈されてきたが、近年の研究により島弧地殻が非弾性的な振る舞いをすることが明らかとなった。本研究では、島弧変形の理解を深めるため、地殻変形の構成関係(応力とひずみの関係)を推定するとともに、地殻変動に加えて地震学的な応力場および長期変形データを考慮した新手法により、非弾性変形と弾性変形を分離し、その空間的な分布を推定する。多様な時空間スケールの変形場および応力場との関係を考慮した地殻変動の解釈を通して、日本列島のテクトニクスの総合的な理解と新たな地殻変動学の構築を目指す。
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地殻変動における応力の履歴に依存して発現する塑性歪みに関する研究
研究課題/研究課題番号:19K04017 2019年4月 - 2022年3月
科学研究費補助金(基盤研究C)
深畑 幸俊
担当区分:研究分担者
地殻変動は、応力の変化(弾性変形)やその絶対値(粘性流動)に依存して生じると考えられてきた。しかし、地殻変動は、応力の変化や絶対値だけでなく、実はその履歴にも依存して生じるのではないかと考えられる。本研究では、2011年東北地方太平洋沖地震前後の地殻変動データを解析することによって、地殻変動が応力の履歴に依存することを示すと共に、南海トラフ巨大地震が近付きつつある西日本で今後の地殻変動がどのようになるのかその理論的予測を示し、南海地震前に発生が懸念される内陸地震に備える一助とする。
地殻の変形様式としては、弾性・粘性・塑性の3つが通常考えられている。例えば,測地データは,この3つの変形様式からの寄与を全て含む一方,山脈の発達など地質学的に累積する変形については,弾性変形は寄与しない.そのような事情から,観測された測地データの弾性歪みと非弾性歪みへの分離,さらには,非弾性歪みの粘性歪みと塑性歪みへの分離が重要な課題となっている.
Meneses-Gutierrez and Sagiya (2016)は,GNSSデータの解析に基づき,新潟神戸歪み集中帯では顕著な非弾性歪みが2011年東北地方太平洋沖地震(以後,東北沖地震と略称)の前後を通して累積していることを明らかにした.本研究では,さらに進んで,東北沖地震前の方が後よりも明確に歪み速度が速い点に着目した.具体的には,まず東北沖地震前後で観測された歪み速度データを長波長成分と短波長成分に分離することを通じて,非弾性歪み速度を粘性歪み速度と塑性歪み速度に分離する式を導出した.次いで,観測されたGNSSデータから長波長成分を具体的に見積もり差し引くことで,東北沖地震前の塑性歪み速度として約30 nanostrain/yr,地震前後の粘性歪み速度として同じく約30 nanostrain/yrの値を得た.一方,長波長の歪み速度は,地震前が約60 nanostrain/yr,地震後が約 -75 nanostrain/yrであった.ここで,プラスは短縮をマイナスは伸張を表す.このように,測地観測データから粘性歪み速度と塑性歪み速度の分離に成功した研究はおそらく世界初である.また,地震前の方が非弾性歪み速度が顕著に速いという本研究の結果は,良く知られた日本列島の歪み速度パラドックスの問題に新たな観点を投げかける.本研究の成果は,2019年地球惑星科学連合大会および同年開催のIUGGで発表したことに加え,既に論文としてもまとめEarth Planets Space誌に公表した(Fukahata, Meneses-Gutierrez and Sagiya, 2020).
本研究課題で最大の目標としていた測地データからの塑性歪みの分離に成功し,その研究成果について学会発表をしたのみならず既に論文としても公表されたため.
新潟神戸歪み集中帯のデータ解析から得られた結果について改めて見直すとともに,歪み速度パラドックスの問題について研究を進める.さらに,近畿地方など他の地域でどのような地殻変動が観測されているか,また今後どのような地殻変動が観測されると予測されるか研究を進める. -
地殻ダイナミクス -東北沖地震後の内陸変動の統一的理解-
研究課題/研究課題番号:19H05449 2019年4月 - 2020年3月
科学研究費補助金(新学術領域研究) 新学術領域研究(研究領域提案型)
飯尾 能久
担当区分:研究分担者
東北沖地震後に生起している現象を正しく理解することは、今後の推移を予測する上で非常に重要であるが、これまで、日本列島の内陸地殻がどのような変形特性を持っており、そこにどのような力が働き、その結果どのような変形が起こってきたかについては、実はよく分かっていなかった。そこで、地震、地殻変動、地質・地形、岩石物性、地下水などに関する総合的な調査研究を行い、内陸に働く力の大きさや媒質の変形特性、歪み速度などを把握し、数値シミュレーションによって観測されたデータを再現しようとした。
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東日本の島弧地殻における非弾性変形マッピング
研究課題/研究課題番号:18H01308 2018年4月 - 2022年3月
科学研究費補助金(基盤研究B) 基盤研究(B)
担当区分:研究代表者
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地殻ダイナミクスー東北沖地震後の内陸変動の統一的理解ー(国際活動支援班)
研究課題/研究課題番号:15K21755 2015年11月 - 2020年3月
科学研究費補助金(新学術領域) 新学術領域研究(研究領域提案型)
飯尾 能久
担当区分:研究分担者
絶対応力、非弾性変形とこれらに関係する媒質特性の研究に関して、Caltechやスタンフォード大などに所属するこれらの分野で世界的な業績を上げている海外の研究者と共同研究を行い重要な成果を上げた。また、Rechard H. Sibson名誉教授やPaul Segall教授など世界的に著名な研究者を招聘して、集中講義や講演会を行い若手研究者の育成を計ることが出来た。また、ユトレヒト大など世界最先端の装置や技術を持つ研究機関に研究者やポスドク等の短期・長期の派遣を行うとともに、それらの機関から短期に研究者を招聘することにより、データ解析や結果の検討を行うことが出来た。
世界的に著名な研究者や第一線で活躍する研究者と共同研究や議論を行うことにより、研究成果を批判的な視点を含めて適切にとりまとめすることが出来るとともに、その過程等を通して、若手研究者の成長に資することが出来た。さらに、学生や若手研究者の個々の研究に関しても、これらの世界的な研究者に聞いてもらい議論することで、彼らの成長を図ることが出来た。さらに、これらの海外の研究者を通して、本領域の成果を深く世界中に浸透させることが出来たことも大きい。これらのことは今後の関連する研究の進展に大きく寄与するものと期待される。 -
多層的復興モデルに基づく巨大地震災害の国際比較研究
研究課題/研究課題番号:15H01905 2015年4月 - 2019年3月
科学研究費補助金(基盤研究A) 基盤研究(A)
高橋 誠
担当区分:研究分担者
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Lake shoreline deformation and crustal magmatic flow in the Andes
研究課題/研究課題番号:15H05211 2015年4月 - 2018年3月
科学研究費補助金(基盤研究B)
WALLIS R・Simon
担当区分:研究分担者
アンデス高地中に約1万年前に複数の広大な湖が広がっていた。気候変動により湖が蒸発し、ウユニ塩湖が代表する巨大な塩湖に変身した。塩湖の盆地周辺の斜面には段丘が波の作用によって刻まれている。段丘は過去の優れた水平マーカーである。段丘の標高・形成時期を決定するために計27箇所におけるGPS測量及び、段丘と同時に形成した炭酸塩岩の年代測定を行った。その結果、同じ段丘群が場所によって、約20mの高低差があることが明らかになり、約1万年間における地殻隆起を示すと考える。隆起量が湖の中心ほど大きいので、隆起の原因は湖の水位低下と中部地殻における柔らかい岩石の流入によるものであると考える。
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異なる時空間スケールにおける日本列島の変形場の解明
研究課題/研究課題番号:26109003 2014年8月 - 2019年3月
科学研究費補助金(新学術領域) 新学術領域研究
鷺谷 威
担当区分:研究代表者
日本列島においては、測地学的な時間スケールと地質学的な時間スケールで歪み速度が一致しないという問題が未解決である。また、水平変動と山地の隆起運動についての統一的な扱いが行われておらず、火成活動に伴う地殻の成長や浸食・削剥と地殻変形との関係も明らかとなっていない。このように、島弧地殻の変形過程の全体像はいまだに明らかになっていないことは、島弧地殻のダイナミクスを解明していく上でも大きな障壁となっている。本計画研究では、測地学、地震学、地質学、火山学等の手法・知見を駆使して様々な時空間スケールにおける地殻変形過程を明らかにするとともに、様々な時空間スケールでの変形過程に関するモデルを構築し、島弧地殻の変形を統合的に理解する枠組みを提示することを目的とする。本研究では、(1)異なる時空間スケールの変形を統一的に理解するための枠組みの提示する、(2)水平変動と上下変動を総合的に扱う、(3)断層運動に伴う力学的な変形に加え、火成活動に伴う変形を考慮する、などの点で、日本列島の変形に関する従来の議論を刷新し、日本列島の変形過程に対して統一的な描像を提示するものである。本計画研究の成果を応力場の情報と組み合わせることで、列島の変形応答に関する知見が得られる。また、本計画研究の成果は日本列島における地震発生サイクルなど様々な現象の数値モデルを構築したり、列島内部の地震発生ポテンシャルを評価したりする上で重要な拘束条件を提供すると期待される。
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地殻ダイナミクス ー東北沖地震後の内陸変動の統一的理解ー
研究課題/研究課題番号:26109001 2014年7月 - 2019年3月
科学研究費補助金(新学術領域) 新学術領域研究(研究領域提案型)
飯尾 能久
担当区分:研究分担者
日本列島の歪集中帯で発生する大地震を引き起こす力の大きさは、従来言われている値の半分以下であること、東北沖地震の後に普段地震が起こらないところで発生した群発地震は、深部からの高圧の水の上昇によることが分かった。東北沖地震後の地殻変動の解析から、弾性変形(バネ的な変形)と非弾性変形(粘土的な変形)を分離することに成功した。東北日本後に太平洋沿岸は隆起する一方、中央部の山脈は沈降する原因は、山脈の地下に柔らかい領域が存在するためであること、太平洋岸沿いでの隆起は東北沖地震サイクルの中盤で沈降に変わり、地震発生の100年前は沈降速度が増加することが分かった。
大地震を引き起こす力の大きさは、約半世紀の間、世界的に大きな論争となっていたが、一つの答えが提出された学術的な意義は大きい。群発地震と水の関係は、なんとなく予想されていたが、その関係がデータから初めて定量的に示された意義も大きい。東北沖地震前後の地殻変動について、そのメカニズムや時空間変化の理解が進んだことは、今後の地殻変動の予測を可能とするもので、次の超巨大地震への備えを進める上でも社会的意義は非常に大きい。 -
宇宙測地技術による飛騨山脈周辺の地殻変動様式の解明
研究課題/研究課題番号:26400454 2014年4月 - 2018年3月
科学研究費補助金(基盤研究C) 基盤研究(C)
担当区分:研究分担者
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巨大海台衝突に伴う北部琉球弧のプレート間固着の研究
研究課題/研究課題番号:25287112 2013年4月 - 2018年3月
科学研究費補助金(基盤研究B) 基盤研究(B)
担当区分:研究分担者
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活断層によらない島弧地殻の変形様式の解明ー歪速度パラドックスの解消にむけてー
研究課題/研究課題番号:25350427 2013年7月 - 2018年3月
科学研究費補助金(基盤研究C) 基盤研究(C)
担当区分:研究分担者
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科学的知見をより良く反映し利用者にも伝わり易い地震発生長期評価法の提案
研究課題/研究課題番号:25282111 2013年4月 - 2016年3月
科学研究費補助金(基盤研究B) 基盤研究(B)
鷺谷 威
担当区分:研究代表者
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プレート沈み込み帯における大規模余効変動と断層強度回復過程の解明
研究課題/研究課題番号:22540437 2010年11月 - 2013年3月
科学研究費補助金(基盤研究C) 基盤研究(C)
鷺谷 威
担当区分:研究代表者
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チベット高原の湖テクトニクス:湖岸線の隆起と下部地殻の粘性
研究課題/研究課題番号:20403014 2008年4月 - 2011年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
担当区分:研究分担者
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2008年岩手・宮城内陸地震に関する総合調査
研究課題/研究課題番号:20900001 2008年
科学研究費補助金 特別研究促進費
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2004年新潟県中越地震の余震に関する調査研究
研究課題/研究課題番号:16800054 2004年
科学研究費補助金 特別研究促進費
担当区分:研究分担者
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関東地域のプレートの二重沈み込みに伴う変形過程の研究
研究課題/研究課題番号:16540384 2004年10月 - 2006年3月
科学研究費補助金(基盤研究C) 基盤研究(C)
鷺谷 威
担当区分:研究代表者