科研費 - 永尾 一平
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フッ素との蛍光反応を用いた海面・陸面からの硫化ジメチルフラックスの測定
2009年4月 - 2012年3月
科学研究費補助金 基盤研究C 課題番号21510012
永尾一平
担当区分:研究代表者
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フッ素との蛍光反応を用いた海面・陸面からの硫化ジメチルフラックスの測定
研究課題/研究課題番号:21510012 2009年 - 2011年
永尾 一平
担当区分:研究代表者
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
海洋植物プランクトンが生成する硫化ジメチル(DMS)は、大気中で硫酸エアロゾルとなり、雲形成に不可欠な凝結核となる。このDMSの海洋から大気への放出量を渦相関法などにより正確に測定することが求められている。本研究は、観測船のフォアマストに設置可能な小型で、渦相関法で要求される高時間分解能でDMS濃度変動を測定するため、フッ素との化学蛍光反応を利用した装置から構成される測定システムを構築し、これらを観測船上に設置して北部北太平洋上でDMSフラックス測定を実施した。
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東シナ海上でブラウン雲が雲粒核作用を通して下層雲の微物理学的性質に与える影響
2007年 - 2008年
科学研究費補助金 基盤研究C
石坂隆
担当区分:研究分担者
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東シナ海上でブラウン雲が雲粒核作用を通して下層雲の微物理学的性質に与える影響
研究課題/研究課題番号:19510016 2007年 - 2008年
石坂 隆
担当区分:連携研究者
雲粒核に関する集中観測を2008年2月18日から4月5日までの期間、国立環境研究所沖縄辺戸岬大気・エアロゾル観測ステーションで実施した。ブラウン雲としては、中国華南地方などを起源とし、硫酸イオン、黒色炭素(ブラックカーボン)、有機物質、アンモニウムイオンなどを主成分とするエアロゾルがしばしば観測された。これらの粒径分布は長時間海上浮遊に伴って成長したミクロンサイズのエアロゾル粒子を多数含んでいた。雲粒核数濃度は主に北北西風下でエアロゾル数濃度、ブラックカーボン濃度、硫酸イオン濃度などと良い相関関係を示した。また、雲粒核数濃度はしばしば中国華南地方などを起源とする大気汚染物質によって急増することが見出された。さらに、観測地点における雲粒核数濃度の変動を人工衛星MODIS 資料解析による高度-雲の光学的厚さと高度-雲粒の光学的有効半径との関係を調べ、ブラウン雲に起因する雲粒核が下層雲の微物理学的性質に及ぼす影響を研究した。その結果、下層雲の形成段階で高濃度の雲粒核数濃度は雲粒数濃度の増加さらに有効半径の減少に大きな影響を及ぼすが、発達期或いは衰退期への変質段階では、その影響が次第に弱まる可能性が推定された。
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微量気体成分の海面乱流フラックス直接測定法の開発
2006年 - 2010年
科学研究費補助金 特定領域研究「海洋表層・大気下層間の物質循環リンケージ」
塚本修
担当区分:研究分担者
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微量気体成分の海面乱流フラックス直接測定法の開発
研究課題/研究課題番号:18067010 2006年 - 2010年
塚本 修
担当区分:研究分担者
地球温暖化に直接関わる二酸化炭素が海面を通して吸収・放出される量を,現場で短時間に直接測定できる渦相関法の手法を用いて測定する手法の開発を行った。陸面に比べて微小なCO2交換量を高精度に算定するには,測定器の光学系の管理,またフラックス補正項の評価が不可欠であることがわかった。また,海面から放出され,上空での雲の形成に関わる硫化ジメチル(DMS)について,これまでできなかった渦相関法での放出量評価に取り組んだ。
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海水中の硫化ジメチル生成、大気への放出、洋上硫酸エアロゾル形成に至る過程の解明
研究課題/研究課題番号:16204044 2004年 - 2007年
植松 光夫
担当区分:研究分担者
軽元素測定に特化した蛍光X線分析装置を用いることで、簡便で迅速に海水中懸濁粒子の化学組成を計測するシステムを確立した。また、フッ素との蛍光反応を利用し、大気中のDMS濃度を10Hz程度の時間分解能で測定できる船上搭載型装置の開発に成功した。
夏季における北太平洋亜寒帯海域での鉄散布実験を行った白鳳丸航海、春季の生物生産の高い三陸沖での淡青丸航海、夏季に北太平洋亜寒帯海域の東西変化を調べる「みらい」航海において、海水中と大気中の生物起源物質の同時測定を行った。その結果、人工的に植物プランクトンのブルームを起こした鉄散布海域では、海水中のブロモメタン濃度とその大気へのフラックスの増加が見られた。また、プリムネシオ藻と海水中のブロモメタン濃度との間に正の相関を見いだした。三陸沖での自然ブルームが起こっている時期に、海水中のジヨードメタンやクロロヨードメタンが高濃度であり、大気中濃度も高く,海洋の生物活動が大気化学組成に影響していることを実測した。植物プランクトン起源の硫化ジメチル(DMS)については、北緯47度線上において、経度180度〜西経140度にかけて海水中濃度が顕著に増加し、海洋の生物生産、特にDMSPの生産が高い種の増加を反映していた。同時に観測した懸濁物粒子化学組成も、円石藻起源のCa濃度の増加を示し、海水中のDMS濃度上昇、そして、大気中のDMS濃度上昇にも対応していた。
以上、海水中での海洋生物種に対応した生成気体物質が同定され、その生成過程が明らかになった。また大気へのこれらの気体放出量を見積もる上で、海域の生物組成を反映した懸濁粒子化学組成測定手法や大気中へのフラックス直接計測手法が確立され、今後の大気海洋間の物質循環研究の発展に大きく貢献するものである。 -
海洋鉄散布実験における海洋表層・低層大気での生物化学的応答
研究課題/研究課題番号:16201003 2004年 - 2007年
津田 敦
担当区分:研究分担者
海洋の一次生産は窒素の供給によって制限されているのが一般的であるが、夏季においても硝酸塩が余りクロロフィル濃度が低いHNLC海域と呼ばれる海域が、南太洋、赤道湧昇域、亜寒帯太平洋に存在する。この要因として微量栄養素である鉄が制限要因となっていることが指摘され、この仮説の検証および、大気中二酸化炭素削減手法としての海洋鉄散布の技術開発・検証を目的として、各HNLC海域で、中規模鉄散布実験が1993年以来行われてきた。北太平洋においては、SEEDS,SERIES,SEEDS IIの3回の実験が行われ、本補助金においては、SEEDS IIの実施、SEEDSおよびSERIESの詳細解析と、取りまとめを主な研究目的として行った。さらに、亜熱帯海域における鉄・栄養塩添加実験を想定し、亜熱帯海域において予備的培養実験を行った。SEEDS IIおよび亜寒帯太平洋における他2回の実験結果は、国内ワークショップ1回、国内シンポジウム1回、国際ワークショップ1回、国際シンポジウム1回およびPICES-IFEP会議、SOLAS関連国際会議などを通じて行われ、鉄添加は植物の増殖を促進するが、そのタイミングや規模は、鉄濃度、混合層深度、動物プランクトン密度、季節によって大きく変化し、予測が困難であることが明らかになった。また二酸化炭素吸収技術としては、想定されていたより、捕食や呼吸によって消費される有機物が多く、効率がよくないことが、本実験を含む他の実験結果からも支持され、性急な技術開発に対する警戒感といった国際世論の形成に重要な役割を果たした。一方、亜熱帯海域における培養実験では、顕著な生物応答は観察されなかったが、研究の乏しい日本近海亜熱帯海域での基礎的資料を与えるとともに発展的なSOLAS関連プロジェクト(特定領域研究:海洋表層・大気下層間の物質循環リンケージ)の土台を形成した。
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都市大気オキシダントの増加トレンドに見られる2,3年変動のメカニズムの研究
研究課題/研究課題番号:16510006 2004年 - 2006年
永尾 一平
担当区分:研究代表者
配分額:3800000円 ( 直接経費:3800000円 )
1.大気汚染監視局データと気象データの収集と解析
都市大気(名古屋)のオキシダント測定データを入手し、オキシダント濃度の増加トレンド、および2,3年変動を特定し、その特徴を整理した。顕著に表れる期間(1985年〜1998年)と不明瞭な期間(1999年〜)に分けることができた。また、オゾン濃度とオキシダント濃度の関係を調べた結果、オゾンの寄与が高く、オゾン濃度の変動として解析することにした。さらにオゾン前駆物質である窒素酸化物(NO_X)、トータルの非メタン炭化水素(NMHC)、及び気象データなどについてオキシダントと同様の変動が存在するかについて解析を行った。
2.自由対流圏オゾンデータと太平洋上の地上オゾンデータの解析
名古屋などの都市の地上付近のオゾン濃度は、都市大気の光化学反応のほかに、自由対流圏のオゾンの影響も受ける。また、夏季などは太平洋からの海洋大気が輸送され、そのオゾンの影響も受ける。したがって気象庁のオゾンゾンデデータを解析するとともに、1994年12月〜1997年9月に我々が観測した小笠原諸島におけるオゾンデータの挙動についても解析した。
3.NMHCの成分別連続観測の実施
NO_Xと同様に重要な層NMHCの発生源は人為起源と自然起源の多岐にわたり、オゾンの変動を解明するためには、成分別のNMHC濃度の挙動を調べる必要があるため、C2〜C11のNMHCを測定するシステムを構築し、連続観測を実施した結果、名古屋の都市大気中のNMHCの挙動を明らかにするデータを得た。NO_Xに対し、春〜夏季にNMHC濃度が相対的に増加しオゾン生成効率に影響する可能性がある。これは主に植生起源のイソプレンの増加によるところが大きい。
この現象のメカニズムを解明するに至っていないが、2,3年変動が顕著に見られる期間と不明瞭な期間があることが分かり、さらに解析を継続している。 -
都市大気オキシダントの増加トレンドに見られる2,3年変動のメカニズムの研究
2004年
科学研究費補助金 基盤研究(C),課題番号:16510006
永尾 一平
担当区分:研究代表者
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海水中の硫化ジメチル生成、大気への放出、洋上硫酸エアロゾル形成に至る過程の解明
2004年
科学研究費補助金 基盤研究A(2)
植松光夫
担当区分:研究分担者
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海洋・大気間の物質相互作用研究計画(IGBP/SOLAS)の準備調査
2004年
科学研究費補助金 基盤研究C
植松光夫
担当区分:研究分担者
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植物起源炭化水素による汚染大気中のオゾン生成最適化に関する研究
2002年10月
科学研究費補助金 基盤研究C 課題番号14580549
永尾一平
担当区分:研究代表者
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植物起源炭化水素による汚染大気中のオゾン生成最適化に関する研究
研究課題/研究課題番号:14580549 2002年 - 2003年
永尾 一平
担当区分:研究代表者
配分額:2600000円 ( 直接経費:2600000円 )
都市の汚染大気におけるオゾンの光化学生成に関わるプロセスを明らかにするために、これまで知られている窒素酸化物(NO_x)や人為起源の非メタン炭化水素(NMHC)の他に植物起源のNMHCの寄与を季節変化を含めて調べることを目的とする。そのために、オゾンの光化学生成に不可欠な炭素数2〜10までの炭化水素の連続測定装置を構築し、都市大気の観測を開始した。特に植物起源の炭化水素として、イソプレン、αピネン、βピネンに注目し、他の炭化水素(主に人為起源)との比や、NO_xとの比を調べ、オゾンの日中の生成量との関係を調べる。また、NMHCの測定のほかに大気中のオゾン濃度、NO_xおよび全天日射量、オゾンの光解離に関わるB領域紫外線強度、NO_xの光解離に関連のあるA領域紫外線強度の自動連続測定も実施した。データは一分毎にパーソナルコンピュータに記録されている。
これらの測定データをもとに都市大気におけるオゾンやその前駆物質の季節変化、日変化を調べるとともにオゾン濃度の日中の増加量がオゾンの前駆物質であるNMHCやNO_xの濃度とどのような関係にあるか、またNMHCがNO_xに対して相対的に増加することによりオゾンの生成量にどのような影響を与えるかを調べている。
全ての測定装置が完成したのが昨年冬であるため、季節変化を議論できるには至っていないが、観測は継続中であり、光化学モデルの構築と測定データをモデルに取り入れたデータ解析を行う予定である。 -
海洋起源の硫黄化合物(硫化ジメチル)からみた大気―海洋相互作用の研究
研究課題/研究課題番号:13480156 2001年 - 2003年
増沢 敏行, 田中 浩
担当区分:研究分担者
海洋生物起源のDMSを通して大気と海洋間の相互作用に関わるプロセスを明らかにすることを目的として、本助成を受けて下記の項目の研究を行った。(1)大気DMSの自動連続測定システムを構築、(2)西部北太平洋上での観測船による大気と海水のDMSの測定、及びエアロゾルの化学組成の分析、(3)八丈島に観測点を設け、連続観測の実施。また、これらのデータ解析のため、気塊の輸送経路の解析、黄砂の飛来の確認、そして海洋の植物プランクトン量として、海色センサーを搭載した人工衛星SeaWiFSのデータを利用した。これらのデータと風速などの気象データからDMSの大気への放出量を推定し、大気DMS濃度との関係を解析した。また、DMSの測定と並行して大気エアロゾルの化学組成分析を行うための粒径別のエアロゾル採集と数濃度の測定を行った。
その結果、この海域の4月(春季)と12月(冬季)の海水中のDMS濃度を比較すると、4月が1.5〜2倍ほど濃度が高いことが分かった。植物プランクトンの季節変化をSeaWiFSによるクロロフィノル濃度から調べた結果、12月に比べ4月は特に沿岸でクロロフィルが増加しており、海洋生産の季節変化に対応したものであると考えられる。また、海洋生産の高い水塊から輸送されたきた気塊に覆わたときにエアロゾル中のメタンスルフォン酸(MSA)と硫酸塩エアロゾル濃度が有意に増加し、海洋からのインパクトが大気側に及んでいるケースを捉えることができた。一方、黄砂の飛来を確認できたが、黄砂が海洋生産に及ぼす影響を議論するに十分なデータを得ることはできなかった。 -
海洋起源の硫黄化合物(硫化ジメチル)からみた大気ー海洋相互作用の研究
2001年
科学研究費補助金 基盤研究B
田中浩、増澤敏行
担当区分:研究分担者
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木星エウロパの氷盤-液体海洋重層構造の形成維持機構の室内実験
研究課題/研究課題番号:11874063 1999年 - 2000年
萌芽的研究
田中 浩
担当区分:研究分担者
木星の衛星エウロパには厚い氷盤の下に液体の水の層が存在することがほぼ確実視されている。これを実験的に確かめるために、平成11年度は、冷凍実験室のなかで熱対流が氷を融解する過程、および氷層と水層の最終平衡状態を実験的に調べた。平成12年度は、種々の制約によって室内実験では十分確認できなかった部分を追試するとともに、氷.水2層構造の形成条件をパラメータを変化させることによって可能なかぎり一般性をもって導出することを数値実験によって試みた。
パラメータとして、レイリー数(Ra)と上下の温度差をとった。
(1)Ra=100,000の場合:上下の温度差を変えて実験すると、最終的には氷対水の厚さはおおむね1:9の状態に落ち着いた。しかし、氷と水の厚さの比が1:1になるケースも少ないながら存在した。水層の中では不規則な熱対流が活動しており、この先突然状態変化を起こすことも考えられる。
(2)Ra=10,000の場合:(1)の場合と状況は変わりない。
このように、不規則的に層の厚さの比が異なって出現するというカオス的状態が見られたのは興味ある結果である。詳細に追求する必要がある。 -
海洋生物圏起源の硫黄化合物を前駆物質とする大気エアロゾル及び雲の形成過程の研究
研究課題/研究課題番号:05402067 1993年 - 1995年
一般研究(A)
田中 浩
担当区分:研究分担者
平成5年度:父島での観測拠点の候補地選定のための予備調査を行うとともに観測に必要な各種機器を購入した。
平成6年度:父島にて観測地点の選定を行った。その結果、父島は候補地が局地的な汚染を受けること、電源などの問題があること等から、さらに約50km南下した母島に候補地を変更した。母島は父島に比べ汚染の影響も少ない上、南東側が海に面した観測に最適なステーションを設けることができた。これと並行して、DMS、オゾン、ラドンの自動分析システムを構築し、さらに無人で測定しているときの機器の動作状況を把握するため、現地と名古屋間の自動データ通信システムを構築した。このため、観測開始時期が予定より少し遅れたが、これにより無人でも自動的に一定間隔で測定ができ、密度の濃い観測が可能となった。これらの準備が整った後、12月に母島の観測ステーションに観測機器を搬入し、観測を開始した。
平成7年度:機器のトラブルや現地の停電などで一時的な欠測があるが、1年余りの期間、ほぼ連続的なデータが取得できた他、毎月1名を現地に派遣し、人手が必要な観測やエアロゾルの採集や測定を行った。エアロゾル試料は持ち帰り名古屋で分析を行った。また、気象データを入手し、気団の判別や気塊の経路を推定するために流跡線解析を行った。その結果、海洋性気団では雲の凝結核の形成に、海洋生物圏起源の硫黄化合物(DMS)の酸化生成物である非海塩硫酸塩が寄与していることが示された。しかし、大陸性気団下ではDMSから生成される以上の硫黄化合物が存在し、人為起源や大陸起源の硫黄化合物が影響していると考えられる。