科研費 - 有馬 寛
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研究課題/研究課題番号:23K08005 2023年4月 - 2026年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
須賀 英隆, 井下 尚子, 有馬 寛
担当区分:研究分担者
下垂体は恒常性維持の中心である。これまでホルモン分泌機構について解明されてきた一方で、下垂体組織に対するホルモン産生細胞の供給・維持機構については充分に解明されたとは言い難い。下垂体組織は再生能力が低く、一旦傷つくと回復は難しいからこそ、本研究でその解明を行いたい。
齧歯類を用いた研究では下垂体幹細胞について様々な視点から報告がなされるようになっている。一方、ヒトでは生体から正常な下垂体組織を採取する難しさもあって、幹細胞の研究は進んでいない。本研究ではヒトES細胞・iPS細胞を利用し、vitroでの分化技術と合わせることで、ヒト下垂体における幹細胞の存在に迫る。 -
免疫チェックポイント阻害薬による下垂体機能障害の発症予測システムの確立
研究課題/研究課題番号:22H03127 2022年4月 - 2025年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
有馬 寛, 岩間 信太郎, 須賀 英隆, 赤塚 美樹, 岩間 信太郎, 須賀 英隆, 赤塚 美樹
担当区分:研究代表者
配分額:17550000円 ( 直接経費:13500000円 、 間接経費:4050000円 )
ICIはその優れた抗腫瘍効果から種々の悪性腫瘍に対する治療適応が拡大しているが、ICI治療においては自己免疫機序の関与が推察されるirAEsの発生が問題となっており、この中に下垂体機能障害を含めた内分泌障害がある。本研究では、ICIによる下垂体機能障害に特異的な自己抗体とその標的抗原を同定するとともに、抗体価を定量評価するELISAや標的抗原に特異的なリンパ球を定量化するELISPOTアッセイを確立し、ICIによる下垂体機能障害の発症予測を可能とするシステムの確立を目指す。
免疫チェックポイント阻害薬(ICI)によって高率に生じる下垂体機能障害には、主に抗PD-1抗体により発症するACTH単独欠損症と抗CTLA-4抗体により発症する複合型下垂体機能低下症という異なる2つの病型が存在する。我々は、いずれの病型においても臨床的診断前に患者血中に下垂体組織を認識する抗下垂体抗体が認められることをこれまで報告したが、その自己抗体の標的抗原は明らかではない。
本研究の目的は、発症者に特異的に認められる自己抗体(抗下垂体抗体)の標的抗原を同定するとともに、抗体価を定量評価するELISAや標的抗原に特異的なリンパ球を定量化するELISPOTアッセイを確立し、ICIによる下垂体機能障害の発症予測を可能とするシステムを確立することである。
令和4年度の研究では、正常ヒト下垂体mRNAからcDNAライブラリを作成し(16,000種類)、プラスミドをほ乳類細胞株(293T細胞)に導入してタンパクを発現させる実験系を確立した。8,000種類のプラスミド由来タンパクを発現させた細胞と4名の抗PD-1抗体関連ACTH単独欠損症の患者血清(発症時血清)で蛍光免疫染色を施行し、複数のウェルにおいて陽性反応を得た。陽性ウェル内のDNAシーケンスによりこれまでに3種の自己抗体標的タンパク候補を同定し、それらについてELISAの開発を開始した。このように、令和4年度は作成cDNAライブラリの半数(8,000種類)のプラスミドと抗PD-1抗体関連ACTH単独欠損症の血清を用いて実験を進めている。これに並行する形で残りの8,000種のプラスミドを用いた抗原スクリーニングも開始するとともに、別のICIである抗CTLA-4抗体関連複合型下垂体機能低下症の発症者血清を用いた実験の準備も行った。
本研究では、ヒト下垂体cDNAライブラリ、もしくはヒトiPS細胞から分化誘導したACTH細胞(iPS-ACTH細胞)cDNAライブラリ由来の蛋白を用い、患者血清との反応から自己抗原のスクリーニングを行う。そして、スクリーニングにより抽出された自己抗原候補に対する自己抗体を定量評価するELISAの開発へと研究を進める計画である。
令和4年度にはスクリーニングに用いるcDNAライブラリの作成を完了し、計画通りに患者血清を用いた自己抗原のスクリーニングを開始できたこと、4名の患者血清を用いた蛍光免疫染色により患者血清が反応する細胞を評価する実験系を確立したこと、および反応タンパクをコードする標的抗原遺伝子をシーケンスにより複数同定できたことから、研究はおおむね順調に進展していると考えている。
ICIによるがん治療では、抗PD-1抗体単独療法の他に抗PD-1抗体と抗CLTA-4抗体の併用療法が実施され、それぞれの治療ではACTH単独欠損症と複合型下垂体機能低下症という異なる病型の下垂体機能障害が発生することから、標的自己抗原が異なる可能性が示唆される。
令和4年度は、抗PD-1抗体関連ACTH単独欠損症を発症した患者血清を用いた自己抗体の標的自己抗原スクリーニングを開始し、実験系を確立した。令和5年度は、同様の方法を用い、残りの8,000種のプラスミド由来タンパクから自己抗原候補のスクリーニングを進める。また、抗CTLA-4抗体関連複合型下垂体機能低下症の患者血清でも標的自己抗原のスクリーニングを開始する。令和5年度は、ICI関連下垂体障害の2つの異なる病型についてそれぞれ4名の発症者血清を用いた自己抗原スクリーニングを完了し、候補抗原のリコンビナントタンパクを用い、それぞれの候補に対するELISAの開発を進める予定である。ELISAの実験系が確立したものから症例数を増やした検討を行い、ICIによるACTH単独欠損症および複合型下垂体機能低下症に対する疾患特異性を検証する。 -
CTLA-4およびPD-1阻害による下垂体障害マウスモデルを用いた自己抗原の解明
研究課題/研究課題番号:22K08648 2022年4月 - 2025年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
岩間 信太郎, 有馬 寛, 有馬 寛
担当区分:研究分担者
免疫チェックポイント阻害薬(ICI)を用いたがん免疫療法では、重篤な有害事象として下垂体機能低下症(ICI-下垂体障害)が高率に発生する。ICI-下垂体障害には2つの病型(ACTHを含む複数の前葉ホルモンが種々の程度に障害されているICI関連複合型下垂体機能低下症とICI関連ACTH単独欠損症)が存在し、申請者は前者に対応するマウスモデルを開発した。本研究ではICI関連ACTH単独欠損症のマウスモデルを開発するとともに、これら2つのモデルにおいて、マウス血中に存在する下垂体に対する自己抗体をプローブとして標的抗原を同定し、ICI-下垂体障害のバイオマーカーおよび病因自己抗原を解明する。
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グルココルチコイドによるバソプレシン分泌調節機構ー仮面尿崩症の病態解明に向けてー
研究課題/研究課題番号:21K08552 2021年4月 - 2024年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
萩原 大輔, 有馬 寛, 有馬 寛
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
グルココルチコイドによる体循環へのバソプレシン(AVP)分泌制御が大細胞性AVPニューロンにおけるAVP産生を介しているか否かを明らかにする目的で,野生型マウスにデキサメサゾンもしくはグルココルチコイド受容体拮抗薬であるRU-486を腹腔内投与し,視床下部視索上核におけるAVP mRNAをin situ hybridizationにて評価した.現在までの検討では両群で視索上核におけるAVP mRNAの発現に有意な差を認めなかったが,今後は再現性の確認やAVP hnRNA発現の検討などが必要と考えている.
予備実験において,視索上核および室傍核の大細胞性AVPニューロンには,定常状態および低ナトリウム血症下のいずれにおいてもグルココルチコイド受容体の発現は認めなかった.以上より,グルココルチコイドが大細胞性AVPニューロンのAVP分泌に影響を与えるためには,大細胞性AVPニューロンの活性を調節する入力ニューロンにグルココルチコイド受容体が発現している必要がある。大細胞性AVPニューロンに入力するニューロンを標識する目的に,AVP-Creマウスの視索上核にCre依存性に蛍光タンパクを発現させる逆行性アデノ随伴ウイルスを注入した.同マウスの解析にて,終板器官,脳弓下器官および正中視索前核など水代謝やナトリウム代謝に重要な役割を持つ神経核において,視索上核の大細胞性AVPニューロンに入力するニューロンを標識することに成功した.また,免疫組織化学によりこの標識ニューロンはグルココルチコイド受容体を発現していることを確認した. -
研究課題/研究課題番号:20K08859 2020年4月 - 2023年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
須賀 英隆, 有馬 寛, 有馬 寛
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
本研究は、ヒトES/iPS細胞から視床下部神経幹細胞への分化誘導法を確立し、この細胞が神経幹細胞として機能することを示す。以下の3項目を並行して進めている。
項目A. ヒトES細胞のRax::Venusノックイン株を用いて視床下部神経幹細胞を単離、同定:2020年度は、ヒトES細胞を用いた視床下部神経への分化プロトコールを改良してRax持続陽性細胞を増やし、Venusを目印にcell sorterで分離採取したRax持続陽性細胞に神経幹細胞マーカーが発現していること、また、sortした細胞を接着培養することにより視床下部神経やグリア細胞へ分化することを確認した。2021年度は、分取したヒトES細胞由来Rax持続陽性細胞を用いてneurosphereを形成する培養条件を最適化、次にneurosphereを継代可能とした上で、継代後のneurosphereに視床下部神経幹細胞としての多分化能が維持されていることを示した。以上により、in vitroでの視床下部神経幹細胞としての性質を証明したといえる。neurosphereの凍結保存は可能としたものの細胞生存率がまだ低く、今後の改良が必要である。
項目B. 表面抗原を検索し、ノックイン細胞でなくとも視床下部神経幹細胞を単離可能にする:ヒトES細胞(Rax::Venusノックイン株)由来視床下部組織よりVenusを目印にsortしたRax持続陽性細胞の表面抗原を網羅的に解析することで、ある程度特異的な表面抗原を同定した。今後、ノックインされていない野生型のヒトES/iPS細胞でこの表面抗原が機能するか検討を進める。
項目C. 動物移植により、生着と視床下部神経への分化を証明する:短期間で繰り返し実験の行いやすいマウスES細胞を利用して移植の基本技術を確立した。
今後、ヒトES/iPS由来Rax持続陽性細胞での移植実験に移行する。 -
糖尿病患者における自己血糖測定記録電子化およびクラウドを介した主治医との共有による糖代謝改善効果の検討
2019年7月 - 現在
資金種別:競争的資金
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抗PD-1抗体誘発甲状腺炎マウスモデルを用いた免疫関連有害事象の発症機序の解明
2019年4月 - 現在
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
岩間信太郎
資金種別:競争的資金
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抗PD-1抗体誘発甲状腺炎マウスモデルを用いた免疫関連有害事象の発症機序の解明
研究課題/研究課題番号:19K08976 2019年4月 - 2022年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
岩間 信太郎, 有馬 寛
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
免疫チェックポイント阻害薬を用いたがん免疫療法では、自己免疫機序が想定される免疫関連有害事象(irAEs)の発生が課題であるが、発症機序は不明で、有用な動物モデルもないのが現状である。最も広く使用されている抗PD-1抗体では、irAEsとして甲状腺機能異常症の頻度が高い。
本課題では、抗PD-1抗体誘発甲状腺炎マウスモデルを開発し、甲状腺irAEs発症に関与する特異的リンパ球を同定する。甲状腺およびその他のirAEs患者検体においてマウスモデルの結果を検証し、ヒトのirAEsに共通する炎症発症機構を解明する。
irAEsの発症機序を解明し、がん免疫療法の発展および自己免疫疾患の病態解明へ繋げる。
抗PD-1抗体療法では破壊性甲状腺炎が高率に発症するがその機序は不明であった。本研究では、サイログロブリン(Tg)を皮下投与した後に抗PD-1抗体を投与し、破壊性甲状腺炎マウスモデルを確立した。本モデルにおいて、発症時にCD4陽性メモリーT細胞の増加、CD4陽性T細胞のTg特異的反応性および細胞傷害蛋白の発現が示された。破壊性甲状腺炎の発症はCD4陽性T細胞の除去により完全に抑制されたこと、発症マウス由来CD4陽性T細胞の移植によりレシピエントマウスで甲状腺濾胞の破壊が認められたことから、抗PD-1抗体による破壊性甲状腺炎の発症には細胞傷害性CD4陽性T細胞が必須であることが示された。
免疫チェックポイント阻害薬は細胞傷害作用を有するCD8陽性T細胞の活性化を介して抗腫瘍作用を発揮するが、免疫機序の関与する有害事象(irAEs)の発生が問題となっている。本研究より、抗PD-1抗体による破壊性甲状腺炎の発症には細胞傷害作用を示すCD4陽性T細胞が必須の役割を果たしていることが明らかとなった。本結果は、現在広く使用されている抗PD-1抗体による副作用の機序の解明およびその予防法の確立に繋がる成果と考えられる。 -
ヒト多能性幹細胞を用いた下垂体機能低下症に対する再生医療の技術開発
2018年4月 - 現在
日本医療研究開発機構 日本医療研究開発機構 再生医療実現拠点ネットワーク事業技術開発個別課題
須賀英隆
資金種別:競争的資金
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高脂肪食投与下の報酬系におけるプロテインフォスファターゼ1Bの作用解析
2018年4月 - 現在
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
坂野僚一
資金種別:競争的資金
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高脂肪食投与下の報酬系におけるプロテインフォスファターゼ1Bの作用解析
研究課題/研究課題番号:18K08473 2018年4月 - 2021年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
坂野 僚一, 有馬 寛
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
脳内報酬系は食嗜好において重要な役割を担う。報酬系のニューロンはレプチン、インスリンおよび炎症による調節を受けている。これら3つの因子を制御するprotein tyrosine phosphatase-1B (PTP1B)が高脂肪食に対する嗜好性に与える影響を調べたところ、
報酬系の中脳腹側被蓋野におけるドーパミンニューロンにおいて高脂肪食への嗜好形成に寄与することが示唆された。
ファーストフードの過食は肥満となる。ファーストフードに代表される高脂肪食への食嗜好について脳内報酬系ニューロンに着目し解析したところ、少なくともドーパミンニューロンにおけるprotein tyrosine phosphatase-1B (PTP1B)というタンパク質が高脂肪食への嗜好形成に寄与することが示唆された。ファーストフードへの食嗜好性の解明は将来における抗肥満薬開発への一助となる。 -
間脳下垂体機能障害に関する調査研究
2017年4月 - 現在
厚生労働省 厚生労働科学研究費補助金
有馬寛
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
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多能性幹細胞から視床下部と下垂体の機能的ユニットを作る
2017年4月 - 現在
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
須賀英隆
資金種別:競争的資金
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多能性幹細胞から視床下部と下垂体の機能的ユニットを作る
研究課題/研究課題番号:17K09878 2017年4月 - 2020年3月
須賀 英隆
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
下垂体は生体の恒常性維持において重要な働きをしているが、その下垂体は視床下部の制御のもとで機能している。下垂体機能低下症に対する現行のホルモン補充療法では、視床下部の働きを代償することが出来ないため、きめ細かく変動するべき血中ホルモンを再現できない場合がある。ヒト ES /iPS 細胞を用いた再生医療でこの点を解決すべく、下垂体と、その上位制御器官である視床下部との同時誘導技術を開発した。分化誘導したひとつの細胞塊の中に視床下部組織と下垂体組織とが併存し、機能的に連携していることを示した。
視床下部と下垂体が機能的に連携する仕組みを試験管内で初めて再現可能とし、低血糖など周囲の環境に反応する機能的な組織となっていることが判明した。下垂体機能低下症の再生医療においてより精密なホルモン分泌を再現できる新しい技術になり得る。加えて、下垂体と視床下部の両方を有した組織を試験管内で再現できているため、下垂体と視床下部の関連を解明する上でのモデルとしても期待でき、下垂体疾患の発症メカニズムの解明にも役立つと考えられる。 -
IoT活用による糖尿病重症化予防法の開発を目指した研究
2017年4月 - 2020年3月
日本医療研究開発機構 日本医療研究開発機構 IoT等活用生活習慣病行動変容研究事業
植木浩二郎
資金種別:競争的資金
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疾患モデル高度化による視床下部・下垂体難病研究
2017年4月 - 2020年3月
日本医療研究開発機構 日本医療研究開発機構 再生医療実現拠点ネットワークプログラム・疾患特異的iPS細胞の利活用促進・難病研究加速プログラム
須賀英隆
資金種別:競争的資金
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AVPキット「ヤマサ」のRIAキットを用いた血漿バソプレシン濃度の解析
2016年9月 - 現在
資金種別:競争的資金
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免疫チェックポイント阻害薬に伴う内分泌障害に関する研究
2016年7月 - 現在
小野薬品工業株式会社
資金種別:競争的資金
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高脂肪食誘発性の視床下部炎症におけるプロテインフォスファターゼ1Bの作用解析
研究課題/研究課題番号:15K09381 2015年4月 - 2018年3月
坂野 僚一
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
視床下部は体重調節において重要な役割を担う。高脂肪食を摂取すると早期より視床下部で炎症が生じ肥満形成の起点となることが知られている。レプチン、インスリンおよび炎症の調節因子であるprotein tyrosine phosphatase-1B (PTP1B)の高脂肪食摂取に伴う炎症における役割を調べたところ,ミクログリアにおいて炎症を増強すること、アストロサイトにおいて体重増加に寄与することが示唆された。
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エネルギーバランスにおける報酬系GABABシステムの機能解析
研究課題/研究課題番号:15K09426 2015年4月 - 2018年3月
科学研究費補助金
有馬 寛
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
ドーパミンニューロンあるいは線条体ニューロン特異的GABAB受容体ノックアウトマウスに高脂肪食を間欠投与すると、高脂肪食の摂取が野生型マウスより増加した。またGABAB受容体アゴニストであるバクロフェンを投与すると高脂肪食の過剰な摂取は抑制された。しかし、ドーパミンニューロンおよび線条体ニューロン特異的GABAB受容体ノックアウトマウスでは高脂肪食の過剰摂取の抑制は来さなかった。
以上の結果よりドーパミンニューロンあるいは線条体ニューロンのGABABシステムはエネルギーホメオスタシスの調節には関与しないが、報酬系の活性化を伴う高脂肪食の過剰な摂取を抑制する可能性が示唆された。