科研費 - 梅垣 宏行
-
研究課題/研究課題番号:21H02826 2021年4月 - 2025年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
梅垣 宏行, 佐竹 昭介, 亀山 祐美, 竹屋 泰
担当区分:研究代表者
配分額:15860000円 ( 直接経費:12200000円 、 間接経費:3660000円 )
入院時にフレイルの把握をすることは重要である。しかしながら、急性期入院時にフレイルの診断をすることは必ずしも容易ではないため、その概念の浸透にもかかわらず、医療の現場ではフレイル診断が広く普及しているとはいえない。
我が国の診療環境において正確な予後推定を可能とし、かつ、簡易な診療情報のみから算出可能なFIを開発することを主たる目的として、全国4施設の老年内科病棟の急性期入院患者の前向きコホート研究を実施する。
入院診療を必要とする高齢者が増加している。入院治療は、医師・看護師など多職種の監視下で濃厚な医療を施すことが可能であり、外来通院では治療が困難な、より重篤な病状に対して実施される。しかしながら、高齢者では、入院中に、せん妄、転倒、褥瘡、尿失禁の発生、ADL低下などの合併症(入院関連合併症)が起こることも多く、サルコペニア・フレイルの増悪をきたし、入院前よりも身体・認知機能の低下が起こることも多い。欧米では、入院などのイベントに伴って起こるacute sarcopeniaという概念も注目されているが、未だ詳細は明らかとなっておらず研究が必要とされている。さらに、フレイルな高齢者では、退院後も、早期再入院・施設入所・死亡などのリスクも高い。こうした、入院中および退院後の様々な結果を予防・改善するためには、まず、これらのイベントのリスク因子を特定する必要がある。
<BR>
こうした背景のもと、高齢でフレイルな高齢入院患者の登録研究を開始した。入院時の高齢者総合機能評価やフレイル評価などの後、入院中の合併症や退院時のADLやフレイルの評価、退院後3か月予後の調査を行い、高齢者の急性期入院の実態を明らかにするとともに、入院関連合併症やフレイルの悪化、予後不良などの関連因子を明らかにする。
参加4施設で、倫理承認を得て、患者登録が開始された。名古屋大学4528例、長寿医療研究センター306名、大阪大学127名、東京大学103名の登録を得た。
倫理承認の遅れによって、登録の開始が遅れた施設があった。
また、COVID-19の流行により、高齢者の入院が減少したことも影響した。
来年度も、登録を継続し、4施設のデータの統合を行っていく。
データ解析のイデアを募り、解析について、4施設間での合意を図り、解析を実施していく。 -
サルコペニア患者に対する腸内細菌叢への介入による効果的な運動療法の開発
研究課題/研究課題番号:21K11261 2021年4月 - 2024年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
石津 洋二, 本多 隆, 梅垣 宏行, 山本 健太
担当区分:研究分担者
サルコペニアに対する治療は運動療法であるが、十分な効果を得られないことが多い。近年、腸内細菌が産生する短鎖脂肪酸が骨格筋と関係している事が明らかになった。短鎖脂肪酸は腸内環境を整えることで炎症を抑え、それにより骨格筋の分解を抑える働きを持つ。さらに筋肉におけるエネルギー代謝にも関連し、運動時の易疲労性に対し予防的に働く。以上のことから、運動療法に短鎖脂肪酸産生を増加させるような腸内細菌叢への介入を加えることで、運動療法の効果を増強できるのではないかと考えた。そこで本研究は、サルコペニアに対し、腸内細菌叢への介入による効果的な運動療法を開発することを目的とする。
肝硬変患者におけるサルコペニア発症の要因として、吐き気や腹部膨満感などの消化器症状や食欲低下、慢性炎症、高アンモニア血症などが関与していると考えられているが、実際にこれらの要因のうち、最もサルコペニアとの関連性が強い因子については不明である。R3年度は運動栄養療法の効果と関連する腸内細菌叢について検討を行い、アミノ酸合成に関連する遺伝子量の違いがあることを見出しており、サルコペニアの治療における栄養の重要性を明らかにした。そこで、食事の摂取とサルコペニアとの関連について食欲に着目して検討を行った。肝硬変患者を対象に、食欲、消化器症状、TNF-α、IL-6濃度などの因子とサルコペニアとの関連性について検討した。食欲低下は約1/3の症例で認められ、食欲低下の有無による比較を行ったところ、女性であること、および吐き気や酸逆流などのGERD様症状や腹痛が食欲低下に関連していた。一方で慢性炎症に関連するサイトカインであるTNF-α、IL-6濃度には有意な差は認めなかった。次にサルコペニアとこれらの因子との関連性について検討したところ、肝予備能やTNF-α、アンモニア値はサルコペニアとは関連無く、年齢や進行した肝細胞癌はサルコペニアと関連する傾向を認め、食欲低下が有意に関連する因子として抽出された。このことから、肝硬変におけるサルコペニアでは慢性炎症や高アンモニア血症対策ではなく、食欲を増進させ、十分な栄養を体内に取り入れることが重要であることを明らかにした。また本年度計画していたヒトを対象とした酪酸産生菌をターゲットとしたプレバイオティクスを加えた運動栄養療法の開発について、現在プロトコールを作成中であり、R5年度から開始を予定している。
R3年度の研究で、当初計画していた酪酸産生菌であるPrevotella属と運動栄養療法の効果において関連性を見出すことが出来ていないため、昨年度から継続して運動栄養療法の効果に関連する腸内細菌の同定を目的として、症例数を増やして検討しているが、明確な結果が出ていない。そのため、視点を変えて、R4年度は栄養療法の観点から検討を行い、食事摂取の重要性を明らかにした。しかし、本研究の目的である腸内細菌叢をターゲットにした治療開発という点に関しては、ヒトを対象としたプレバイオティクスを併用した運動栄養療法についてはまだ開始されておらず、研究としてはやや遅れている。
運動栄養療法を行った症例数が若干増えているため、それらの腸内細菌叢を解析し、治療効果との関連性の検討をさらに行っていく。また併せて保存検体を用いて、アミノ酸解析も行う。さらにヒトを対象としたプレバイオティクスを用いた運動栄養療法をR5年度中に行う予定である。 -
運動による認知機能低下予防効果の機序の解明
研究課題/研究課題番号:15K08908 2015年4月 - 2019年3月
柳川 まどか
担当区分:研究分担者
ADの発症を予防するためには認知症発症以前のPreclinical ADと呼ばれる状態の特徴を明らかにすることが必要である。記銘力のみが低下している状態をMCIとよび、更に前段階である自覚的な物忘れのみがある段階をSCIとよぶ。
運動はその機序は明確ではないが認知症予防の有力な方法である可能性が指摘されている。我々はMCIの患者に対し運動介入の前後で運動による認知機能保護効果を検討した。SCIの患者に同様の試験を行う計画であったが医療倫理問題の深刻化から、髄液採取に関し慎重な対応が必要となり被験者登録に難渋し目標数を確保できず、やむなく補助事業期間内で終えることとなった。
今回試験を途中段階で終えるに至ったものの、MCIの患者における反省点を踏まえ、髄液アミロイドの検査においては手技的な差異が大きいことが疑われたため、試験開始前にはアミロイドβの検査における手技の熟達が必要であった。そして、予想どおり、髄液のアミロイドβやタウに個人差が大きいこと、髄液採取、分析による手技による差異が大きいことが判明した。
また、継続的に運動を被験者に施行してもらう具体的な工夫をしたが、被験者によっては簡単に運動をやめてしまうケースもあり、このような介入試験においては、自己申告による運動においては質の担保が難しいことがあらためて判明した。 -
運動による認知機能低下予防効果の機序の解明
2015年4月 - 2018年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
柳川まどか
担当区分:研究分担者
-
インスリン抵抗性に着目したアルツハイマー病バイオマーカーの縦断的研究
2015年4月 - 2018年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
梅垣宏行
担当区分:研究代表者
-
インスリン抵抗性に着目したアルツハイマー病バイオマーカーの縦断的研究
研究課題/研究課題番号:15K08907 2015年4月 - 2018年3月
梅垣 宏行
担当区分:研究代表者
配分額:4810000円 ( 直接経費:3700000円 、 間接経費:1110000円 )
本研究では、軽度の認知機能障害のある46名の登録を得た。データの不備などのために、データ解析には、40名のデータを使用した。同意を得た患者は、空腹時の血中インスリン(IRI)と血糖値(FBS)および一般性科学検査が実施され、Mini Mental State Examination (MMSE)を含む認知機能評価を実施した。MMSEのcut-offである23/24で全体を2群〔認知機能低下群Vs認知機能維持群〕にわけT検定を実施した。2群に血糖値とHbA1cには差がなかったが、IRIは認知機能低下群で有意に高かった。インスリン抵抗性の認知機能低下への関与が推測された。
-
認知症患者と介護者の音楽運動療法による生活の質を改善するプログラムの開発
研究課題/研究課題番号:26670369 2014年4月 - 2018年3月
平野 明美
担当区分:その他
対象者は42人、介入群とコントロールでアディポネクチンとホモシステインは有意に改善した。高感度CRPと BMIの有意な変化がなかった。ZBIは介入群では有意差がなかったが、コントロールでは有意に悪化した。GDSは介入群では有意に改善し、コントロールでは変化がなかった。
介入群においては運動の効果があり、アディポネクチンの低下とうつの重症度が関連する報告から、コントロールにおいては身体活動量総量が増えていないにも関わらず変化があったことから心理的な影響であると考える。本研究の身体活動量は高齢者が継続しやすい活動量を設定した為BMIの有意な低下がなく高感度CRPが低下しなかったと考えられる。 -
抗認知症薬の経鼻投与の効果・臨床応用への可能性の検討
2012年4月 - 2015年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
鈴木祐介
担当区分:研究分担者
-
運動による認知機能改善効果の機序の解明
2012年4月 - 2015年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
柳川まどか
担当区分:研究分担者
-
細胞老化制御による進行動脈硬化症治療―本邦高齢者へのオーダーメイド治療を目指す―
2009年4月 - 2012年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
林 登志雄
担当区分:研究分担者
-
アルツハイマー病における自律神経機能評価などによる中枢神経機能評価の試み
2009年4月 - 2012年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
担当区分:研究代表者
-
高齢女性の動脈硬化性疾患予防と健康長寿を目指すアジア老年医学研究
2008年4月 - 2010年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
林 登志雄
担当区分:研究分担者
-
一酸化窒素、活性酸素制御を介する血管内分泌及び血管老化制御による動脈硬化退縮療法
2007年4月 - 2009年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
林 登志雄
担当区分:研究分担者
-
DLBの診断治療に関する総合的研究
2005年4月 - 2008年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
担当区分:研究代表者
-
レビー小体型痴呆の診断治療に関する総合的研究
2005年4月 - 2006年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
梅垣 宏行
担当区分:研究代表者
-
アルツハイマー型痴呆症における自律神経系障害の発症機序の基礎的検討
2003年4月 - 2005年3月
科学研究費補助金 若手研究(B)
梅垣 宏行
担当区分:研究代表者
-
ドーパミンD2受容体の遺伝子導入による記憶障害治療の試み
2002年4月 - 2004年3月
科学研究費補助金
井口昭久
担当区分:研究分担者
-
遺伝子導入によるラット脳ドパミン受容体発現のポジトロン断層法によるインビボ測定
1998年4月 - 2000年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
石渡喜一
担当区分:研究分担者