科研費 - 小島 寛樹
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大気圧温度制御プラズマ処理による樹脂製高電圧絶縁材料の特性改善に関する研究
研究課題/研究課題番号:22K04057 2022年4月 - 2025年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
浦井 一, 小島 寛樹, 沖野 晃俊
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
大気圧低温プラズマは,反応性の高い活性種を高密度に生成できることから,高分子材料や金属の表面処理への応用が進んでおり,材料表面の疎水性・撥水性の付与,異種材料の接着性向上,酸化チタン膜のコーティングなどの効果が実証されている。本研究では,高電圧機器で用いられている樹脂製の絶縁材料の特性改善に着目し,照射するプラズマのガス種や温度を自由に制御できる独自のプラズマ装置を用いた大気圧低温プラズマ照射により樹脂表面を改質して,高電圧分野において課題となっている樹脂製絶縁物の沿面耐電圧の向上および帯電抑制/除電促進といった電気的特性に及ぼす影響を明らかにする。
本研究では,大気圧プラズマジェットを金属や樹脂に照射することで,親水性・疎水性のコントロールが可能であることから,プラズマ処理により,樹脂材料表面の電気的特性のコントロールに着目した。高電圧機器で用いられる絶縁材料に関して,プラズマ処理により辺面耐電圧特性と,帯電のコントロールが可能か調査することを目的としている。新しく立ち上げたテーマであり,今年度は,大気圧プラズマ発生装置の製作,プラズマ特性計測システムの構築,絶縁材料表面状態観測システムの構築,電気的特性計測方法の調査・検討を行った。以下に得られた主な結果を示す。
1. 電源にインバータ式のネオントランスを使用した9kVの高電圧電源を製作し,コンプレッサーを用いて昇圧した作動ガスをプラズマジェット部に導入して,低温プラズマを生成可能とした。ガス流量を調整可能なシステムとして,ガス流量とプラズマ発光特性を調査し,樹脂材料へのプラズマ照射条件を決定した。
2. 分光計測装置を導入し,ガス流量および作動ガス種(O2, N2, CO2, Ar, Air)をパラメータとしたプラズマの発光特性を測定した。
3. 被照射試料の表面観測のため,微量の精製水を滴下して接触角を測定可能な,材料表面の濡れ性計測システムを構築し,プラズマ照射後の絶縁樹脂材料の表面観察を可能とした。
4. 電気的特性として,表面抵抗測定および帯電量の測定方法を調査し,JIS規格に沿った体積抵抗測定および,針電極に高電圧を印加させる帯電測定方法を用いることを決定した。
大気圧プラズマジェット装置を製作し,樹脂材料へのプラズマ照射実験を開始した。プラズマを照射した樹脂の濡れ性の計測を計測できるシステムを構築し,表面状態と電気特性の相関を調査できるようにした。電気特性として,表面抵抗と帯電量の測定の測定方法を決定した。
大気圧プラズマ照射により樹脂表面特性をコントロールする条件を実験により求める。実験で表面濡れ性に変化がみられるサンプル樹脂を抽出して,プラズマ処理が電気的特性を変化させる条件を検討する。 -
直流ガス絶縁電力機器における導電率傾斜機能材料による革新的電界制御 国際共著
研究課題/研究課題番号:18H01423 2018年4月 - 2021年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
小島 寛樹, 早川 直樹, 加藤 克巳
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:17810000円 ( 直接経費:13700000円 、 間接経費:4110000円 )
本研究では直流ガス絶縁開閉装置(DC-GIS)への誘電率/導電率傾斜機能材料(ε/σ-FGM)の適用による電界制御の効果を明らかにした。SiC導電性フィラー混合によるエポキシコンポジットの導電率変化範囲において構成されたU字型誘電率分布/接地側高導電率分布のε/σ-FGMをDC-GISのスペーサに適用することにより、直流定常状態、極性反転時、直流電圧投入時、雷インパルス電圧重畳時の全てに対し電界緩和効果を得ることができ、さらに導体温度上昇に対してもロバスト性を持つことを示した。
高電圧直流送電技術は、交流系統における連系強化に伴う安定度の問題などに対応するため、特に欧米や中国において需要が高まっている中、さらなる絶縁設計の最適化が求められており、その中で温度分布の影響への対応など、電界制御の重要性が再認識されている。
本研究成果は、絶縁・機械的支持という受動的な機能のみであった絶縁スペーサに、電界制御という機能を持たせることが革新的であり、さらに温度分布の影響が大きい直流電気絶縁において高いロバスト性を示すことが明らかになり、直流電気絶縁設計の革新に大きく寄与できると期待できる。 -
超伝導限流器の実用化に向けた高信頼度化と合理的設計・運用に関する研究
研究課題/研究課題番号:17H03215 2017年4月 - 2020年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
早川 直樹, 小島 寛樹
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
本研究では,安価で停電の少ない次世代の送電システムの構築を目指し,電気抵抗0の超伝導技術の活用方法を検討した.特に,落雷等による停電を防止するための「超伝導限流器」の新規開発と実用化に向けて,超伝導状態を維持するための液体窒素の電気的特性を解明し,信頼性が高く合理的な超伝導限流器の設計方法を提示した.また,送電システムへの超伝導限流器の効果的な導入・運用方法を提示した.
超伝導限流器を運用するためには,沸点-196℃の液体窒素で冷却する必要がある.しかし,超伝導限流器の内部で発熱が起こると,液体窒素中に大量の気泡が突発的に発生し,超伝導限流器の機能が破壊される危険性がある.本研究では,液体窒素中の気泡が超伝導限流器の機能を破壊させるメカニズムを実験によって解明し,その対策を提示した.さらに,落雷等による停電を効果的に防止するためには,送電システムのどの位置に何台の超伝導限流器を配置すればよいかについて,モデルを用いて解析した.これらの研究により,安価で停電の少ない次世代の送電システムの構築が期待される. -
研究課題/研究課題番号:26630110 2014年4月 - 2017年3月
科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
小島 寛樹, 早川 直樹
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:4030000円 ( 直接経費:3100000円 、 間接経費:930000円 )
真空遮断器などの真空絶縁機器の直流送電系統への適用拡大に向けて、直流電圧の極性反転時における帯電分布変化などの機器絶縁への影響を考慮する必要がある。特に、固体絶縁物沿面上の帯電現象に着目し、極性反転時における固体絶縁物上の電荷挙動について検討した。
帯電電位と発光強度の時間推移の双方から、直流電圧の極性反転時には、沿面放電に至らずとも帯電を中和するような電荷挙動が起こり、その時定数は数ms~十数ms程度と比較的遅いことが明らかとなった。 -
限流・復帰機能を有する超伝導ケーブルの電力システム導入効果に関する研究
研究課題/研究課題番号:24760228 2012年4月 - 2015年3月
科学研究費助成事業 若手研究(B)
小島 寛樹
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:4550000円 ( 直接経費:3500000円 、 間接経費:1050000円 )
次世代電力機器として、超電導ケーブルに限流機能を複合化した超電導限流ケーブル(SFCLC)を提案し、超電導線材の長尺化によるフラックスフロー抵抗を用いた限流動作の実現を目的とする。SFCLCの通常時における運転温度分布を考慮した限流特性の検討を行いSFCLCの設計における技術指針を示した。
さらに、系統に複数のSFCLCが導入された場合のSFCLCの限流協調について検討し、各SFCLCが並列接続された動作を行う場合は、それぞれのSFCLCが単独時の時と同様の特性を示し,直列接続時には臨界電流の低いSFCLCが限流動作を支配することを明らかにした。 -
研究課題/研究課題番号:24656186 2012年4月 - 2014年3月
科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究
大久保 仁, 花井 正広, 小島 寛樹, 早川 直樹
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
将来の電力系統は経年機器の増加の中で,高い信頼度と経済性を有する電力供給が求められており,機器の性能や信頼度に基づき各機器の故障が電力システム全体に及ぼすインパクトが最小となるように電力システムを運用・制御・管理することが必要である.これを実現するため,IGMS(Intelligent Grid Management System)を提案し検討を行った.その結果,機器劣化進展予測に基づく潮流制御及び機器診断に基づくリアルタイム潮流制御,また系統全体の機器に対する保守戦略を考慮することによって,IGMSの適用により,電力システム全体の信頼性向上,総合経済性の向上の両立が実現する手法を開発した.
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研究課題/研究課題番号:21360128 2009年4月 - 2012年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
早川 直樹, 大久保 仁, 遠藤 奎将, 花井 正広, 小島 寛樹
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
本研究では,次世代電力システムへの導入・実証試験が世界中で進められている高温超伝導ケーブルについて,その技術的障壁の一つである極低温環境下における電気絶縁特性を体系的に調査するとともに,275kV 高温超伝導ケーブルの合理的な絶縁設計指針を提示した.
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高温超伝導ケーブルの動的複合ストレス環境を考慮した高信頼度化に関する研究
研究課題/研究課題番号:18360135 2006年4月 - 2008年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
早川 直樹, 大久保 仁, 小島 寛樹
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
世界各国の高温超電導ケーブル開発プロジェクトでは,実験室レベルの研究を脱して実規模のフィールド試験が実施・計画されている.高温超電導ケーブルの開発・実用化のためには,その運転中に想定される各種のストレス環境を考慮した電圧・電流設計が必要となる.そこで,本研究では,高温超電導ケーブルにおける熱/電界ストレス,静的/動的ストレスなどの複合ストレス環境を想定した絶縁特性を取得・評価することにより,高信頼度かつ合理的・実用的な高温超電導ケーブルの絶縁設計に資することを目的とし,以下の研究成果を得た.
(1)熱/電界複合ストレス下における部分放電現象の基礎特性
高温超電導ケーブルの通電・絶縁構造を模擬した液体窒素/積層テープ複合絶縁系を構成し,大気圧液体窒素中および減圧過冷却液体窒素中において,クエンチ時の熱/電界複合ストレス下における部分放電(PD)特性について検討するとともに,部分放電開始電圧(PDIV)の熱/電界複合ストレス依存性を明らかにした.
(2)液体窒素/積層テープ複合絶縁系におけるインパルス部分放電特性
液体窒素/積層テープ複合絶縁系からなる平行平板電極モデルおよび同軸円筒電極モデルにおいて,ハイパスフィルタ(HPF)を用いることによりインパルス電圧印加時に発生するPDを検出し,インパルスPD開始特性および絶縁破壊(BD)特性を明らかにした.
(3)交流/インパルス重畳電圧印加時における部分放電特性
高温超電導ケーブルの常規交流電圧運転時における雷サージ等の過渡過電圧の侵入を模擬するため,平行平板電極モデルにおいて交流/インパルス重畳電圧下におけるPD特性を取得し,印加電圧ストレスに基づいてPDの発生条件および継続時間特性を明らかにした. -
超伝導限流変圧器の電力システム導入効果に関する実証的研究 国際共著
研究課題/研究課題番号:16106004 2004年4月 - 2009年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(S)
大久保 仁, 遠藤 奎将, 早川 直樹, 加藤 克巳, 小島 寛樹, , , MATHIAS Noe, JUENGST Klaus-Peter
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
本研究は,超伝導変圧器と超伝導限流器を複合多機能化した「超伝導限流変圧器(SFCLT)」を開発し,その電力システム導入効果を実証的に検証することを目的とするものである.本研究により,最先端のYBCO超伝導テープ導体を用いた配電系統レベル(2MVA,22kV/6.6kV)のSFCLTを設計・製作し,各種の機能検証試験を通じてSFCLTの有効性を検証することができた.
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研究課題/研究課題番号:00J04308 2000年4月 - 2003年3月
科学研究費補助金 特別研究員奨励費
小島 寛樹
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金