科研費 - 吉田 隆
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ナノ組織制御超伝導線を用いた縦磁界直流電力輸送ケーブルの高性能化に関する研究
研究課題/研究課題番号:21H01872 2021年4月 - 2024年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
木内 勝, 吉田 隆
担当区分:研究分担者
本研究では、ナノ組織制御技術を用いて線材に欠陥(人工ピン)を導入したRE(Rare-Earth)系コート超伝導線材と、超伝導線材の電流通電の方向に磁界を平行に加えることにより電流容量が大きく増加する縦磁界効果を用いて、軽量でコンパクトな高性能直流電力輸送ケーブルの実現を目的とする。この2つを組み合わせることにより、従来の超伝導ケーブルに比べて2倍の電流量を有する直流電力輸送ケーブルを目指すと共に、水素の排熱等による低コストケーブルシステムや、工場敷地内の大電流容量が必要とされる建屋間を結ぶ高密度な電力輸送システム構築、電車のき電線へ利用できる超伝導ケーブルの基礎技術の確立を行う。
本研究では、ナノ組織制御技術を用いて線材に欠陥(人工ピン)を導入したRE(Rare-Earth)系コート超伝導線材(以下RE系コート超伝導線材)と、超伝導線材の電流通電の方向に磁界を平行に加えることにより電流容量が大きく増加する縦磁界効果を用いて軽量でコンパクトな高性能直流電力輸送ケーブルの開発を目的とする。今年度の実績は下記である。
1)縦磁界で有効な人工ピンの解明について、市販されている長尺線材の微細組織観察から、ピンの形状などを調査した。特に線材の作製速度を変化させると、製膜過程で導入される積層上の欠陥等が縦磁界下で、大きな臨界電流密度を示す傾向があることがわかってきた。さらにPLD法膜の場合はその傾向を示すことがわかった。
また、縦磁界下での臨界電流密度の振る舞いを調べるために、超伝導層の厚膜に注目し、調査を行った。僅かであるが厚い超伝導層の方が臨界電流密度が増加することがわかった。
さらに縦磁界下での臨界電流密度の増加のメカニズムを明らかにするために、テープ線材表面の電界構造から量子化磁束の運動を調べた。この結果から超伝導が厚い方が、縦磁界による量子化磁束の運動が大きいことがわかってきた。
2)ケーブル開発においては、全長700 ㎜程度のケーブルが過冷却で測定できる容器を設計し、装置を開発した。容器内の温度が67 Kまで冷却が可能で、数時間温度を維持できることを確認した。また、過冷却下でのケーブル通電試験を実施するために、線材の縦磁界特性を考慮してケーブルの設計、及び作製を行った。
また、作製するケーブルの電流通電量は数千アンペアに達するために、電流の不均一な流れが必要なるために、接触抵抗とケーブル容量の関係を調査中である。
縦磁界下で高い臨界電流が得られる線材開発において、ナノロッド人工ピンのような形状でなく、作製時に自然に導入されるピンが有効であることがわかってきた。従って、線材作製にそのようなピンを積極的に導入するための作製速度、温度等を調べ、その手法を適用して線材を作製する。更に、超伝導層の厚さとの関係も同時に調査する。
本研究の重要な目的の一つである、過冷却下での特性評価を可能にする、測定機器を購入し、準備を整えている。更に、過冷却温度での特性評価のための縦磁界直流ケーブルの準備を、現在縦磁界下で一番大きな臨界電流密度が得られる線材を用いて、設計及び作製を行っている。縦磁界下での臨界電流密度決定機構の解明においては、超伝導層が厚い線材の方が高特性が得られる傾向が得られ、継続的に調査中である。
ケーブル特性評価においては、電流端子部の接触抵抗の影響を低減する方法を模索中である。
縦磁界下で有効に作用するピン、及び作製法、厚さを変化させて長い線材作製を行う予定である。また、継続して、縦磁界下での臨界電流密度のピンニング機構解明を行う。
ケーブル評価においては、過冷却容器の準備を進め、さらにその容器で評価を行うケーブル開発を行う。特に、過冷却にすると、臨界電流密度が大きく増加するので既存の電流源で評価可能なケーブルの設計を進め、ケーブル作製し、通電測定評価を実施する予定である。 -
革新的機能性酸化物の創成に向けたヒエラルキカル物質科学の構築
研究課題/研究課題番号:20H02682 2020年4月 - 2024年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
一野 祐亮, 吉田 隆
担当区分:研究分担者
超伝導や熱電変換などの機能性酸化物は、従来物材料をしのぐ機能性を持っているが、結晶構造に起因した機能性の物理的異方性を持っているため、結晶方位を揃えなければ十分な性能を発揮することが出来ない。一方、ナノ構造制御によってその機能性が大幅に向上する。しかし、様々な応用に対しては十分な体積が求められている。本課題では、ナノ階層、マイクロ階層とヒエラルキカルに分離し、薄膜技術を用いたナノ組織制御、結晶成長技術を用いた厚膜、フリースタンディング膜の積層による高体積率化などの技術を開発し、融合させることで応用指向の高機能性酸化物材料を創製するヒエラルキカル物質科学を拓く。
昨年度は水溶性のNaCl単結晶基板上に、REBCO超伝導薄膜の中でも比較的低い温度でエピ成長が得られるYbBCO薄膜の成膜を行ったが、エピ成長は得られなかった。また、MgB2超伝導体も成膜したが、結晶成長が見られなかった。
今年度は、SrTiO3単結晶基板上に水溶性の中間層Ba3Al2O6 (BAO)のエピ膜を作製し、その上にYBCO膜をエピ成長させることを目的とした。その結果、BAOのエピ膜が成長する条件を明らかになった。また、BAOエピ膜の水溶条件も明らかにした。BAOエピ膜上にYBCOエピ膜の成膜を試みたところ、エピ成長は得られたが上記水溶条件ではYBCO膜を剥離することができなかった。一方で、YBCOがエピ成長していない条件では剥離することができた。
この原因としては不明であるが次のことが考えられる。(i) YBCOとBAOが界面で反応し、非水溶性層が生成した、(ii) YBCOのエピ成長条件にさらされるとBAOが水溶性を失う。これらを検証することが必要である。
YBCO膜の剥離はできたものの、YBCOエピ膜での剥離は成功していないため。
上述した考えられ得る原因を検証するために、YBCOとBAOの間に、基板材料でもあるSrTiO3(STO)層を挟むことでYBCO/BAO間の反応を抑えることを試みる。また、STOよりも比較的低温でエピ成長する導電性酸化物などもYBCO/BAO間に挟み、エピ成長、剥離特性などを評価する。 -
自己組織化を利用したエネルギー・エフィシェント・マテリアルの創製ーの探索
2016年4月 - 2019年3月
科学研究費補助金
担当区分:研究分担者
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高温超伝導線材における高ひずみ特性の観点から最適な人工ピンニングセンターの探索
2016年4月 - 2019年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
担当区分:研究分担者
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高温超伝導線材における高ひずみ特性の観点から最適な人工ピンニングセンターの探索
研究課題/研究課題番号:16H04512 2016年4月 - 2019年3月
菅野 未知央
担当区分:研究分担者
磁場中臨界電流(Ic)を向上するために導入される人工ピンニングセンター(APC)を含む高温酸化物超伝導体SmBa2Cu3Oy(SmBCO)薄膜について、APC導入によるIcのひずみ効果への影響に関する研究を行なった。APCの一種であるBaHfO3(BHO)の添加有無により、自己磁場下でIcが最大値をとる線材軸方向ひずみ(ピークひずみ)の温度依存性に差異が観察された。77 K、磁場中では、無添加線材と比較してBHO添加線材でひずみによりIcが増加するピーク効果がより高磁場まで継続する振る舞いが観察された。以上のように、APC導入によりIcのひずみ効果に影響があることが明らかになった。
本研究で対象とした希土類系高温超伝導体は、他の材料と比較して磁場中で高い臨界電流を有していることから、高磁場超伝導磁石への応用が期待されている。一方、高磁場磁石においては、コイルに対して強大な電磁力が作用するため、機械的特性の評価が重要になる。本研究で開発した、ひずみ効果測定用インサートは、同種の装置としては大電流である500 Aの通電が可能であり、液体ヘリウム温度、外部磁場15 Tという実使用環境での線材の臨界電流をひずみ負荷状態で評価することができる。本超伝導線材に限らず、今後様々な磁石候補線材の評価に使用できる。 -
高効率超伝導送電技術へのナノ組織制御・フォースフリー融合技術の構築
2015年4月 - 2018年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
担当区分:研究代表者
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高効率超伝導送電技術へのナノ組織制御・フォースフリー融合技術の構築
研究課題/研究課題番号:15H04252 2015年4月 - 2018年3月
吉田 隆
担当区分:研究代表者
配分額:16250000円 ( 直接経費:12500000円 、 間接経費:3750000円 )
超伝導の物理現象「フォース・フリー状態(縦磁界効果)」を用いて、長距離超伝導直流送電技術応用が期待される超伝導ケーブルを検討する。そこで、液体窒素温度(77K)、縦磁界下における特性向上をめざし、REBa2Cu3Oy (REBCO; RE = rare earth)超伝導膜および線材のナノ組織制御技術を構築した。
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量子化磁束のダイナミックスと物質科学への展開
2011年6月 - 2016年3月
科学研究費補助金 基盤研究(S)
担当区分:研究分担者
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ナノ組織制御によるハイブリッドエネルギー材料の創生
2007年10月 - 2012年3月
科学研究費補助金 若手研究(S)
担当区分:研究代表者
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人工ナノ欠陥を導入した熱電変換薄膜モジュール
2006年4月 - 2007年10月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
担当区分:研究代表者
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室温領域における廃熱利用酸化物熱電変換薄膜の創製
2004年5月 - 2006年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
担当区分:研究代表者
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酸化物系超伝導薄膜のVapor-Liquid-Solid成長に関する研究
1999年
科学研究費補助金