科研費 - 工藤 博章
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高精細映像受容時のオクルージョン知覚機構に関わる視覚情報処理の分析
研究課題/研究課題番号:19K12018 2019年4月 - 2022年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
工藤 博章, 山田 光穗
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )
オクルージョンは3D映像の知覚の研究領域だけではなく,コンピュータビジョンの研究領域において,ステレオ非対応領域という負の側面から,モデルとして詳細な検討は行われていない.しかし,人はオクルージョンを積極的に利用して,奥行き知覚や3次元物体の再構成に役立てている可能性がある.本研究で実施する分析を行うことにより,人が脳内でどのようにしてオクルージョンを知覚して,奥行き知覚に活かしているかを明らかにし,2D映像のもたらす奥行き感,3D映像におけるオクルージョンの役割の解明,等輝度知覚条件に基づいた色情報に基づいたオクルージョン知覚処理過程の解明を行う.
本研究課題では,人の網膜の解像能力を超える高精細画像を用いて輻輳眼球運動と水晶体の屈折度を測定することにより,オクルージョン知覚機構の性質を考慮して3次元画像を再現する手法の提案と,脳内の複数の視覚過程における対応点検出メカニズムを,非侵襲に解明を行うことを目的としている.
まず,人の網膜と同等の解像度を実現できる2D映像を用いて,オクルージョン知覚時の生体信号と臨場感や実物感などの知覚に関する評価を行うことを計画した.これに対して,高精細画像を用いて,生体信号を計測するためのシステムの構築を進めた.一枚の高精細映像の提示系の装置に加えて,3D提示をする上で,複数の生体信号(眼球運動と水晶体の屈折)の記録装置での動作検証を実施した.視差付の映像の組を表示させ,裸眼立体視による融合は可能であったが,より負担の少ない刺激提示方法の検討を行った.偏光フィルタとハーフミラーの設置による2台の映像提示装置を用いた立体像の観察を計画した.この環境で生体信号の計測での干渉があり,また,左右像のクロストークの解決を行うための設計を行っている.同時に,生体信号記録のための環境の整備を進めている.ハーフミラーを用いた映像での実験を行い,眼球運動の計測を行った.また,今年度,生体信号記録装置の導入を行ない,刺激提示と記録装置の連動を考慮したソフトウェアでの実装を行い,記録システムを構築した.実施例では脈波の記録を行なった.
また,オクルージョンの手がかりとなる映像刺激の色特性,すなわち,錐体からの信号の情報伝達経路に着目した実験課題を設定し,刺激パターンのサイズの違いから,青色に関わるオクルージョンの刺激を提示した実験から,青色単独に関連した経路での寄与が低いことが示唆される結果を得た.これは,別の側面での知覚現象である両眼視野闘争でみられる知見を支持する結果である.
計画通り,提示刺激と生体信号の測定を行う機器の整備を進めた.裸眼立体視は可能であるが,研究の進行に伴う3D提示については検討の必要性があり,これも行なった.刺激提示と生体信号の記録に関しては,眼球運動計測と,脈波の計測の記録を行うことを行なった.これに関して,1件報告を行った.また,ハーフミラー越しの映像は,奥行きの異なる状況であり,オクルージョンを生じさせる提示の一例であり.この環境での計測を行った.眼球運動と水晶体の屈折度の同時計測装置と3D映像表示については,次年度とで進める予定である.
また,オクルージョンの手がかりとなる映像刺激の色特性に着目した実験では,従来の実験課題に対しての結果では,他の色覚に関する視覚情報処理経路の関与も仮定されるが,今年度,刺激のサイズに着目して行った実験で,青色単独に関連した経路での寄与が低いことが示唆される結果を得ることができ,これに関して,1件報告を行った.
おおむね予定通りに計画が進んでおり,3D映像刺激提示装置と計測機器の整備を進めながら,映像提示による実験を進める.ハーフミラーでの奥行きの異なる指標に対する実験を試行しているが,高精細映像を用いた2D映像刺激に関する実験についての計測は,3D映像との実験の比較として,同時に取り組んでいく.
当初の計画にしたがって,両眼視差映像による3D映像においてオクルージョンの存在が奥行き知覚に与える影響を探るため,視差映像間で生じるオクルージョンのON,OFF制御を行い,オクルージョンが与える影響を生体信号とその時に生じる知覚から分析する.今年度,色特性に着目した実験で,提示刺激のサイズ等のパラメータを検討することで,知見が得られたが,このようなパラメータを考慮することで実験を実施していく.また,人のオクルージョン領域の処理を再現するモデルを構築する上で,機械学習による方策のためのデータ取得も検討する.
また,等輝度知覚度条件におけるオクルージョン知覚の分析について実施する.これまでに,赤と緑の組合せによる等輝度知覚下での眼球運動を分析し,パルボ系の機能の解析を行っている.今年度,黄と青の組合せによる等輝度知覚条件でのオクルージョン知覚下での眼球運動を分析し,特に,刺激のサイズに注目することで,色に関連した経路(顆粒細胞の寄与する経路)での寄与が低いことが示唆される結果が得られている.この結果の検討を進めていくとともに,顆粒細胞の機能について明らかにする. -
オクルージョン知覚機構の解明とこれに基づいた高精細映像処理法
2015年4月 - 2018年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
工藤博章
担当区分:研究代表者
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映像観視時の視覚応答と生体信号応答に関する可視化とモデル化
2009年4月 - 2012年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C) 21500198
工藤博章
担当区分:研究代表者
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視覚の誘導場理論の多次元化のための要因検証とそのモデル化
2005年 - 2006年
科学研究費補助金 若手研究(B),課題番号:17700234
工藤 博章
担当区分:研究代表者
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自然な端末間コミュニケーションのための姿勢変化に伴う頭部・視線運動計測と音源定位
2003年 - 2004年
科学研究費補助金 若手研究(B),課題番号:15700092
工藤 博章
担当区分:研究代表者
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カメラの回転で生じる視差による奥行き計測を利用したステレオビジョンシステム
2001年 - 2002年
科学研究費補助金 奨励研究(A)→若手研究(B) 13780324
工藤 博章
担当区分:研究代表者
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遠隔操作のための眼内視差と運動視差を考慮した立体呈示法
1999年 - 2000年
科学研究費補助金 奨励研究(A) 11780303
工藤 博章
担当区分:研究代表者
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奥行き知覚における小さな眼球運動により生じる眼内視差の役割
1997年 - 1998年
科学研究費補助金 奨励研究(A) 09780376
工藤 博章
担当区分:研究代表者