科研費 - 柚原 淳司
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研究課題/研究課題番号:22H044588 2022年4月 - 2024年3月
科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
柚原 淳司
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:8580000円 ( 直接経費:6500000円 、 間接経費:1950000円 )
2013年、Pt(111)表面上においてBa-Ti-O系金属酸化物が準結晶超薄膜を形成することが明らかとなった。しかしながら、その構造モデルの解明には未だ至っていない。その主たる原因は、準結晶超薄膜の組成が解明できていないためである。本研究では、Ba-Ti-O準結晶薄膜を広い範囲で作製し、その組成と準結晶を構成するクラスターの結晶構造を明らかにする。具体的には、LEED-AES-XPS -STM-RBS法からなる複合解析と第一原理計算によるクラスター構造のエネルギー安定性の評価、さらには、シミュレーションSTM像と実験STM像との比較から準結晶の構造を解明する。
本公募研究では、酸化物準結晶であるBa-Ti-O系ハイパーマテリアル超薄膜の創製方法を確立するとともに、低速電子回折、オージェ電子分光、X線高電子分光、走査型トンネル顕微鏡、ラザフォード後方散乱分光からなる複合解析により組成と原子密度を解明することができた。さらに、Pt(111)表面上にBa-O系超薄膜を種々の組成で作製し、そこへチタンを蒸着することで、広い組成範囲にわたり準結晶及び近似結晶の形成のしやすさやこれまでに発見されていない相の有無について系統的に調べた。これらの複合的な実験結果をもとに、Ba-Ti-O系ハイパーマテリアル超薄膜の構造モデルを提案することができた。
酸化物ハイパーマテリアルに関する学術論文を2報発表するとともに、学会発表、国際会議発表、書籍の分担執筆をした。コロナ禍ではあったが、東京理科大学田村研究室のポスドクを外部研究者として6週間受け入れ、金属間化合物準結晶表面の原子スケールSTM観察に関する共同研究も順調に開始することができた。
さらに、酸化物ハイパーマテリアルの機能開拓に向けて、希土類酸化物ハイパーマテリアルの創製研究に取り組んできた。具体的には、Ce-Ti-O系ハイパーマテリアルの創成研究に取り組み、近似結晶相の創成に成功した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。 -
プランベン -創製と機能開拓- 国際共著
研究課題/研究課題番号:21K04879 2021年4月 - 2024年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
柚原 淳司
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:4290000円 ( 直接経費:3300000円 、 間接経費:990000円 )
グラフェンを構成する炭素と同じ14族元素でハニカム構造を形成すれば、スピン軌道相互作用の効果によりエネルギーギャップが形成され、さらには、トポロジカル絶縁体となることが理論的に予想されている。14族元素で一番重い鉛原子からなる二次元ハニカムシート(以後、プランベンと呼ぶ)の創製は、至高の目標とされてきた。本研究では、プランベンを固体表面上で創製し、その幾何構造や電子状態を実験的に明らかにすることを目的とする。プランベンがスピントロニクスのための新素材として、新たな価値が創造され、バルクとは異なる物性を有する二次元物質がさらに注目を浴び、未知なる二次元物質の創製研究へとつながることが期待される。
プランベンの創製に向けて、Bi(0001)表面上の鉛超薄膜の厚さ依存性を調べた。また、Ge(111)基板上のAg(111)薄膜を利用してゲルマネンの偏析創製し、鉛超薄膜の創製実験を行なった。
Bi(0001)表面上の鉛超薄膜は、Bi(0001)清浄表面上に鉛を真空蒸着することで作製した。
低速電子回折(LEED)からプランベンを示唆する結果が得られたため、作製条件および再現性について詳細に実験パラメータを調整しながら実験を進めている。
Ag(111)表面上のゲルマネンは、Ge(111)基板上に100nmのAg(111)薄膜を作製し、超高真空中下で加熱することでGe原子を表面偏析させて創製した。先行研究にて、ゲルマネンが作製できることが明らかにされていたが、本研究において再現実験を行なった。
この表面に鉛を真空蒸着し、走査型トンネル顕微鏡(STM)による原子スケールその場観察と低速電子回折やオージェ電子分光法を組み合わせた構造解明を行なった。その結果、プランベンの可能性を示唆する実験結果が得られた。現在、詳細な解析を行なっている。
最終目的であるプランベンの幾何構造や電子物性の解明に向けて、今年度はBi(0001)表面上の鉛超薄膜の厚さ依存性を調べた。また、Ag(111)表面上のゲルマネン表面上のプランベンの創製実験および幾何構造の解明を行なった。最終年度に行うローバックなプランベンの幾何構造の創製や電子物性の解明に向けて多いに役立つ成果が得られた。
Pd-Pb合金薄膜表面上のプランベンの幾何構造や電子状態を明らかにする。このプランベンの幾何構造や電子状態を複合分析手法により明らかにするとともに、プランベンとPd-Pb合金薄膜表面との化学的相互作用についても調べる。分析は、室温および極低温の走査型トンネル顕微鏡(STM)と低速電子回折(LEED)、放射光を用いた内核光電子分光(core-level PES)やオージェ電子分光(AES)、X線光電子分光(XPS)を用いる。さらに、酸素ガスや大気中でのプランベンの安定性について明らかにする。大気下あるいは真空中でプランベンをボロンナイトライドなどの絶縁物や半導体の基板に転写可能であるかどうかについても実験を行う。 -
金属酸化物準結晶薄膜の創製と構造解明 国際共著
研究課題/研究課題番号:20H05267 2020年4月 - 2022年3月
科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
柚原 淳司
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:8450000円 ( 直接経費:6500000円 、 間接経費:1950000円 )
2013年、Pt(111)表面上においてBa-Ti-O系金属酸化物が準結晶超薄膜を形成することが明らかとなった。しかしながら、その構造モデルの解明には未だ至っていない。その主たる原因は、準結晶超薄膜の組成が解明できていないためである。本研究では、Ba-Ti-O準結晶薄膜を広い範囲で作製し、その組成と準結晶を構成するクラスターの結晶構造を明らかにする。具体的には、LEED-AES-XPS -STM-RBS法からなる複合解析と第一原理計算によるクラスター構造のエネルギー安定性の評価、さらには、シミュレーションSTM像と実験STM像との比較から準結晶の構造を解明する。
本公募研究では、酸化物準結晶であるBa-Ti-O系ハイパーマテリアル超薄膜の創製方法を確立するとともに、低速電子回折、オージェ電子分光、X線高電子分光、走査型トンネル顕微鏡、ラザフォード後方散乱分光からなる複合解析により組成と原子密度を解明することができた。さらに、Pt(111)表面上にBa-O系超薄膜を種々の組成で作製し、そこへチタンを蒸着することで、広い組成範囲にわたり準結晶及び近似結晶の形成のしやすさやこれまでに発見されていない相の有無について系統的に調べた。これらの複合的な実験結果をもとに、Ba-Ti-O系ハイパーマテリアル超薄膜の構造モデルを提案することができた。
酸化物ハイパーマテリアルに関する学術論文を2報発表するとともに、学会発表、国際会議発表、書籍の分担執筆をした。コロナ禍ではあったが、東京理科大学田村研究室のポスドクを外部研究者として6週間受け入れ、金属間化合物準結晶表面の原子スケールSTM観察に関する共同研究も順調に開始することができた。
さらに、酸化物ハイパーマテリアルの機能開拓に向けて、希土類酸化物ハイパーマテリアルの創製研究に取り組んできた。具体的には、Ce-Ti-O系ハイパーマテリアルの創成研究に取り組み、近似結晶相の創成に成功した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。 -
複雑な表面構造解析のための微小電子源を用いた電界放出低速電子回折法の開発
研究課題/研究課題番号:15H03677 2015年4月 - 2018年3月
科学研究費補助金
水野 清義
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
本研究では、複雑な表面構造の解析に対応できる、電界放出電子線源を用いた低速電子回折装置の開発を行った。このため、タングステン針の先端を電界誘起ガスエッチング法により先鋭化し、針先端の微小領域(数原子)から低い引出電圧で広がり角の小さな電子ビームを電界放出させ、この電子線を磁場レンズで収束させてマイクロチャンネルプレート付の低速電子回折装置の電子源とした。微小領域から電界放出した電子線はコヒーレンスが高く、従来の熱電子線を用いた回折パターンと比較して、回折スポット強度の半値幅を40%程度に狭くすることができた。これにより、これまで困難であった複雑な表面構造の解析が可能になると期待される。
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複雑な表面構造解析のための微小電子源を用いた電界放出低速電子回折法の開発
2015年4月 - 2018年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
水野清義
担当区分:研究分担者
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ナノメッシュ構造を利用した合金ナノ粒子の創製と耐熱性評価
2014年4月 - 2017年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
柚原淳司
担当区分:研究代表者
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固体表面上の金属酸化物ナノメッシュを利用した半導体規則ナノドットの創製
2010年4月 - 2012年3月
科学研究費補助金 特定領域研究
柚原淳司
担当区分:研究代表者
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結晶表面上における二次元金属の創製と巨大ラシュバ効果
2010年4月 - 2013年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
柚原淳司
担当区分:研究代表者
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浄化機能を有した複合材料の創製を目指した有機分子/金属超微粒子の研究
2003年4月 - 2006年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
担当区分:研究分担者
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Fe2VAl系金属間化合物における擬ギャップ電子状態と熱電特性との相関
2001年4月 - 2002年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
担当区分:研究分担者
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シリコン表面上の鉛とスズによる擬一次元原子鎖の自己形成とその制御
2001年4月 - 2002年3月
科学研究費補助金 若手研究(A)
担当区分:研究代表者
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シリコン表面における多元金属吸着系の表面反応過程の研究
1997年4月 - 1999年3月
科学研究費補助金 若手研究(A)
担当区分:研究代表者
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単層ゲルマネンの水素化による安定なハンドリング用中間体の開発
研究課題/研究課題番号:23H01811 2023年4月 - 2026年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
鈴木 誠也, 寺澤 知潮, 矢野 雅大, 勝部 大樹, 吉越 章隆, 柚原 淳司
担当区分:研究分担者
ゲルマネン(ゲルマニウム(Ge)版グラフェン)は特殊な2次元トポロジカル絶縁体に分類され、理論研究からはグラフェンを超える電子物性が期待されている。ゲルマネンはエレクトロニクス材料として魅力的な物質であるが、その化学的不安定性がネックとなり、電子デバイス素子は未だ報告されていない。
本研究では、大気中でも高い安定性が報告されているゲルマナン(水素化ゲルマニウム)に着目し、単層ゲルマネンの水素化に取り組む。単層ゲルマネンの水素化による構造変化と化学的安定性評価を行い、大気中でも安定でかつゲルマネンに回帰可能な単原子層ゲルマニウム水素化物の開発を目指す。 -
研究課題/研究課題番号:22H01524 2022年4月 - 2025年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
大田 晃生, 柚原 淳司, 田岡 紀之, 牧原 克典
担当区分:研究分担者
14族元素であるゲルマニウムとシリコンに対して共晶型の状態図をとるアルミニウムに注目し、熱処理による表面偏析を精密に制御することで、アルミニウム薄膜表面にゲルマニウム二次元結晶と極薄シリコン結晶のヘテロ構造を形成する方法を探求する。その化学構造や電子状態を調べることで、ヘテロ構造の形成制御に関する知見を得ることに加えて、異種材料との化学反応や電子障壁高さなどを明らかにすることに取り組む。
14族元素であるGeやSiと共晶型の状態図をとるAgやAlを組み合わせた積層構造において、熱処理による表面偏析を利用して、金属薄膜表面に二次元結晶や極薄結晶、それらのヘテロ構造を形成する方法を探求した。Si(111)基板上にCVDにより厚さ85nmのSiGe(111)を堆積し、SiGe表面を化学溶液洗浄した後、厚さ30nmのAlおよびAg薄膜を抵抗加熱真空蒸着により形成した。XPS分析の結果、金属層にAlを用いた場合、熱処理によりSiおよびGeが表面偏析する。このとき、表面偏析したSiの大部分が酸化する一方、Geは600度の熱処理でも酸化が抑制されることが分かった。Agを用いた場合では、同様に表面偏析したSiとGeはどちらも酸化が進行した。Alを下地金属に用いることで、表面にAl酸化膜が形成され保護膜として機能し、偏析層(特にGe)の酸化を抑制できたと考えられる。また、表面偏析した原子の成長テンプレートとなるために、高結晶性のAl薄膜形成について調べた。化学溶液洗浄したSi(111)上では、厚さ30nmのAlを室温で堆積することにより、比較的平坦なAl(111)を形成できた。一方、100度および150度に基板加熱しAlを堆積すると表面荒れが顕在化し、Al(111)に加えてAl(200)が成長する。また、室温堆積した厚さ30 nmのAl/Si(111)構造では、500度までの窒素雰囲気中熱処理により、表面平坦性を維持しつつその結晶性が向上することが分かった。SiGeを用いた場合と同様にAl/Si(111)構造の場合も、熱処理によりAl酸化膜とAl薄膜との間にSi偏析し、その量は熱処理温度と伴に増大する。300度の熱処理では、時間に依らずSi量はほぼ一定であることから、その制御には熱処理時間よりも温度が重要であることが分かった。
Si(111)基板上だけでなくCVDにより形成したSiGe(111)/Si(111)基板上に共晶型の状態図を示す金属であるAlやAg薄膜を堆積し、熱処理によるSiおよびGeの偏析や表面近傍の化学結合状態の評価を進めることができた。SiGe(111)/Si(111)基板上の金属薄膜を形成した試料の場合、AgよりもAlを用いた方が、熱処理により表面偏析したSiやGeの酸化を抑制できることが分かった。また、Al薄膜上のSiやGeの偏析では、Siの酸化が優先的に進行し、Geは600度の比較的高い温度の熱処理でも酸化が抑制されることが明らかになった。これは形成した偏析層の安定性に関する重要な情報だと考えられる。二次元結晶や極薄結晶の形成に向けたAlとAgなどの共晶金属を介したSiやGeの拡散・偏析機構より詳細に理解するために、二年度以降も熱処理時のパラメータを変化させて引き続き実験を推進する。
初年度に引き続き、GeおよびSi原子が表面偏析する際の原子配列のテンプレートとなるAl薄膜をSiGe薄膜上に堆積し、結晶性や平坦性を向上するプロセスを探求する。また、表面偏析を促進するための熱処理の温度や時間、雰囲気、昇温/降温レートなどをパラメータとして、GeやSi原子の拡散や偏析量を調べ、極薄結晶の形成制御に関する知見を深める。化学結合や電子状態を実験的に明らかにするために放射光施設での評価も推進する。並行して、デバイス試作に向けたGe二次元結晶と低抵抗コンタクトの形成や、二次元結晶ヘテロ構造と支持基板のウェハ接合などの実験を進める。具体的には、熱処理により表面に元素偏析した試料とSi酸化膜/Si基板を、化学溶液処理やラジカル処理を行うことで、表面の-OH基を形成する。表面改質した後、両者を対向密着した状態で加圧することでウェハ接合を行う。ウェハ接合後、化学機械研磨や化学薬品により基板を除去し、Si酸化膜/Si基板上に二次元結晶/極薄結晶を転写する。 -
研究課題/研究課題番号:22H04588 2022年4月 - 2024年3月
科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
柚原 淳司
担当区分:研究代表者
配分額:8580000円 ( 直接経費:6600000円 、 間接経費:1980000円 )
酸化物ハイパーマテリアルの機能創発を目指すにあたり希土類酸化物ハイパーマテリアルの創製が注目されている。本研究では、セリウム系酸化物ハイパーマテリアル超薄膜の創製条件を系統的に調べるとともに構造モデルを提案し、磁気的、電気的性質や誘電特性について明らかにする。セリウム以外の希土類酸化物ハイパーマテリアルの創製にも精力的に取り組む。また、酸化物ハイパーマテリアル超薄膜の構造の全容解明に向けて複合解析により原子配列の元素識別を行う。
本研究では、希土類酸化物ハイパーマテリアルであるCeTi-O系準結晶関連超薄膜の創製方法を確立するとともに、低速電子回折、オージェ電子分光、X線高電子分光、走査型トンネル顕微鏡、ラザフォード後方散乱分光からなる複合解析により組成と原子密度を解明することができた。
具体的には、Pt(111)表面上にCe-Ti-O系超薄膜を種々の組成で作製し、広い組成範囲にわたり準結晶及び近似結晶の形成の有無や準結晶関連構造、超構造について構造と組成、原子密度について系統的に調べた。これらの複合的な実験結果をもとに、Ce-Ti-O系準結晶関連構造と(3x3)超構造の構造モデルを提案することができた。
さらに、Ce以外の希土類酸化物ハイパーマテリアルの創製研究に取り組んでおり、また、Pt(111)表面ではなくRh(111)表面における希土類酸化物ハイパーマテリアルの創製に向けて予備実験を行なった。
国際会議にて発表を2件行った。国内学会では、日本物理学会および準結晶研究会にて成果発表を行った。国際会議(ALC’22)では、Best Presentation Awardを受賞した。
当初の研究目的である希土類酸化物ハイパーマテリアルの創製にすでに成功し、構造モデルの提案も行った。具体的には、試料は、Pt(111)単結晶表面およびサファイア基板上のPt(111)薄膜表面を用いた。作製した希土類酸化物ハイパーマテリアルのXPSスペクトルから希土類、チタン、酸素の各成分について測定し、表面原子密度を決定した。各段階にて、超薄膜の規則性、表面組成、表面平坦性をLEED 法、AES法、XPS法、STM法により調べた。表面組成は、表面敏感なAES法と上述のXPS-RBS法との併用により決定した。広域のSTM像より3次元島成長の有無を確認すると共に、原子スケールSTM像の明点、暗点のサンプルバイアス依存性から原子の存在箇所を特定し、得られたLEEDパターンや組成分析結果と矛盾のない結晶構造モデルを提案した。現在、論文投稿中であり、また、セリウム以外の他の希土類元素からなるハイパーマテリアルの創製研究に着手している。
希土類酸化物ハイパーマテリアル超薄膜の創製技術を確立し、表面敏感な複合分析手法により結晶構造モデルを提案する。具体的な研究計画・方法を以下に述べる。試料はPt(111)単結晶表面およびサファイア基板上のPt(111)薄膜表面を用いる。超高真空チェンバー内にて表面を清浄化したのち、希土類原子の蒸着、チタン原子の蒸着と真空加熱、酸素雰囲気加熱を行う。各段階にて、超薄膜の規則性、表面組成、表面平坦性をLEED 法、AES法、XPS法、STM法により調べる。目的とするハイパーマテリアルの作製のために最適な各元素の表面原子密度を系統的に調べるため、真空加熱、希土類元素およびチタンの蒸着、酸素雰囲気での加熱を繰り返す。表面原子密度は、XPS法とRBS法の検量線から決定する。標準試料として、グラファイト表面上に希土類酸化物薄膜を0.1 nmから3 nmの範囲で作製し、RBS分析により希土類原子の表面原子密度を定量的に決定したのち、研究室保有のXPS装置にて希土類3dピークの信号強度と表面原子密度の関係を示すXPS-RBS希土類検量線を作成する。作製した希土類酸化物ハイパーマテリアルのXPSスペクトルから希土類、チタン、酸素の各成分について測定し、表面原子密度を決定する。表面組成は、表面敏感なAES法と上述のXPS-RBS法との併用により決定する。広域のSTM像より3次元島成長の有無を確認すると共に、原子スケールSTM像の明点、暗点のサンプルバイアス依存性から原子の存在箇所を特定し、得られたLEEDパターンや組成分析結果と矛盾のない結晶構造モデルを提案する。本年度は特に、バリウム、セリウム以外の希土類元素からなる酸化物ハイパーマテリアルの創製研究を重点的に行う。 -
ERDとXPSによるプロトン伝導性酸化物における水素挙動の研究
1997年4月 - 1998年3月
科学研究費補助金 重点領域研究
担当区分:研究分担者
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RBS分析による固・液界面における反応性原子の吸・脱着のその場測定法の開発
1996年4月 - 1998年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
担当区分:研究分担者
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ERDとXPSを用いたプロトン伝導性酸化物における水素挙動の研究II
1996年4月 - 1997年3月
科学研究費補助金 重点領域研究
担当区分:研究分担者
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ERDとXPSを用いたプロトン伝導性酸化物における水素挙動の研究
1995年4月 - 1996年3月
科学研究費補助金 重点領域研究
担当区分:研究分担者