科研費 - 中村 光
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研究課題/研究課題番号:21H01408 2021年4月 - 2024年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
中村 光, 三浦 泰人
担当区分:研究代表者
配分額:17420000円 ( 直接経費:13400000円 、 間接経費:4020000円 )
コンクリート構造物では鉄筋の付着・定着が確保されていることを前提とし、その前提を構造細目として仕様規定として定めている。しかし、その幾つかは力学的根拠を説明することが困難となっており、合理的な配筋規定への変更をする場合に障害となることが生じている。
本研究では、①体系的な付着・定着引抜き試験の実施と工夫した計測技術による鉄筋近傍からの内部ひび割れなどの損傷進展の把握、②最新の数値解析技術による内部損傷進展や応力伝達挙動の把握、を行い損傷進展挙動や応力伝達メカニズムを明確にし、付着・定着に対する「暗黙知」を「形式知」に変え、合理的な配筋規定確立のための知見を得る。
2021年度は、研究期間内に予定している実験・解析を行うための第一ステップとして、(1)実験装置の整備と基本的要因に対する実験の実施(載荷試験側面)、(2)損傷進展挙動把握のための供試体表面のひび割れの計測方法の確立(計測側面)、(3)数値解析手法の適用性の確認と応用(数値解析側面)、を行った。
(1)載荷試験側面では、鉄筋の引抜試験を行うために、偏心載荷も可能でかつ表面ひび割れ測定のために画像計測も可能な供試体形状を決定し、載荷装置を作成した。作成した装置を用い、フックの曲げ内半径、かぶりをパラメータとしたケースと、フックのみの付着を考慮したケースの引抜試験を行った。鉄筋ひずみを出来るだけ測定し、フック部の鉄筋の変形や付着伝達が引き抜き挙動に及ぼす影響を明らかにした。
(2)計測側面では、画像相関法を用いて荷重に従った供試体表面の損傷のひずみ変化を連続的に計測した。付着挙動が表面ひび割れ進展に及ぼす影響として、応力がある程度大きくなった段階で、ひび割れが急激に進展することを明らかにした。
(3)数値解析側面では、実験を行った供試体に対して、コンクリートのひび割れの発生や進展を正確に評価できるボロノイ分割を用いた3次元剛体バネモデル(3D-RBSM)を用いて数値解析を行い、その適用性を確認した。また、フックの曲げ内半径、かぶり、フック余長長さをパラメータとした解析を行った。鉄筋のひずみ・応力分布、フック周辺のコンクリートのひずみや応力挙動を詳細に検討し、フック部が引き抜け時に局所的な変形挙動を示し、その局所的な変形がコンクリートへの応力伝達挙動に大きく影響しているというメカニズムを明らかにした。また、重ね継手の解析も行い、重ね継手間からひび割れが進展すること、そのひび割れ進展を制御することで継ぎ手性能が改善することを明らかにした。
2021年度に予定していた、(1)載荷試験側面、(2)計測側面、(3)数値解析側面、の3つの観点での検討は、いずれも着実に実施した。
(1)の載荷試験側面については、載荷装置を予定通り作成し、各種要因を考慮した鉄筋の引抜試験を実施した。また、鉄筋のひずみ分布の詳細な測定から、実験的にフック部の局所的な変形挙動の知見と、解析の検証用のデータを得ることが出来た。
(2)の計測側面については、画像相関法で、表面ひび割れ進展を詳細に検討できることを確認した。ただし、供試体の寸法から、供試体を切断することが出来ず、切断法による内部損傷観察が困難なことが明らかになり、新たな供試体の検討あるいは内部損傷観察方法の検討が必要との課題が生じた。
(3)の数値解析側面では、適用した解析手法が実験結果を正確に評価できるとともに、鉄筋の局所挙動やコンクリートのひび割れや応力分布など、付着・定着メカニズムを検討するために必要な結果を得られることが明らかになった。また、付着・定着の実用的な問題である重ね継手への適用も可能との知見を得るとともに、継ぎ手性能に影響を与える損傷進展やメカニズムも解析的に明らかに出来た。
3つの観点のいずれも予定通りの内容を概ね実施し、さらに数値解析側面では予定にはなかった重ね継手という応用的な問題も実施することが出来た。また、IFの高いジャーナルにも論文が掲載されるなど、得られた成果の公表もできたことから、総合的に「概ね順調に進展している」と自己評価を行った。
昨年度確立した実験・計測方法を用いて新たなパラメータによる実験を行うとともに、昨年度適用性を確認した解析方法を用いて、実験パラメータに対する損傷進展挙動や応力伝達メカニズムを明確にする。研究計画に沿って、(1)載荷試験側面、(2)計測側面、(3)数値解析側面、の3つの観点で以下の検討を行う。
(1)の載荷試験側面では、鉄筋の定着に最も重要な役割を果たすフックを対象に、その形状(曲げ内半径、フック余長)を主なパラメータとして引抜試験を行い付着・定着挙動を検討する。また、連続的にひずみを計測してより詳細な伝達挙動の評価が可能になるように、光ファイバーによるひずみ分布の計測も試みる。
(2)の計測側面では、実験を行った供試体に対し、供試体表面のひび割れの計測を画像相関法で行い、フック形状と表面でのひび割れ進展の対応関係を明らかにする。一方、昨年度の検討から大型の供試体では供試体切断が困難であったことから、供試体を切断しやすく目的とする内部損傷を把握できる供試体を用いて、内部ひび割れの可視化を行い、内部の損傷状態を実験的に明らかにする。
(3)の数値解析側面では、実験を行った供試体に対して、ボロノイ分割を用いた3次元剛体バネモデルを用いて数値解析を行い、フック形状が鉄筋の3次元的な変形や曲率、軸力や曲げモーメントの断面力分布に及ぼす影響を明らかにする。また、コンクリートの損傷をより明確化するため、詳細なひずみ進展挙動を検討可能な解析モデルの構築を新たに行う。さらに、フックを有する重ね継手の解析も行い、実問題に近い対象の検討も同様に行う。これらの解析結果から得られた鉄筋の状態と、コンクリートの内部損傷や応力分布を検討し、損傷進展と定着メカニズムの明確化を行う。 -
研究課題/研究課題番号:18H01510 2018年4月 - 2021年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
中村 光, 三浦 泰人, 山本 佳士
担当区分:研究代表者
配分額:16510000円 ( 直接経費:12700000円 、 間接経費:3810000円 )
コンクリート片剥落の危険度判定のために、剥落に関係する内部ひび割れの特定と内部ひび割れ部から剥離に至る場合の影響作用や剥離強度について検討した。
その結果、内部ひび割れを特定するための非破壊検査法として電磁波レーダー波形を利用した評価方法を開発した。剥落に至る影響作用については、コンクリートの温度の変化の影響は大きく、荷重作用で剥落する時と同程度の内部ひび割れ幅の変化を与えていることを明らかにした。また、剥落強度を評価する実験方法および数値解析手法を開発し、剥落強度は残存かぶりの影響が最も大きいことを明らかにした。
コンクリート構造物の維持管理で、コンクリート片の剥落は人命などを失うような事故につながる可能性もあり、最も避けなければいけない事象である。そのため、コンクリート構造物の点検では、打音検査による剥落に関係する内部欠陥の把握とその危険性の評価に多くの労力がさかれている。
本研究で内部欠陥を客観的手法により特定する手法の開発や、コンクリート剥落リスクを高める要因が温度変化や残存かぶりの大きさであることを明らかにしたことは、現在の点検の合理性・客観性・有効性を高めることに寄与するとともに、コンクリート構造物から生じる第三者影響度を低減し、インフラの信頼性を高めることに寄与する。 -
鉄筋腐食によるコンクリートの内部ひび割れと表面ひび割れの関係評価
研究課題/研究課題番号:15H04033 2015年4月 - 2018年3月
科学研究費補助金 科学研究費(B)
中村 光
担当区分:研究代表者
配分額:15080000円 ( 直接経費:11600000円 、 間接経費:3480000円 )
コンクリート中の鉄筋腐食による内部ひび割れと表面ひび割れの進展挙動を実験ならびに数値解析により明らかにした。実験では、鉄筋径、鉛直かぶり、水平かぶり、腐食長さ、腐食速度などの要因による表面ひび割れ幅と内部ひび割れ挙動を明らかにした。一方、数値解析では、実験挙動を精度よく再現できる剛体バネモデルに基づく手法により、各種要因の数値解析実験を行い、解析結果から内部の水平ひび割れ長さや表面ひび割れ幅と腐食量の関係を評価できる式を作成した。さらに、腐食速度やコンクリート片の落下の危険性を評価する解析手法を開発した。
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鉄筋座屈の起因となるコンクリート部材内部ひび割れの発見と変形性能向上策の検討
2015年4月 - 2017年3月
科学研究費補助金
担当区分:研究代表者
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コンクリートの火災時爆裂シミュレーションを含む耐火構造性能評価法の開発,平成24~26年度
2012年4月 - 2015年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
担当区分:研究代表者
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RC部材の曲げ降伏後のせん断耐力劣化挙動の評価
2012年4月 - 2014年3月
科学研究費補助金
担当区分:研究代表者
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時間依存型構造解析手法の高精度化と耐久性照査技術への応用
2008年4月 - 2010年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
担当区分:研究代表者
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補強材の定着性能評価解析の構築と適用
2007年4月 - 2009年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
担当区分:研究代表者
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コンクリート構造物の地震時挙動に与える長周期成分の卓越した地震動の影響
2005年4月 - 2006年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
梅原秀哲
担当区分:研究分担者
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各種社会基盤構造物の維持管理システムに関する研究
2002年 - 2004年
科学研究費補助金 基盤研究(A)
町田篤彦
担当区分:研究分担者
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性能評価に基づくコンクリート構造物のライフサイクルマネージメントに関する研究企画
2002年 - 2003年
科学研究費補助金 基盤研究(C)(1)
杉山隆文
担当区分:研究分担者
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RC高架橋の地震時挙動の実測・解析とRC構造物の耐震設計の合理化
2001年 - 2002年
科学研究費補助金 基盤研究(B)(2)
田辺忠顕
担当区分:研究分担者
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拘束コンクリートの圧縮破壊エネルギーおよび圧縮破壊性状の評価
2001年 - 2002年
科学研究費補助金 若手研究(B)
担当区分:研究代表者
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塑性座屈域での繰り返し載荷を受ける鉄筋の破壊性状
2001年 - 2002年
科学研究費補助金 基盤研究(C)(2)
檜貝勇
担当区分:研究分担者
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コンクリート構造物の損傷評価解析システム
1999年 - 2001年
科学研究費補助金 基盤研究(B)(展開1)
下村匠
担当区分:研究分担者
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分岐理論による,RC構造のせん断二次破壊メカニズムならびに破壊速度の解明
1999年 - 2000年
科学研究費補助金 基盤研究(B)(2)
田辺忠顕
担当区分:研究分担者
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コンクリートの圧縮破壊領域の推定とその性状評価
1998年 - 1999年
科学研究費補助金 奨励研究(A)
担当区分:研究代表者
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新素材を用いた既存コンクリート構造物の補強設計法に関する研究
1996年 - 1997年
科学研究費補助金 基盤研究(A)(1)
上田多門
担当区分:研究分担者
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RC構造物のせん断破壊への適用を目的とした有限要素法解析プログラムの開発
1996年 - 1997年
科学研究費補助金 基盤研究(C)(2)
檜貝勇
担当区分:研究分担者