科研費 - 持田 陸宏
-
研究課題/研究課題番号:21F20397 2021年4月 - 2023年3月
科学研究費助成事業 特別研究員奨励費
持田 陸宏, CHANG YUNHUA
担当区分:その他
配分額:2300000円 ( 直接経費:2300000円 )
オーストラリアの南東部で採取された大気エアロゾル試料に対する質量分析や赤外吸収測定に基づき、エアロゾルに含まれる有機物(有機エアロゾル)の化学構造の特徴付けを行う。そして、有機エアロゾルの抽出物の質量スペクトルに対して多変量解析を行うことで、その起源について知見を得ることを目指す。さらに、有機エアロゾルの紫外可視吸収と蛍光の測定を行い、有機エアロゾルの光吸収特性とその化学構造の関係を得ることも目標とする。
-
植生-エアロゾル-気候間の相互作用解明に向けた欧州北方林エアロゾルの吸湿性解析
研究課題/研究課題番号:19KK0265 2019年10月 - 2023年3月
科学研究費助成事業 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
持田 陸宏, 大畑 祥, 松井 仁志
担当区分:研究代表者
配分額:18200000円 ( 直接経費:14000000円 、 間接経費:4200000円 )
陸域植生から大気に放出される揮発性有機化合物の一部は、光化学反応により生物起源有機エアロゾル(BSOA)となり、雲凝結核としての働きなどにより放射収支に関与し、気候ひいては陸域植生に影響を及ぼすというフィードバック機構を形作ると指摘されている。しかし、エアロゾルの放射影響に関わる有機エアロゾルの吸湿性の推定値には大きな幅があり、BSOAの吸湿性や、その雲粒生成への寄与には大きな不確かさがある。そこで本研究では、北方森林圏を対象としてBSOAの吸湿性とその全エアロゾルの吸湿性に対する寄与を定量する。そして、北方林におけるBSOAの放射への寄与を評価し、上記のフィードバック機構について考察する。
当該年度には、日本側の研究者がヒューティアラ森林フィールドステーションを訪問し、有機・無機エアロゾル成分の定量や有機エアロゾルの吸湿性パラーメータの解析を行うための大気エアロゾル試料を採取することを計画していたが、新型コロナウイルスの感染拡大のため、年度内の訪問を見送ることとした。そして、これに代わり、ヒューティアラ森林フィールドステーションにおいて名古屋大学のハイボリュームエアサンプラをヘルシンキ大学の関係者が運用し採取する試料を用いて、本研究のエアロゾル化学組成・吸湿性の解析を行う方針に切り替えることとした。この準備として、ハイボリュームエアサンプラによる大気エアロゾルの採取を実施するための手順書の作成を進めた。また、この大気エアロゾル試料の採取のため、PM0.95(粒径が0.95マイクロメータ以下の粒子)を捕集するためのフィルタと、粒径が0.95マイクロメータよりも大きな粒子を除去するインパクタ用基材の前処理(加熱)を行い、また、それらを輸送・保存用の容器に入れる作業を行った。そのほか、有機エアロゾルの吸湿性パラーメータや他の情報を用いた放射影響の解析のため、全球エアロゾルモデルの改良について検討を進めた。大気エアロゾルの雲凝結核活性を評価する上では、エアロゾルに含まれる界面活性物質による表面張力低下が及ぼす影響が考慮の対象となり、これに関わる検討結果(都市エアロゾル試料を用いた結果)の会議における発表も行った。
新型コロナウイルスの感染拡大により、大気エアロゾルの採取のためのヒューティアラ森林フィールドステーションの今年度の訪問を見送ることとなった。これに伴い、採取する試料を用いる分析を次年度以降に行う方針に変更した。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴いヒューティアラ森林フィールドステーションにおける大気エアロゾル採取のための訪問が実現しておらず、当面は名古屋大学のハイボリュームエアサンプラをヘルシンキ大学の関係者が運用し採取する試料を用いて、本研究を進める計画に変更した。 -
大気有機エアロゾルの吸湿性に対する定量的理解の深化―化学構造・起源との関係―
研究課題/研究課題番号:19H04253 2019年4月 - 2022年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
持田 陸宏, 松井 仁志, 宮崎 雄三, 大畑 祥
担当区分:研究代表者
配分額:17290000円 ( 直接経費:13300000円 、 間接経費:3990000円 )
気候変動の理解と予測に向けた喫緊の課題である、大気エアロゾルの放射影響評価では、主要エアロゾル成分である有機物の吸湿性の情報が必要となる。本研究では、エアロゾル試料を分画して吸湿性と化学構造を解析し、有機物の吸湿性と化学構造、そして化学構造を規定する起源との関係を明らかにすることで、有機エアロゾルの吸湿性に対する定量的理解を深化させることを目指す。
都市域で採取された大気エアロゾル試料に含まれるフミン様物質(HULIS;固相抽出法により得られる有機物の画分)を微粒子化して吸湿特性測定用タンデムDMAに導入し、水蒸気未飽和の条件下におけるHULIS粒子の吸湿成長度の測定を行った。そして、HULISの吸湿性パラメータの値を導出し、HULISの酸素/炭素比や、HULISの質量スペクトルに対するPositive Matrix Factorization(PMF)解析で得られる因子との関係を得た。後者のPMF因子は、有機エアロゾルの起源と関係していると考えられ、得られた結果は、HULISの吸湿性と起源の関係について知見を与えるものと言える。また、森林域で採取されたエアロゾルに含まれる水溶性有機物と非水溶性有機物、そして水溶性有機物から得られる2つの画分(高極性有機物およびHULIS)の微粒子を生成し、エアロゾル質量分析を行うことでそれらの画分の質量スペクトルを得た。そして、試料に既知量のフタル酸を添加して質量スペクトルを取得する方法を用いて、これらの有機画分の大気濃度を計算した。大気有機エアロゾルの化学構造に関する解析の一環として、名古屋で採取された大気エアロゾル試料の三次元蛍光分析も進めた。
そのほか、全球エアロゾルモデルの改良について検討を進めた。また、都市エアロゾルに含まれる有機画分(高極性有機物・HULIS・非水溶性有機物)と有機エアロゾルの起源(バイオマス燃焼など)の関係を報告した原著論文を学術誌に投稿した。
これまでの重要な成果として、都市域の大気有機エアロゾルを構成する画分に対して有機物の起源に関する知見を得たこと、また、そのうちのHULIS画分を対象にその化学構造と吸湿性の関係の理解に繋がる実験データを得たことが挙げられる。高極性有機物の吸湿性の定量が課題として残り、また、大気エアロゾルのタイプを絞って吸湿性解析を進めている状況だが、本研究の目的に強く関わる重要な成果が得られている点を考慮し、当該区分を選択した。
大気エアロゾル試料の分析に基づく取り組みを継続するほか、本研究や先行研究で大気エアロゾル試料から得た知見を大気モデルにおいて考慮する方法について検討を進める。 -
大気微粒子の混合状態とその肺沈着の関係:次世代の健康影響評価に向けた解析
研究課題/研究課題番号:18K19852 2018年6月 - 2020年3月
科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
持田 陸宏
担当区分:研究代表者
配分額:6240000円 ( 直接経費:4800000円 、 間接経費:1440000円 )
2009年9月に名古屋で測定された大気エアロゾルの乾燥粒径別の吸湿成長度のデータを利用し、人が呼吸によりエアロゾル粒子を体内に取り込んだ場合の呼吸器内沈着を解析した。これにより、当該期間におけるエアロゾル粒子の呼吸器内沈着の特徴を、エアロゾルの乾燥粒径および吸湿性の分布と結びつけた形で得た。また、当該期間に対してエアロゾルの外部混合状態の考慮が沈着の見積もりに与える影響を評価した。時間発展の取り扱いが沈着の計算に及ぼす影響や、解析結果の表現方法についての検討も進めた。
微小粒子状物質(PM2.5)の環境基準として用いられているように、大気微粒子の質量濃度はその健康影響の重要な尺度であるが、質量濃度のみで健康影響を十分に説明できるとは考えにくい。本研究では、大気微粒子の乾燥粒径と吸湿性の分布が人の呼吸器内における微粒子の挙動に関係することに着目し、これらの大気観測データに基づいて呼吸器内の沈着の特徴付けを行った。今後、大気微粒子の性状と呼吸器内沈着の関係について研究が発展することで、大気微粒子の健康影響のより正確な理解が得られることが期待される。 -
植生由来テルペン類から生成する有機態窒素エアロゾルの起源と生成メカニズムの解明
研究課題/研究課題番号:16H02931 2016年4月 - 2019年3月
科学研究費助成事業
宮崎 雄三
担当区分:研究分担者
大気エアロゾル生成量の評価において不確定性の大きい、森林植生に由来する有機態窒素に焦点を当て、元素・分子レベルの組成分析から実大気有機態窒素エアロゾルに含まれる窒素の起源と、生成に至る主要な反応経路を明らかにすることを目的とした。人為起源の硫酸塩によって制御される粒子の含水分量が、反応性窒素と植生由来有機炭素の液相反応を促進し、特に夜間における有機態窒素エアロゾルの主要な生成プロセスとなることが明らかになった。
本研究成果は、植生から大気に放出される揮発性有機化合物と人為起源物質および大気微粒子の含水分量の相互作用によるエアロゾル生成量を精度良く評価する上での重要な知見である。将来的な気温上昇等に伴って、森林植生が放出する揮発性有機化合物の種類や量および大気水蒸気量も長期的に変動していくことが予測される中、気候影響評価で重要な大気エアロゾルについて、人為起源・植生起源の相互作用による生成量を予測する上で重要な成果である。 -
大気エアロゾル粒子中に含有されるラジカルと活性酸素の定量
研究課題/研究課題番号:16K12582 2016年4月 - 2019年3月
科学研究費助成事業
白岩 学
担当区分:研究分担者
大気エアロゾル粒子は人の健康に大きな影響を及ぼしている。その肺への沈着は、肺胞液内で抗酸化物質と反応することで、活性酸素を生成して酸化ストレスを誘発する。本研究では名古屋の都市大気エアロゾル粒子をインパクターを用いて捕集した。名古屋で捕集したエアロゾル粒子を電子スピン共鳴法を用いて測定した結果、安定的に存在する有機ラジカルの定量に成功した。この観測では、オゾンや二酸化窒素などの大気汚染ガスも測定し、オゾンとラジカルの逆相関が観測された。2017年の夏には和歌山の森林の清浄大気でエアロゾル粒子を捕集したが、人為起源の安定ラジカルは測定されなかったが、微量ながら活性酸素の測定に成功した。
大気エアロゾル粒子の健康影響のメカニズムは未解明な点が多い。粒子による肺胞液内での活性酸素の生成が有力なメカニズムとされているが、どの程度の活性酸素が生成するかは分かっていなかった。本研究では、都市と森林において大気を捕集し、人為起源の粒子は活性酸素の生成を誘発する可能性が高いことをしめした。これは大気汚染の健康影響を制御する上で、新しく参考になる知見である。 -
森林域で生成する生物起源二次有機エアロゾルの吸湿性・光学特性の解明
2014年4月 - 2017年3月
科学研究費助成事業・基盤研究(B)
持田 陸宏
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
-
水晶振動子マイクロバランス法を用いる大気有機エアロゾル成分の有機ガス吸収の解析
2014年4月 - 2016年3月
科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究
-
外部混合状態を考慮した大気エアロゾルの特性研究への新展開
2008年4月 - 2013年
科学研究費補助金 若手研究(S),課題番号:20671001
持田 陸宏
担当区分:研究代表者
-
エアロゾル粒子の変質が内部混合状態に及ぼす影響と氷晶化能力との関係
2008年 - 2011年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
担当区分:研究分担者
-
東アジアおよび南アジアにおける有機エアロゾルの化学組成、空間分布および吸湿特性
2007年 - 2011年3月
科学研究費補助金 基盤研究(A)
河村公隆
担当区分:研究分担者
-
海洋生物起源エアロゾル粒子の吸湿特性および雲凝結核能力の同時計測
2007年 - 2009年3月
科学研究費補助金 特定領域研究(公募,A01),課題番号:19030008
持田 陸宏
担当区分:研究代表者
-
大気有機エアロゾル粒子の表面張力測定
2006年 - 2008年3月
科学研究費補助金 萌芽研究,課題番号:18651001
持田 陸宏
担当区分:研究代表者
-
熱拡散チェンバ氷晶計を用いた有機物粒子の雲過程における氷晶形成能の評価
2006年 - 2008年
科学研究費補助金 若手研究(A),課題番号:18684031
持田 陸宏
担当区分:研究代表者