科研費 - 藤原 幸一
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非侵襲的シミュレーションを可能とするコネクトーム基盤型機能外科手術の開発研究
研究課題/研究課題番号:22H03184 2022年4月 - 2027年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
前澤 聡, Bagarinao E., 臼井 直敬, 齋藤 竜太, 藤原 幸一, 坪井 崇, 夏目 淳
担当区分:研究分担者
本研究の概要は、定位的機能外科手術によるニューロモデュレーションがパーキンソン病、本態性振戦で有効性が認知され、更にてんかんや精神神経疾患、認知症への適応拡大に向けて期待されている背景において、治療の標的部位選択やモダリティの最適化への非侵襲的術前評価アルゴリズムを、特に安静時機能的MRIに代表される脳神経回路(コネクトーム)解析を利用して開発し、この様な技術に基づいたコネクトーム基盤型定位機能外科手術を確立を目指す研究である。
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第二世代ヘルスケアIoT技術を支える生体計測・解析プラットフォームの基盤構築
研究課題/研究課題番号:21H03855 2021年4月 - 2025年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
山川 俊貴, 藤原 幸一, 下野 僚子, 宮島 美穂
担当区分:研究分担者
本研究では、第二世代のヘルスケアIoT技術の基盤となる常時・超長期の生命時間規模での観測を可能とする計測・解析プラットフォームの実現を目的とする。これまで収集した就労・家庭環境における多種の生理指標データから複数の疾患や健康状態変化を検出・予測する生理指標および解析手法を明らかにし、それらを簡単で低拘束に計測・解析するシステムのプロトタイプを開発し、小~中規模の社会実装試験を通じて効果と有効性を示す。
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認知機能低下に関する修正可能な因子の特定:マルチモーダルな生体データの利用
研究課題/研究課題番号:21H03851 2021年4月 - 2025年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
角谷 寛, 藤原 幸一, 角 幸頼, 加納 学, 大道 智恵, 須藤 智志
担当区分:研究分担者
簡便に取得できるマルチモーダルな生体データを統合的に解析することで、認知機能低下の客観的指標の確立を目指す。そのために、アルツハイマー病およびレビー小体型認知症という有病率の高い二つの認知症のハイリスク群および健常高齢者群を対象に、認知機能および生体データについてベースライン調査並びに2年間の追跡調査を実施し、機械学習の手法を用いて認知機能低下のリスク因子を同定する。
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ウェアラブルデバイスによる熱中症発症予防のための熱中症アラームシステム
研究課題/研究課題番号:19H04501 2019年4月 - 2023年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
藤原 幸一, 久保 孝富, 丸野 由希, 加納 学, 山川 俊貴, 佐藤 大典, 北野 友梧, 坂内 悠
担当区分:研究代表者
配分額:15990000円 ( 直接経費:12300000円 、 間接経費:3690000円 )
本研究では,熱中症発症を予防するために,発症前にアラームを発報できる熱中症アラームシステムを開発する.軽度の熱中症では,頻脈,大量発汗,めまい、立ちくらみ、気分が悪くなるなど自律神経系と関わりのある症状が見られる.そこで本研究では,自律神経活動を反映した生理現象である心拍変動(HRV)に着目して,ウェアラブル心拍センサを用いてユーザーのHRVを測定し,測定されたHRVデータをリアルタイム解析することで,近い将来に熱中症になる可能性を判定するアルゴリズムを開発する.熱中症発症前にアラームを発報できれば,ユーザーに休息や水分補給を促すことができるので,熱中症を回避できる.
熱中症は,脳を含む長期的な多臓器障害につながり,本邦では年間200人以上の死者が出ている.熱ストレスは,心電図(ECG)上のR-R間隔(RRI)の変動である心拍変動(HRV)に影響を与えることが報告されている.そこで,本研究ではHRVの解析から熱中症の症状を検出し,熱中症の悪化を予防する手法を提案した.提案手法では,熱ストレスによって生じるHRVの異常な変化を機械学習(ML)モデルによってモニタリングする.提案手法を検証するため,熱中症発症のリスクを持つ健常な参加者103名を募集した.提案手法を適用した結果,感度75%(28件中21件),偽陽性率1.02回/hであった.
本研究提案した熱中症検知手法は、ウェアラブルセンサーでRRIデータを簡単に測定できるため、日常生活で活用できるものと考えられる.そのため,提案手法を活用することで,熱中症が悪化する前に適切な治療を受けられることに寄与し,人々の健康の増進と維持に貢献できる. -
心電図解析によるてんかん発作の検知・予知システム確立のための広帯域頭蓋内脳波解析
研究課題/研究課題番号:19K09475 2019年4月 - 2022年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
前原 健寿, 藤原 幸一
担当区分:研究分担者
本邦のてんかん患者のうち、約30万人は抗てんかん薬も外科治療も奏功せずてんかん発作に苦しんでいる。我々は心拍変動を解析して、てんかん発作を予知し、臨床発作の消失、軽減を行うシステム開発に取り組んできた。しかし発作の際の心拍変動発生の機序や、偽陽性(誤検知)の問題など、臨床応用に際して解決すべき問題が残っている。我々はこの問題に対して、頭蓋内留置電極を用いて心拍変動による発作予知を行い、広帯域脳波解析を用いて解決することとした。本研究は国際的にも最先端を走っている心拍変動を用いたてんかん発作予知システムを、最先端の広帯域脳波測定で解析することで、世界に先駆けた研究成果をあげることが期待される。
頭蓋内脳波を用いて心拍変動(HRV)解析による検討を行い、機序の解明とてんかん発作予知精度の向上を目指した。2019年5月から2022年1月に11人の患者に12回の頭蓋内電極を用いた皮質脳波記録を行い発作予知の感度は平均78%、偽陽性は平均1.42回/hrと頭皮脳波とほぼ同等であった。このことから頭蓋内脳波で記録される発作より以前に、脳内に発作を誘発する何らかの変化が起こり、心拍変動を生じているのであろうと推測できた。また臨床症状を伴わない電気的発作(electrical seizure)も予知可能であったことから頭皮脳波で偽陽性とされた場合でも、実際には発作である症例が存在すると考えられた。
てんかんは全人口の1%が罹患する疾患で日本だけでも約30万人の患者はてんかん発作が制御できずに苦しんでいるのが実情である。我々は心拍変動を解析しててんかん発作を予知し、臨床発作の消失、軽減を行うシステム開発に取り組んできた。今回、頭蓋内電極を用いた解析を行い、心拍変動はてんかん発作以前に起こることを証明した。また頭皮脳波で偽陽性とされた場合にも頭蓋内脳波では臨床症状を伴わない電気的発作である可能性も示唆された。今回の検討で心拍変動によるてんかん発作の機序が一部解明されたことは、本システムの臨床応用につながり、てんかん患者に対する非侵襲的な発作予知への道を開くものと考えられた。 -
AIによる、教育と医療で共有可能なADHDスクリーニング及び治療適正化方法の開発
研究課題/研究課題番号:18K10960 2018年4月 - 2022年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
阪上 由子, 藤原 幸一, 澤井 ちひろ, 大平 雅子, 松尾 雅博
担当区分:研究分担者
コロナウイルスの感染拡大が当初の想定よりも長期化し、コントロールスタデイとして当初予定していた小学生を対象にした睡眠行動データの回収が困難な状態が続いたため、ADHD群のみを対象とした研究に切り替え実施することとした。新たな研究計画は、本学倫理委員会の審査を経て受理された。が、研究実施の予定時期に主任研究者が入院加療を要する事態となり、次年度からの研究再開のめどが立たないため、やむなく廃棄申請するに至った。
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マルチモダリティ生体信号計測によるてんかん発作自動検出および重症度評価技術の確立
研究課題/研究課題番号:18K12141 2018年4月 - 2021年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
宮島 美穂, 藤原 幸一, 山川 俊貴
担当区分:研究分担者
66名のてんかん患者における85回分の多様な型の発作と、221時間分の発作間欠期データを用いて、機械学習の手法であるautoencoderによって発作間欠期と発作時を識別するアルゴリズムを構築した。識別性能は、受信者動作特性曲線における曲線下面積(AUC、1に近いほど高性能)による評価で0.92と良好であった。また機械学習手法の最適化や発作型ごとの性能検証を行い、焦点性てんかんの二次性全般化発作に対して多変量統計的プロセス管理に基づくアルゴリズムを適用し、最適条件ではAUC=1を達成した。
心拍データのみを用いて、比較的軽い発作も含め高性能で発作検知が可能なアルゴリズムを構築できた。今後、本アルゴリズムを代表者らの有するウェアラブルてんかんモニタリングシステムのプラットフォームに実装し、プロトタイプ構築および精度検証を目指したい。
本研究の成果は、発作を検出してオンデマンド抑制するclosed-loop型治療や、発作記録に基づき治療方針を示唆する人工知能診療支援システムなど、次世代のてんかんケアにも応用可能性が高い。更に心拍や呼吸の持続モニタリング技術は、近年問題視されているてんかん突然死の病態解明にも役立つことが期待される。 -
生理機能に基づくレビー小体型認知症早期診断ウェアラブルデバイスの開発
研究課題/研究課題番号:17H00872 2017年4月 - 2021年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(A)
角谷 寛, 藤原 幸一, 増田 史, 角 幸頼, 大平 雅子, 山川 俊貴, 松尾 雅博, 加納 学, 小川 景子
担当区分:研究分担者
自律神経失調症による起立性低血圧は、レム睡眠行動障害の患者(レビー小体型認知症の高リスク者)によく見られる症状である。我々は、レム睡眠行動障害患者と健康な高齢者を対象に、本研究のために開発・改良した小型の心拍計を用いて起立負荷試験(シェロングテスト)中の心拍を測定した。その結果、仰臥位での短時間の心拍変動(HRV)の解析により、起立性低血圧の有無を予測できることが明らかになった。
安静臥位における心拍変動の解析により起立性低血圧が予測できることが明らかとなった。臥位からの急な起立は高齢者において転倒のリスクとなる。本研究の成果により、特に起立性低血圧に伴う転倒を予測し、その予防ができるため、起立負荷試験(シェロングテスト)の効率化と安全性の向上につながると考えられる。 -
センシング技術を基軸とした健康管理システムの地域特性に基づく分析
研究課題/研究課題番号:17K01245 2017年4月 - 2020年3月
下野 僚子
担当区分:研究分担者
本研究では、生活習慣病を予防できる健康管理システムの構築をめざし、センシング技術や健康増進事業などを導入した効果について多面的な分析を行った。地域における実現可能性を考慮できるよう、医療機関や自治体などの地域プレイヤと連携しながら研究を進めた。特定健診・特定保健指導事業、健康づくり啓発イベント、健康ポイント制度などの事業について、実践的な分析にもとづき事業運営において有用な結果を提示できた。
本研究では、主に地域で実施されている健康増進事業を対象として、健康状態や行動における効果、資源活用、社会経済性など多面的な分析を行った。分析結果は、情報提供などを強化すべき対象者層の特定やその内容の指定といった直ちに当該事業の運営に反映できるものに加え、地域産業における経済波及効果など広範な視点から事業計画に反映されるものがあった。このように当事者(事業の実施主体)にフィードバックできるような分析結果を提示している点で有意義といえる。 -
治療抵抗性高血圧症に対する頭側延髄腹外側野の微小血管減圧術-確実な診断技術の開発
研究課題/研究課題番号:16K10789 2016年4月 - 2020年3月
浜崎 禎
担当区分:研究分担者
脳神経外科手術videoと自律神経活動の指標となる心拍変動 (heart rate variability, HRV)を同時記録するvideo-HRVモニタリングシステムを構築した。合計41の手術よりデータ収集を行い、手術操作、HRV解析による自律神経活動の変化、及び体循環の変動の関連性を解析した。その結果、腫瘍摘出術中脳神経機能モニタリングの目的で外側橋-延髄移行部の電気刺激を行った区間において、交感神経過活動があり、同時に統計学的有意の血圧上昇及び頻脈の出現が明らかとなった。現在、この成果を論文投稿中である。
片側顔面けいれんに対する微小血管減圧術後に、高血圧の改善がみられる症例がある。手術によって動脈性圧迫から解放される下位脳幹に重要な自律神経中枢が存在することが示唆されるが、ヒトにおける確実な生理学的証拠はこれまで報告されていなかった。本研究で得られた上記の成果は、ヒトの下位脳幹に重要な自律神経中枢が存在する重要な生理学的証拠であり、薬剤抵抗性神経原性高血圧症など、自律神経活動異常が関与する疾患に対する外科的治療開発の基盤となる重要な知見と考えられる。 -
迷走神経刺激療法有効性事前判定のためのてんかん発作軽減効果予測手法の開発
研究課題/研究課題番号:26870314 2014年4月 - 2018年3月
藤原 幸一
担当区分:研究代表者
配分額:3900000円 ( 直接経費:3000000円 、 間接経費:900000円 )
難治性てんかんの治療法の1つに迷走神経刺激療法 (VNS) がある.VNSは手術で胸部に植込んだデバイスにより左頸部迷走神経を電気刺激することで,てんかん発作の回数や症状を軽減する緩和的治療法であり,半数の患者において発作回数が半減すると報告されている.しかし,その作用機序は未だ解明されていない.そこで本研究では,VNSの作用機序解明に向け,VNS施行患者の臨床データ解析を行った.解析対象データはVNS施行患者のEEGである.本研究では,脳活動を反映したEEGにVNSによってどのような変化が現れたのかを調べた.前頭葉のコネクティビティ向上がてんかん発作緩和に影響しているとの知見が得られた.