科研費 - 武藤 俊介
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逆空間走査多元分光による局在機能欠陥の高分解能立体構造/状態分析
2014年4月 - 2018年3月
科学研究費補助金 基盤研究(A)
担当区分:研究代表者
本研究の目的は,ナノ電子プローブを用いたビームロッキング下での複数電子分光(EELS, EDX,WDX, CL)に基づく新しい「立体的かつ定量」ナノ領域スペクトロスコピーを確立し,表面・界面を含む様々な格子欠陥の局所構造・機能解析に応用することである.本手法は,本来電子顕微鏡が持つ高い角度分解能を利用して,逆空間座標に依存する蛍光/吸収スペクトル情報を収集・解析するため,元素/原子サイト選択的であり,従来の二次元実空間結像/マッピングに比べ高精度の定量性を持つ.また周期構造から逸脱した格子特異点の選択的分析によって機能性材料分析への応用の道を拓く.特にナノ領域発光によるイオン化チャネリングパターン(ICP)解析に力点を置き,STEM分光法の三次元・空間/エネルギー分解能の飛躍的向上を目指す.
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ナノ電子状態解析のフロンティア開拓
2013年6月 - 2018年3月
科学研究費補助金 新学術領域研究(領域提案型) 計画班
担当区分:研究代表者
ナノ電子プローブを用いた分光法,すなわち電子エネルギー損失分光(EELS:伝導帯DOS),カソードルミネッセンス(CL:バンド間遷移)と軟X線発光分光(SXES:価電子帯DOS)を集約し,動力学的回折条件によるブロッホ波の対称性を利用して,ナノ構造を内包する試料の電子状態・光学的性質・磁性を,「ナノ分解能で,同じ場所から同時に,かつ元素・サイト選択的に」測定する.そして得られたデータをA01(ア)およびA02(エ)と共同で統計処理することで多角的な情報抽出を行い,共通の分光的特徴を持つ領域の空間分布の可視化を通じて「高角度分解能・多元電子分光」という新たな格子特異点の定量分析法を開拓する.
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複合電子分光顕微鏡による金属酸化物中のサブナノメートル欠陥の性質と構造
2002年4月 - 2005年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B),課題番号:14350340
担当区分:研究代表者
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軟X線領域複合電子分光が拓く高空間・エネルギー分解能物性診断
2005年4月 - 2009年3月
科学研究費補助金 基盤研究(A),課題番号:17206063
担当区分:研究代表者
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複合電子分光による機能元素電子状態解析
2007年8月 - 2012年3月
科学研究費補助金 特定領域研究 19053004
武藤 俊介
担当区分:研究代表者
高エネルギー電子をプローブとして、ナノサイズ格子特異点領域に配置した機能元素における電子状態を定量的に計測・評価そして可視化する.
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多元スペクトラムイメージによるナノ光学材料分析法の開発と応用
2009年4月 - 2012年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
武藤俊介
担当区分:研究代表者
本研究の目的は,高エネルギーナノ電子プローブによって試料各点から得られる二種類以上かつ多数のスペクトルに対して統計学的処理による情報抽出を行い,ヘテロ構造を持つ機能材料の光学物性を1ナノメートルの空間分解能で可視化する技術を確立し,実用光学材料解析に応用することである.これまで基盤研究等による助成によって段階的に確立してきた「複合電子分光による画像物性診断」の要素技術開発の最終段階に当たり,ナノ領域発光測定と三(四)元解析法の開発がその主眼である.
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ポリマーブレンド構成成分の無染色三次元イメージング技術の開発
研究課題/研究課題番号:21K18816 2021年7月 - 2023年3月
科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
武藤 俊介
担当区分:研究代表者
配分額:6370000円 ( 直接経費:4900000円 、 間接経費:1470000円 )
軽量で可塑性のあるポリマーを混合したポリマーブレンド/アロイは,様々なニーズに対応する機械/熱/電気特性を持つ新しい素材を無限に生む可能性を持つ.アロイ化された材料の成分のポリマーがどのような形態・構造で混錬しているか確認することは,その後の材料開発の重要な情報を与える.軽元素から成る高分子材料は,互いに密度や組成が似通っており,無染色で,かつ電子照射で容易に変質する.そこで本研究では、走査透過電子顕微鏡と電子エネルギー損失分光法に最新画像情報処理を組み合わせてポリマーアロイの各成分相をその化学状態とともにナノメートル分解能でイメージングする手法開発を行う.
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ナノ電子プローブ実・逆空間走査による統合データ駆動型材料物性解析
研究課題/研究課題番号:21H04616 2021年4月 - 2025年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(A)
武藤 俊介, 大塚 真弘, 齊藤 元貴, 志賀 元紀, 岡島 敏浩
担当区分:研究代表者
配分額:41990000円 ( 直接経費:32300000円 、 間接経費:9690000円 )
本研究の目的は,透過電子顕微鏡法(TEM)の持つ本来の強みを生かした独自の複合電子顕微分光法(Integrated Electron Microscopic Spectrometry: IEMS)による材料中の様々な格子欠陥の構造及び基礎物性をナノメートルスケールで(しかし強く電子ビームを絞らずに)高精度定量計測する新機軸ロバスト手法を確立・検証そして応用することである.また放射光分光との連携によってマルチスケール・マルチモーダルなデータ駆動統合型計測の枠組みを構築し,広く世界に発信する.
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理論・計算・データ科学による蓄電固体界面イオンダイナミクスの機構解明 国際共著
研究課題/研究課題番号:JP19H05815 2019年7月 - 2024年3月
日本学術振興会 科学研究費補助金 新学術領域研究(研究領域提案型)
担当区分:研究分担者
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質量分析機ー反応科学TEMによる新しい原子レベル触媒反応オペランド測定法の開発
2019年7月 - 2021年3月
科学研究費補助金 研究成果公開促進費 (研究成果公開発表)
武藤 俊介
担当区分:研究代表者
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質量分析機ー反応科学TEMによる新しい原子レベル触媒反応オペランド測定法の開発
2019年7月 - 2021年3月
科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
武藤 俊介
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
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理論・計算・データ科学による蓄電固体界面イオンダイナミクスの機構解明
研究課題/研究課題番号:19H05815 2019年6月 - 2024年3月
科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
館山 佳尚, 中山 将伸, 武藤 俊介, 井上 元, DAM HieuChi
担当区分:研究分担者
蓄電固体材料内の界面では、しばしば特異的なイオンの振舞い(輸送や蓄積)が観測されている。これらは界面付近の電子状態、構造および可動イオン状態の変調が絡み合って生じると予想されるが、既存の電気化学・半導体物理の理論ではこのような複雑な相関を扱うことは未だ難しく、そのメカニズムはわかっていない。本研究では、ナノスケール第一原理計算、高精度メソスケール計算、サブミクロンスケール実験データに関するデータ駆動型AI解析を有機的に組み合わせることでイオンの振舞いをマルチスケールで明らかにする。さらに得られた知見をもとに、電子状態・イオンダイナミクスの相関をより高度に扱える界面理論の構築に取り組む。
蓄電固体界面のイオン変調に関して、多様なスケールの先端的計算科学・データ科学解析アプローチを開拓し、さらに実験研究と緊密な連携の下、界面付近のイオン状態・移動に関する新規な知見を多数獲得した。
第一原理・古典力場計算のアプローチでは、これまで開発してきた界面構造高効率探索手法をLi/LATP/LCO界面などの電極ー固体電解質界面に適用し、界面安定構造に加えて、電子移動・イオン移動及びその温度効果に関する計算予測を試み、実験により予測性に関して一定の評価を得た。またNASICON系固体電解質材料などの粒界イオン伝導に着目し、界面構造の特徴量としてイオンの結合長・結合角分布、ボロノイ図形を採用し機械学習解析を行った結果、粒界構造とイオン伝導間に相関があることが確認され、特に界面中の空隙構造に最適値があることが明らかになった。メソスケール計算では、弾塑性変形を考慮した三次元離散要素法のモデル構築を行い、実際の複雑構造内を対象に固体接触界面での反応輸送現象に強く影響する応力場の計算を包含した、電気化学反応と連成させた新規計算モデルの構築に成功した。本計算によりヤング率等の材料力学物性が充放電特性に及ぼす影響を検証した。データ科学系では、LATP/LCOモデル界面のSTEM-EELSスペクトラムイメージデータに対して、従来の非負スペクトル分解法における課題を回避する対数尤度最大化法を新たに開発し、適用した。これにより、界面抵抗の温度変化の起源を明らかにし、さらに計算から予測された界面イオン移動を実験的に検証した。またLiCoO2正極の充電放電過程におけるLi分布の3次元画像に対して分布の重要な特徴を自動的に発見できるAI解析手法の開発や、LNMO正極の硬X線分光タイコグラフィ法によるX線吸収微細構造(XAFS)2次元画像に対して、AI解析を行いLNMO粒子中の結晶相の特定に成功した。
計画研究A03では、蓄電固体界面の構造および電子・イオン状態の(1)計算科学解析、(2)計測データ等と連動したデータ駆動型AI 解析、その上で(3)蓄電固体界面イオニクスの学理構築を目標としている。
(1)に関しては、複雑な電極ー固体電解質、固体電解質粒界界面の高精度高効率サンプリング手法を複数開発し、界面近辺におけるイオン変調(空間電荷層)・イオン移動に関する計算解析および機械学習解析アプローチの確立に大いに近づいた。メソスケール計算に関しては固体間接触とその応力効果を考慮した計算モデルを新たに構築し、応力効果・塑性変形・体積膨張収縮を考慮したイオン輸送・電気化学反応解析が可能となった。(2)については、TEM薄片試料加工法やSTEM-EELS/EDX分析条件のノイズの取扱い最適化によるデータ処理技術がほぼ確立し、深さ分解XAFSデータの解析法の開発を進めている。さらに計測2次元、3次元画像に包含されているイオン変調の特徴を自動的に発見できるAI解析手法の開発を行った。これらの開発・確立した手法をもとに、(3)の学理構築に向けて、界面近辺におけるイオン分布・イオン状態変化、イオン移動・拡散に関して、様々な新規原理を提案してきた。さらにこれらを統一的に取り扱う電気化学ポテンシャル・化学ポテンシャル理論の再構築まで進んでいる。本研究課題開始時に比して、格段に界面イオニクスに関する新しい知見が増加しており、研究は順調に進展している。
実験研究と連携をさらに深化させ、蓄電固体界面の構造・イオン変調・電子状態に関する計算科学・データ科学研究をさらに加速させる。これまで主に扱ってきた電子的・化学的因子に加えて、力学因子・電気化学因子等の解析も深掘りし、界面イオニクスの学理構築に取り組むと共に、界面イオン輸送・イオン蓄積を促進する材料提案も目指す。
具体的には、これまでの計算研究から得られてきた、イオン・電子の電気化学ポテンシャルの描像を実験とより整合性の取れた形にすることで、界面イオン輸送の解析手法を確立する。さらに界面応力とイオン伝導パスの局所構造やネットワーク度の変化をも取り込んだイオン輸送の原理拡張を目指す。これらの微視的な理論解析に加えて、界面反応記述の基礎となる電気化学反応速度式の再考察も進める。さらに電極層構造など実用環境を想定したダイナミクスを対象に、充放電特性が予測可能なメソスケール計算モデルを構築する。
データ駆動型AI 解析側では、これまで開発してきたスペクトル分解法をさらに充放電後のモデル界面分析に適用し、界面層のナノレベルでのイオン移動、界面抵抗変化について詳細な解析を進めるとともに、微分位相コントラスト法による界面ポテンシャルの可視化技術、およびスパースモデリングによるEXELFS解析法の開発を進め、局所構造と電池特性の関連を明らかにしていく。さらに充放電過程における計測2次元、3次元画像に対して電気化学因子等を考慮した画像データ特徴の自動抽出AI解析手法の確立にも取り組み、界面付近でイオン移動描像のさらなる深化を目指す。
最終的に、蓄電固体界面科学の教科書を作成できるよう理論的な準備を今後も進めていく。 -
質量分析機-反応科学TEMによる新しい原子レベル触媒反応オペランド測定法の開発
研究課題/研究課題番号:19K22102 2019年6月 - 2021年3月
科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
武藤 俊介
担当区分:研究代表者
配分額:6370000円 ( 直接経費:4900000円 、 間接経費:1470000円 )
本研究は,ガス化学反応をリアルタイム原子レベル観察でその場観察すると同時に反応に関与する供給ガス及び生成ガスを検出する新たなオペランド測定システムを構築し,触媒反応研究における議論の中心の一つである反応活性点の特定とそのダイナミクスの解明を目指すものである.触媒反応の観察に実績を持つ名古屋大学超高圧電子顕微鏡施設所有の反応科学超高圧走査透過型電子顕微鏡(RS-HVSTEM)に高感度四重極質量分析計を装着して原子分解能で触媒粒子を観察すると同時にガス分子を検出するのみならず,電子エネルギー損失分光データにインフォマティクス技法応用によって表面ガス吸着分子のイメージングを行う.
本研究の目的は,ガス化学反応をリアルタイム原子レベル観察でその場観察すると同時に反応に関与する供給ガス及び生成ガスを検出する新たなオペランド測定システムを構築し,反応活性点の特定とそのダイナミクスの解明を目指すものである.
反応科学超高圧電子顕微鏡のガス環境セル排気ラインに四重極質量分析計およびガスクロマトグラフシステムを設置した.具体的応用事例として、自動車排気ガス浄化でも困難とされている窒素酸化物還元のためのモデル触媒であるZrO2担持Rh微粒子を用い,温度上昇に伴う微粒子表面の原子分解能TEM観察と酸化還元反応生成ガスの検出が実際に可能なことを示し、その詳細な過程の解析に成功した.
現在,S/TEM観察技術において最もホットな分野の一つが実際のデバイスの実動作条件を電子顕微鏡(TEM)内で再現して高空間分解能でそのダイナミクスを捉える「オペランド測定」である.TEM技術は,実空間での高い空間分解能において材料科学分野の他の実験手法を圧倒するが,標準分析装置の元素分析感度は1原子%程度である.そこで,ガス環境セルを設置した本学反応科学超高圧TEMに質量分析装置を設置し,実際に原子レベルでの構造変化観察と同時に微量反応生成ガスの検出に成功した.おそらく世界で初めて自動車排気ガス浄化触媒反応のダイナミクスを画像とスペクトルで同時に捉えることができ、反応機構の解明に寄与した. -
ナノ電子ビーム分光によるセラミックス一般粒界偏析機能元素の定量分析法開発
研究課題/研究課題番号:17K19101 2017年6月 - 2019年3月
科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
武藤 俊介, 大塚 真弘, 伊神 洋平
担当区分:研究代表者
配分額:6370000円 ( 直接経費:4900000円 、 間接経費:1470000円 )
本研究は、電子ビームロッキングによる結晶中不純物の占有サイト分析法と高度スペクトルイメージング法を組み合わせて,任意の方位を持った結晶粒界に偏析する機能性ドーパントの規則配列構造及びそれに伴う特有の電子状態を抽出し定量解析するロバストな手法開発の試みである.
収差補正機能を付加するためのビーム制御スクリプトを開発し、ビーム径を100nm以下にまで小さくした条件で平行照射することが可能となった。実際SrTiO3の結晶粒界に適用したところ、粒界偏析したYによるチャネリング図形が得られ、Yが特定の原子コラム上に存在していることが示唆された。これらの成果は日本金属学会学会報のレビューにまとめられた。
機能材料において、構成元素の正確なサイト占有率や微量ドーパントの占有サイトを定量的に正確に知ることは、材料設計上きわめて重要である。多くの場合、X線回折データにリートベルト解析を適用することが標準的であるが、ナノ構造を持っている場合、原子番号の近接した元素を含む場合など、この手法が適用できない場合も多い。本研究で開発した手法はこのような制限を一切必要とせず、さらに組成変化に伴う原子位置の変位や、電気的中性条件のために導入される陰イオン空孔の解析へと拡張可能である。実際現在最も民間からの分析依頼が多い手法となっている。 -
ナノ構造情報のフロンティア開拓-材料科学の新展開(国際活動支援)
研究課題/研究課題番号:15K21748 2015年11月 - 2018年3月
科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
田中 功, 柴田 直哉, 太田 裕道, 松永 克志, 武藤 俊介, 谷口 尚, 北岡 諭, 菅野 了次, 高草木 達, 津田 宏治
担当区分:連携研究者
本国際活動支援班では,国内外での国際会議,シンポジウム,ワークショップなどの機会に,領域メンバーやポスドク研究者,大学院生などが積極的に成果発表を行うことで,国際的な研究ネットワークの構築,その場への若手研究者の参加促進と,国際的な研究のリーダーシップを取ることに努めた.また,領域での成果をまとめた英文での書籍と雑誌特集号の出版および大学院生および若手研究者の海外派遣を行った.
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非弾性電子散乱における電子回折効果を顕在化したスピンモーメントナノイメージング
研究課題/研究課題番号:15H04115 2015年4月 - 2018年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
巽 一厳, 武藤 俊介, Rusz Jan, Spiegelberg Jakob
担当区分:連携研究者
本研究の目的は、わずか10 nmの結晶サイズで足る、物質中のスピン状態の新しい元素選択的計測法を構築し、スピントロニクス材料のナノスピンイメージングに応用することである。
電子磁気直線二色性信号(EMLD)は,スピンモーメントの大きなスピネル酸化物で有意な差スペクトルを計測した.特型EELS絞りを用いた電子磁気円二色性(EMCD)は,装置の不安定性により望みの信号を得られていない.鉄のL2,3端EELSを計測しそのデータを統計解析することで,理論予測された原子面分解能EMCDを実証した.これは,条件付きではあるが,目標に掲げた10nmの結晶サイズでのスピン状態の分析法を達成したと言える. -
ベンチレータ型絞りによる逆空間選択的位相干渉スピンナノスコピーの試み
2015年4月 - 2017年3月
科学研究費補助金
武藤俊介
本研究の目的は,磁性材料を通過した高エネルギー電子の回折面上の特定領域における位相干渉効果(電子磁気円二色性:EMCD)を利用して,実材料への応用を意識した軌道/スピン角運動量の定量的高空間分解能分布像を得るための試みである.特に従来のEMCD測定と異なり,強く絞った収束電子を使用することにより,既に確立している円偏光放射光によるXMCDと同等のS/N比を実現し,測定時間も一桁以上短縮されることが期待される.元素戦略の一つの柱である希土類フリー磁石開発には微細構造制御がその鍵となっているが,磁性発現の基礎的理解のためには結晶粒界,微小析出物などにおけるナノ領域での磁気物性測定実用化が不可欠である.本研究はこの目標に直につながる簡便かつ効果的な測定法を世界に先駆けて提案したい.
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ベンチレータ型絞りによる逆空間選択的位相干渉スピンナノスコピーの試み
2015年4月 - 2017年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 萌芽研究
武藤俊介, 巽 一厳, Jan Rusz
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
本研究の目的は,磁性材料を通過した高エネルギー電子の回折面上の特定領域における位相干渉効果(電子磁気円二色性:EMCD)を利用して,実材料への応用を意識した軌道/スピン角運動量の定量的高空間分解能分布像を得るための試みである.特に従来のEMCD測定と異なり,強く絞った収束電子を使用することにより,既に確立している円偏光放射光によるXMCDと同等のS/N比を実現し,測定時間も一桁以上短縮されることが期待される.元素戦略の一つの柱である希土類フリー磁石開発には微細構造制御がその鍵となっているが,磁性発現の基礎的理解のためには結晶粒界,微小析出物などにおけるナノ領域での磁気物性測定実用化が不可欠である.本研究はこの目標に直につながる簡便かつ効果的な測定法を世界に先駆けて提案したい.
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環境超高圧電子顕微鏡を用いた実装電池反応の原子レベルその場観察
研究課題/研究課題番号:26246006 2014年6月 - 2018年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(A)
田中 信夫, 菊田 浩一, 武藤 俊介, 齋藤 晃, 荒井 重勇, 吉田 要
担当区分:研究分担者
本研究では反応科学超高圧電子顕微鏡を用いて、①リチウム電池関連材料を酸化しない状態で電子顕微鏡観察する装置を開発した。②電池材料を加熱したり、電圧印加したり、雰囲気を変化させたりしてその場観察し、その劣化過程機構を原子レベルで研究した。③各種電池材料を走査透過電子顕微鏡を用いた電子エネルギー損失分光法で組成分布を、電子回折法で薄膜界面の歪解析を行った。
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電子磁気二色性による局所スピンモーメント測定技術の開発
2014年6月 - 2016年5月
科学研究費補助金 二国間交流事業共同研究
武藤俊介
担当区分:研究代表者
本研究の目的は,日-典(スウェーデン)協力による磁性元素の磁気モーメントの「定量的」ナノメートル分解能マッピングを可能にするためのナノ電子プローブを用いた磁気円二色性(EMCD)測定法を確立することである.2014年1月23日に本テーマに関するスウェーデングループとの共同研究論文がNature Communications誌(doi:10.1038/ncomms4138)に掲載され,特定の条件下でのEMCD定量測定に道筋をつけることができた.この論文発表を契機に「元素戦略-磁性材料研究拠点」からのアプローチがあった.そこで26年度からは,さらにこれを推し進め,数nmの空間分解能によって磁気モーメントの大きさの分布マップを作ることを目標とし,今年度はfeasibilityについて以下の二つの検討を行う:
①高密度磁気記録のための強磁性ビットマップパターンにおける磁気モーメントマッピングの試み:
Nature Communications誌に発表した新しい技術の応用を図る.理想的な系として,同じ磁気パターンの繰り返すビットパターン薄膜について,およそ数十ナノメートル四方の各ビットのエッジ部分の磁気モーメントマッピングを試みる.このためには名古屋大学の超高圧走査透過電子顕微鏡システムが必要である.同じエコトピア科学研究所の微細加工グループによって試料の作製・提供がなされる予定である.同じ試料について,ウプサラ大学の中加速電圧マシンでも測定を試みる.またエッジ部分の磁性予測のための理論計算は,ウプサラ大学側で実行される.
②ベンチレータ型絞りによる新しいナノ領域EMCD測定の試み:
すでにウプサラ大学Rusz博士による理論的な検 討によって,信号強度を飛躍的に向上させる試みが提案さ れている.図1(a)は,鉄の100晶帯入射条件における回折面上のEMCD信号分布である.これから予測されることは,図1(b)に示すようなベンチレータ型の絞りを回折面上に挿入することで,異なる符号のEMCD信号を選択的に測定することが可能となる.この手法はナノ電子ビーム走査と親和性が良く,STEMモードによるEMCDマッピング技術へと発展させることが期待される.絞りの挿入位置として対物レンズ絞り位置とEELS検出器絞りの二通りが考えられ,それぞれについて実際に実施することでそれぞれの特徴を詳細に検討する.
以上について主として名古屋大学側が実験を,ウプサラ大学側が理論を受け持ち,双方の若手研究者の交換を行うことで進めていく. -
逆空間走査多元分光による局在機能欠陥の高分解能立体構造/状態分析
研究課題/研究課題番号:26249096 2014年4月 - 2018年3月
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A)
武藤 俊介, 大塚 真弘, 巽 一厳,
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:41730000円 ( 直接経費:32100000円 、 間接経費:9630000円 )
本研究では,走査透過型電子顕微鏡に付随する様々な分光法を組み合わせ,同じ場所から同時に他種類のスペクトルを取得し,更にこの大量データを統計的に処理することによって,機能材料のナノ領域の物性分析及び化学イメージングのための手法を開発した.またこの手法を応用して,環境材料,エネルギー材料,磁性材料,生体材料などの実材料中の添加元素の占有サイト,占有率,化学結合状態を明らかにした.これらの成果は従来の回折的手法及び電子顕微鏡の技術ではなしえなかったものである.
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研究課題/研究課題番号:25106001 2013年6月 - 2018年3月
科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
田中 功, 松永 克志, 柴田 直哉, 武藤 俊介, 谷口 尚, 太田 裕道, 北岡 諭, 菅野 了次, 高草木 達, 津田 宏治, 足立 裕彦, 佐久間 健人, 髙野 幹夫, 森 博太郎, 樋口 知之
担当区分:連携研究者
総括班では,領域の全体的な研究方針の策定,企画調整,研究成果の適正評価,研究連携の円滑化・促進,公募による新テーマ発掘,若手育成プログラムの推進,公開講演会・シンポジウム等の企画・実行,海外のトップグループとの情報交換・協力体制構築,国民との科学・技術対話推進,産業界への情報発信などを行った.
また,個別の成果を統合し,新しい学術基盤の創成に貢献するために,領域代表者を編集者として,書籍"Nanoinfomatics"を出版した. -
研究課題/研究課題番号:25106004 2013年6月 - 2018年3月
科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)
武藤 俊介, 山本 剛久, 大塚 真弘,
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
配分額:150930000円 ( 直接経費:116100000円 、 間接経費:34830000円 )
本研究では、透過型電子顕微鏡を主軸にした各種付随分光法を駆使して固体材料の微小な局所領域の化学状態を分析、可視化する新たな手法を開発し、実用材料への適用にまで止揚することを目的とした。
特に細く絞ったナノ電子プローブを試料上で走査、またはロッキングする事によって分光スペクトルを場所または回折条件の関数として多数収集し、得られたいわゆる「ビッグデータ」に機械学習(インフォマティクス)の手法を適用し、異なる化学状態毎に状態解析と同時にその空間分布を可視化する技術を確立するに至った。 -
エネルギーフィルタ環境TEM による触媒表面ガス吸着/反応可視化
2013年4月 - 2015年2月
科学研究費補助金
担当区分:研究代表者
本研究の目的は,名古屋大学の反応科学超高圧走査透過型電子顕微鏡(RS-HVSTEM)を用いて金属触媒表面のガス反応(吸着,解離など)のナノメートルレベルでのその場可視化を試みることである.次項以下に示すように100Pa 程度のガス圧下で軽元素ガス分子の電子エネルギー損失スペクトル(EELS)は5-20eV の領域に特徴的な微細構造を示すことを我々は見いだした.この大きな強度を持つスペクトルを使ったエネルギーフィルター像によってガス分子を可視化する事を着想した.これまで環境TEM における触媒反応のミクロ可視化としてまさしく待ち望まれてき,
反応活性点の明快な特定とそのダイナミックな可視化という課題に切り込む. -
ナノプローブを用いたS/TEM内インターカレーション過程その場観察の試み
2011年4月 - 2013年3月
科学研究費補助金
担当区分:研究代表者
本研究の目的は、TEM用STM測定試料ホルダーを改良し、インターカーレーション反応過程をナノスケールでその場観察・化学状態測定を行うことを試みるものである。その具体的かつ喫緊の要求が高い応用例として次世代リチウムイオン電池正極活物質として期待されているLiFePO4の充放電過程におけるリチウムイオンの移動とそれに伴う構造相転移を透過型電子顕微鏡(TEM)と電子エネルギー損失分光(EELS)によってその場観察し、そのための試料マニピュレ-ションシステムを開発することにある。
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局在水素の電子分光間接イメージング法の開発
2008年4月 - 2010年3月
科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究
武藤俊介
担当区分:研究代表者
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Pixon型信号処理による微量軽元素の電子状態分析法の開発
2006年4月 - 2008年3月
科学研究費補助金 萌芽研究,課題番号:17656204
担当区分:研究代表者
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高エネルギー電子ビームによるチェレンコフ発光を用いた新しいサブナノ領域分析
2003年4月 - 2005年3月
科学研究費補助金 萌芽研究,課題番号:15656153
担当区分:研究代表者