科研費 - 川部 勤
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オンライン試料前処理能を備えた流れ分析法による次世代呼気診断の開拓
研究課題/研究課題番号:23H01993 2023年4月 - 2026年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(B)
担当区分:研究分担者
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細径集積化センサデバイスによる肺内部での換気計測システム技術の開発
研究課題/研究課題番号:22K12770 2022年4月 - 2025年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
式田 光宏, 川部 勤
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
本研究では,肺内部での呼吸メカニズムを解明することを目的とし,呼吸状態を示す二つの物理量(「流量」と「圧力」)を計測可能にする「細径集積化センサデバイスを用いた換気計測システム技術」の実現を目指す。具体的には,マイクロ工学を医学に展開し,かつセンサデバイス素材として新たに銅張積層板を用いることで,本基板上での流量センサと圧力センサの集積化を可能とし,肺内部に挿入可能な細径集積化センサデバイスを実現する。そして開発したセンサデバイスにて,肺内部での肺胞の弾性(肺の膨らみ易さ),気道内抵抗(空気の通り易さ)を計測可能にし,世界に先駆けて末梢気道での呼吸メカニズムを解明することを目指す。
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研究課題/研究課題番号:22K05177 2022年4月 - 2025年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
山本 敦, 松島 充代子, 川部 勤, 小玉 修嗣
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
ラットを使った予備実験において、呼気中の薬物量と高い相関があったのは肺での薬物濃度であった。EBAは肺胞被覆液が飛沫化して生成されるというのは定説となっており、本来は同じ濃度を示すはずである。ラットエアロゾル体積が不明なため濃度が算出できていないだけのことである。まず、ヒト呼気を使い、パーティクルカウンターで測定されたEBAの粒度分布から求まるEBA体積の妥当性を検証する。次いで、ラットEBAが測定可能な装置、あるいは測定手法を確立することで、呼気中薬物濃度の算出法を確立する。最終的には、ヒト呼気中の薬物濃度を測定することでTDMの可能性を見出す。
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ストレスセンシング機構を標的としたフラボノイドの細胞保護作用発動機構の解明
研究課題/研究課題番号:20K11529 2020年4月 - 2023年3月
松島 充代子
担当区分:研究分担者
フラボノイドは天然の機能性成分で、多彩な細胞保護効果を示す。本研究ではフラボノイドは共通した起点となる細胞膜でセンシングされ、普遍的な生体防御機構を誘導すると考え、細胞がフラボノイドを感知するストレスセンシング機構を探索・同定し、フラボノイドの多彩な細胞保護効果の発揮の出発点となる分子機構を解明する。
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マクロファージを主軸とする自然免疫応答から探求する傷害組織の修復機構の解明
研究課題/研究課題番号:20K07824 2020年4月 - 2023年3月
川部 勤
担当区分:研究代表者
配分額:4420000円 ( 直接経費:3400000円 、 間接経費:1020000円 )
マクロファージの組織の修復機転、特に死細胞を貪食処理するエフェロサイトーシスに自然免疫の環境がどのような意義を持つのか、マクロファージの他、修復機構に重要な働きをすると考えられる、傷害部位の組織構成細胞や自然リンパ球がどのように協働しているかを解明する。本研究により解明される有効な修復機構を誘導することで、組織傷害に対してより完全な修復・治癒機転の招来をもたらす。
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呼気凝集液(EBC)分析法の開発と呼吸器疾患の診断への応用
研究課題/研究課題番号:19H02751 2019年4月 - 2022年3月
手嶋 紀雄
担当区分:研究分担者
呼気ガス中の一酸化窒素は,気道炎症の程度を診断するバイオマーカーとしてすでに臨床応用されている。しかし呼気ガスをサンプルとする限り,揮発性の化学物質を分析対象とするほかない。そこで呼気凝縮液(Exhaled Breath Condensate, EBC)を非侵襲なサンプルとして用いて,水溶性のバイオマーカーに分析対象を広げ,呼吸器疾患の検査診断に応用することを目的とする。そこで本研究では工・薬・医の連携チームを組織し,(1)EBCサンプリングの標準化・濃縮法,(2)EBCの希釈度補正法,(3)EBC中の新奇マーカーの探索と呼吸器疾患診断に関する研究を行う。
2019年度は(1)呼気凝縮液(EBC)中の水溶性化合物の捕捉・濃縮を指向した固相抽出用の吸着剤の開発(村上・江坂・手嶋),(2)EBC中の酸化ストレスマーカーであるグルタチオンの定量法及びEBC希釈度補正法の確立を見据えた無機・陰イオンの同時定量法の開発(手嶋・江坂・中嶋・村上),(3) EBC分析のモデルとしてのラットを用いた動物実験(川部・研究協力者の松島)を行った。
(1)固相抽出用の吸着分離剤の開発:EBC内に存在する種々の化合物の捕捉を可能にするために,特に親水性化合物に対して高い捕捉能を有する固相抽出用の吸着剤の開発を中心に研究を進めてきた。検討の結果,核酸塩基やヌクレオシドに対して高い捕捉特性を有する親水性相互作用クロマトグラフィー(HILIC)として利用可能な吸着剤を合成・評価した。
(2)グルタチオン及び無機・陰イオンの定量:キャピラリー電気泳動(CE)-非接触型電気伝導度検出(CE)-レーザー誘起蛍光検出(LIF)法を採用した。その結果,無機陽・陰イオンはC4Dによって検出された。一方,グルタチオンの蛍光誘導体はLIFによって検出された。本検討では検出系の強化も重要な課題である。そこでキャピラリーチューブからの微弱な蛍光を高感度に検出するために,励起光源としてUV-LEDを用い,試料の蛍光を凹面ミラーとシリンドリカルレンズを用いて集光した後,μPMTの光電面に高効率で導入する光学系を考案・試作した。
(3)EBC分析のモデル実験:呼気に含まれる不揮発性の物質をEBC中で検討するモデルとしてラットを用いた動物実験系を検討した。もともと生体内に存在しない薬剤を投与し,測定できることを予備的検討にて確認し,本研究のもとで,EBCサンプリングの標準化・濃縮法,ならびにEBCの希釈度補正法の検討に動物を用いた解析法の可能性を広げた。
(1)固相抽出用の吸着分離剤の開発:EBC内に含有される親水性化合物は,呼気分析における標準化を進める上で重要な役割を担うものである。2019年度にこれら化合物の捕捉を可能にするHILIC型の固相抽出剤の開発を達成できたことから,EBCのサンプリング法を確立する足場が固められた。
(2)グルタチオン及び無機・陰イオンの定量:本CE-C4D-LIFシステムは,試料をアノードとカソードの双方から導入するこれまでに検討例が少ないユニークな手法である。本法により一回の泳動によって希釈補正物質候補である無機陽・陰イオンと酸化ストレスマーカーを同時に定量することが可能となった。一方,EBCのオンライン濃縮を指向して,CE-C4D法によるEBC含有の主要な金属イオン(5種),無機酸イオン(4種)の分離定量法を再検討した。すなわちこれらのイオンの分離及びμMオーダーでの検出を可能にする泳動液組成の最適化を行った。その結果,EBC中の様々な無機イオン,有機イオンを疾病・健康マーカーとして活用することを目的として,これらを必要感度で精度よく測定するための測定法の一つであるCE法の基盤をほぼ作ることができた。さらにキャピラリー内の試料量が超微量であるため,一般的な蛍光高度計の光学系では測定対象物質の検出が困難であった。そこで,上述の高効率な蛍光光学系を試作した。この検出器を用いることにより,EBC中に含まれる微量マーカーの計測が大いに進展すると期待される。
(3)EBC分析のモデル実験:EBC中の新奇マーカーの探索するために正常人や呼吸器疾患を持つ患者の気管支肺胞洗浄液中のプロテオミクスや肺組織のオミックス解析の結果に関する論文をもとに,EBC中で探索すべき新奇マーカーの候補について検討した。
(1)EBCサンプリングの標準化・濃縮法:2020年度にはEBCサンプリングユニットを開発する。まず研究協力者のPetr Kuban博士と連携し,市販の医療用シリンジ,ストローを用いる簡易型EBCサンプリングユニットを作成する。また,定量目的成分の捕捉・濃縮を考慮した2019年度の成果によるHILIC型固相抽出剤を用いてEBC中に含有される親水性化合物の前処理手法の開発を進める。これまでの検討により,各種のHILIC型固相抽出剤の捕捉特性が評価されており,目的成分毎に最適なHILIC型固相抽出剤の開発を行う。
(2)EBCの希釈度補正法と目的成分の高感度分析法:前述の無機イオンを,さらに高感度に分析するため,オンラインCE濃縮法を導入し,10倍以上の感度向上を目指す。一方で,より極低濃度なマーカー候補分子であるアクロレインさらには未知の候補有機イオンの検出を可能にするために,LIF検出法を併用する。アクロレインをモデル試料とした検討では,試作した検出器の感度や再現性の評価を行うとともに,EBC中に含まれる可能性のあるアルデヒド類の測定も検討する。
(3)EBC分析のモデル実験と新奇マーカーの探索:本研究のもとで確立されるEBCサンプリングの標準化・濃縮法,ならびにEBCの希釈度補正法を,小動物を用いた解析・確認系で検討するとともに,生命倫理委員会の承認のもと,ヒトでも確立したEBCサンプリングの標準化・濃縮法,ならびにEBCの希釈度補正法の応用を確認し,基盤が解析システムの構築後,EBC中の新奇マーカーの探索を行う。 -
末梢気道での呼吸計測を可能にする局所的肺機能計測システム技術の開発
研究課題/研究課題番号:18K04912 2018年4月 - 2021年3月
長谷川 義大
担当区分:研究分担者
本研究では,現代医学で未解明なる領域とされている末梢気道での呼気吸気メカニズムを解明することを目的とし,末梢気道での呼吸を定量的に計測評価できる「局所的肺機能計測システム技術」の実現を目指した.具体的には,今年度は,各種医療用ツールとのタンデム仕様が可能な外壁実装型チューブ状流量センサの開発を中心に,以下の研究課題に取り組んだ.
①医療用ツールとのタンデム使用が可能な外壁実装型チューブ状流量センサの開発:(1)H30年度に開発した呼吸計測用の流量センサの作製プロセスを一部改良し,センサ作製の歩留まりおよび信頼性を向上させた.具体的には,流量センサ素子の配線を一部共通化し,また配線間隔を見直した.作製したセンサの流量特性評価の結果,ヒトの呼吸周期(3.3s)に対して十分な応答性(20.2 ms)を得た.また,センサを設置する管の内径に依存しない流速とセンサ出力の関係を取得した.(2)医療用ツールと外壁実装型チューブ状流量センサとのタンデム化:R01年度は気管支流体抵抗の取得を目指し,圧力センサとのタンデム化を検討した.具体的には,市販のMEMS圧力センサチップ(2.5 mm角)を幅2.0 mmの樹脂板上に実装することで,気道内に挿入可能な圧力センサプローブを作製した.
②気管支へのセンサ挿入検討および動物実験による検証:動物実験の実施に先立ち,R01年度は模擬肺であるフローボリュームシミュレータを用いて,作製した流量センサおよび圧力センサプローブの流量および圧力計測機能を検証した.模擬肺から伸ばした計測用チューブに流量センサおよび圧力センサを挿入し,ヒトの呼吸を模擬した流量波形(例えば,一回換気量2.0 L,周波数0.2 Hz)を流し,流量と圧力の関係の取得が可能であることを確認した.今後データ解析を進め,気管支流体抵抗の取得法を確立し,動物実験を実施する予定である.
交付申請書記載の研究計画に従い,本年度は,①医療用ツールとのタンデム使用が可能な外壁実装型チューブ状流量センサの開発,②気管支へのセンサ挿入検討および動物実験による検証の二つの研究課題に取り組んだ結果,①に関しては,昨年度開発した流量センサ素子の改良を行い,信頼性および生産性の向上を果たした.そして作製した流量センサは,ヒトの呼吸周期に対して十分な応答性および流量計測機能を有することを確認した.更に新たなセンサデバイスとして,圧力センサプローブの開発(市販の圧力センサ素子を気道内に挿入可能なプローブ状に実装)を行った.②に関しては,作製した流量センサおよび圧力センサプローブを動物実験の事前検討として,模擬肺を用いて人の呼吸を模擬した流量波形により評価した.その結果,管内流れの流量および圧力の波形を得ることができた.これらの結果より,研究はおおむね順調に進展していると判断した.
今後については,当初の予定通り,以下の研究課題に取り組む予定である.
①医療用ツールとのタンデム使用が可能な外壁実装型チューブ状流量センサの開発:本テーマでは,これまでに開発した流量センサおよび圧力センサプローブの改良に取り組む.また,新たなセンサ(ガス,超音波など)とのタンデム化の検証を行う.具体的には,気道内局所部における酸素,二酸化炭素濃度を明らかにできるガスセンサとのタンデム化が可能か検証する予定である.
②気管支へのセンサ挿入検討および動物実験による検証
R01年度に検証した流量および圧力センサから得られた情報から,気管支流体抵抗の取得法の確立に取り組む.また,作製した圧力センサプローブをラビットなどの動物の気道内に挿入し,実際の動物における流量圧力波形の計測機能を検証する.それらの結果を①へフィードバックする.これらから,局所的な肺機能計測システムの実現を目指す. -
アセチルコリン作動系農薬による生体防御反応の誘導や攪乱作用に着目した有害性の解析
研究課題/研究課題番号:17K00547 2017年4月 - 2020年3月
川部 勤
担当区分:研究代表者
配分額:4680000円 ( 直接経費:3600000円 、 間接経費:1080000円 )
本研究ではAch作動系農薬であるネオニコチノイド系殺虫剤を中心に生体防御機構の誘導やマクロファージやT細胞の機能に及ぼす影響について検討した。検討したネオニコチノイド系農薬のなかでアセタミプリドが肺胞マクロファージの機能を修飾させることが明らかとなった。具体的にはTLR7を介した炎症惹起下においてアセタミプリドは炎症性サイトカインの発現と貪食能を低下させた。一方、HO-1の発現やオートファジーなどの生体防御機構の誘導はみられなかった。また、アセタミプリドはT細胞の活性化についてはほとんど影響を及ぼさなかった。以上の結果より、アセタミプリドは肺での生体防御反応に影響を及ぼす可能性が考えられた。
これまで神経系への影響が中心に解析されてきたAch作動系農薬が免疫系に与える影響について検討した。免疫応答は賦活化するとアレルギー性疾患や自己免疫疾患を発症させ、抑制されると免疫不全状態として感染症や免疫監視機構の減弱化による悪性腫瘍の発症に繋がる。ACh作動系農薬が及ぼす免疫応答の撹乱作用を明らかにできれば、新たな神経系と免疫系のネットワークを構築でき、また農薬をもとにした治療薬の開発が期待できる。 -
呼気を用いる非侵襲的薬物動態解析法に関する研究
研究課題/研究課題番号:15K07903 2015年4月 - 2018年3月
山本 敦
担当区分:研究分担者
テオフィリンを投与したラット呼気からの薬物回収法を確立した。ラットの場合、時間当たりの呼気排泄量が不明のため、呼気量の指標物質の検索が課題として残った。
花粉症治療薬フェキソフェナジンを服用したヒトでの呼気実験では、血中と呼気中の薬物濃度に相関が認められなかった。薬剤の拡散や能動的な移送が大きな相違を生じさせていた。ヒト呼気はインピンジャーを使った呼気凝縮液を使用したが、この方法でのエアロゾル捕集効率は低く、ろ過膜捕集法への転換が課題として残った。 -
フラボノイドの作用起点である細胞膜の役割と多彩な細胞保護効果の発現機構の解明
研究課題/研究課題番号:15K08228 2015年4月 - 2018年3月
松島 充代子
担当区分:研究分担者
フラボノイドは野菜や果物に多く含まれ、さまざまな細胞保護作用がある。これまでに我々はフラボノイドのひとつであるケルセチンがNrf2-HO-1の活性化を通して細胞保護作用を示すことを明らかにした。本研究ではフラボノイドの作用機序として、細胞が最初に外界から刺激を受ける細胞膜、特に脂質ラフトに注目し、ケルセチンの細胞保護作用における細胞膜変化の関与について検討した。その結果、ケルセチンは細胞膜内のコレステロールを減少させることで細胞膜の構造変化が誘導することが明らかとなった。また、これによりcaveolin-1とNrf2が細胞膜から核へと移行し、HO-1の発現誘導を引き起こす可能性が示唆された。
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呼吸器系末梢気道でのその場計測を可能にするカテーテルセンサ技術の開発
研究課題/研究課題番号:26286034 2014年4月 - 2018年3月
式田 光宏
担当区分:研究分担者
本研究では,末梢気道での病態形成メカニズムを解明することを目指し,末梢気道でのその場計測技術を開発した.先ず,局所空間での気流計測を可能とする気流センサ技術の高性能化を図った.そして気流センサのシステム化として,(1)医療用バスケット鉗子を用いた「気管支内での気流センサ固定化技術」を確立し,気道内にて気流センサを位置決め固定し,呼吸を定量的に計測できる見通しを得た.また (2)ファイバースコープ一体型気流センサによるその場観察及びその場呼吸計測技術を確立し,ラットの気道に接続したアダプターチューブ内にて,光ファーバーによるその場観察と,気流センサによるその場呼吸計測が可能であることを実証した.
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肺内部での吸気呼気計測を可能にする超小型カテーテル流量センサの開発
2011年4月 - 2014年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
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間葉系幹細胞の多分化能と免疫寛容を有効利用する再生基礎研究
2010年4月 - 2014年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
鳥橋茂子
担当区分:研究分担者
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心大血管術後の筋蛋白分解を抑制する電気刺激療法の開発
研究課題/研究課題番号:22300186 2010年 - 2012年
山田 純生
担当区分:研究分担者
【研究1】心臓外科術患者の術後早期における筋タンパク分解を、 尿中に排泄される骨格筋の筋タンパク分解指標(3-methylhistidine/Creatinine;3MH/Cre)ならびに術後筋力変化より明らかにした。【方法】待機的に心臓外科術を受けた患者37名を対象とし、 術前後の血中Interleukin-6 (IL-6)、cortisol、growth hormone (GH)、IGF-1、BCAA、AAA、呼吸筋力、握力、膝伸展筋力、ならびに術後の24時間尿中3MHを計測し、各指標との関係を検討した。【結果】IL-6、cortisolは術後上昇し(P<0.05)、IGF-1/GH、 BCAA/AAAは低下し(P<0.05)、術後の異化亢進状態が確認された。尿中3MH/Creは術後4日目まで増え続け、5日目で下降した。その累積値はIL-6産生量や術後の膝伸展筋力と有意に相関した。【まとめ】心臓外科術後の異化亢進は術後筋タンパク分解や筋力低下と関連する。【研究2】心大血管外科術直後からの電気刺激(ES)介入の実行可能性と、術後筋タンパク分解に対する抑制効果を非ランダム化比較試験で検討した。【実行可能性】平成23年11月より取り込んだ連続症例68例を調査した。手術翌日よりES介入を2週間施行した。ES施行中の有害事象はなく、実行可能性の判定基準にも抵触する結果はなかった。【非ランダム化比較試験】 ES介入群32例と肥満度、炎症性サイトカインでマッチングした対照群32例を比較した。3MH/Creは手術翌日値に対する術後2~5日目の値の比を用いた結果、 ES介入群では介入群で対照群より有意に低値を示し、 筋力は介入群ではほぼ低下は認められなかったが、 対照群では術前比85%まで低下した。【まとめ】ES介入は心大血管外科術直後より安全に実行可能であり、術後筋タンパク分解の抑制ならびに筋力低下予防効果を有するものと思われた。
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フラボノイドによる抗アレルギー活性の新規作用機序の検討
研究課題/研究課題番号:19590554 2007年 - 2008年
高木 健三
担当区分:研究分担者
健康補助食品として知られているフラボノイドは抗アレルギー作用など様々な効果を持つことが知られているが、その作用機序については不明であった。本研究によって、フラボノイドの一種であるミリセチンおよびケンフェロールは肥満細胞においてHO-1 の発現および活性を増加させることにより抗アレルギー作用を示すことが明らかとなった。
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出生直後のwell-being新生児の呼吸確立援助についての科学的検証
研究課題/研究課題番号:19791649 2007年 - 2008年
高橋 由紀
担当区分:その他
正期産で健康に出生した新生児を鼻腔口腔咽頭吸引群(13 名)と非吸引群(13名)に無作為割付し比較した結果、酸素飽和度と心拍数の安定に要する時間に関して両者の間には統計学的な有意差はみられなかった。
これは慣例的な吸引の実施は再考すべきであることを示唆するものである。
また、健康な新生児43 名を対象に唾液中コルチゾール濃度の測定を試みた結果、出生後漸減することが明らかとなり、新生児の出生直後のストレス評価に有用である可能性が示唆された。 -
マウス・コンソミック系統群に見出された統合的致死現象の原因遺伝子の解析
研究課題/研究課題番号:19650105 2007年 - 2008年
萌芽研究
大野 民生
担当区分:研究分担者
コンソミック系統(A/J-7A^<SM>)の妊娠雌を帝王切開して得た産仔の詳細な観察を行った結果、D7Mit125-D7Mit355の領域がSM/J系統のホモ型となっている個体は一切蘇生しなかったが、その領域がA/J系統とSM/J系統のヘテロ型やA/J系統のホモ型となっている個体はともに約70%の個体が蘇生した。したがって、死亡原因は呼吸障害によると考えられたが、当該領域がSM/J系統のホモ型となっている個体の肺の組織学的な観察では、明確な異常が認められなかったため、呼吸障害は肺の異常以外に呼吸中枢の異常による可能性も推定された。A/J系統とSM/J系統を起源として樹立された23系統のSMXAリコンビナント近交系群のSDP(Strain Distribution Pattern)を構成するマーカー数を増やしてより詳細なSDPを構築し、Chr.7の中央部のSM/J系統由来の領域と相互作用して致死現象を起こすA/J系統由来の遺伝子の存在領域を再検証したが、目的とする領域はなかった。したがって、SM/J系統のChr.7の中央部に存在する遺伝子とA/J系統由来の遺伝子が相互作用して致死に至るのではなく、コンソミック系統作製の過程でSM/J系統のChr.7の中央部に存在する遺伝子に起きた変異が致死現象の原因と考え、D7Mit125-D7Mit355の領域内に存在する遺伝子から欠損マウスが致死となることが知られているIlk遺伝子について塩基配列と遺伝子発現を調べたが全く異常がなかった。次に、機能が不明であるが肺で強発現することが知られているDchs1遺伝子の発現を解析したところ、当該領域がSM/J系統のホモ型となっている個体ではこの遺伝子がほとんど発現していないことが判明し、この遺伝子に起きた何らかの変異がA/J-7A^<SM>系統の致死を起こしていると推定された。
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先端融合領域イノベーション創出拠点の形成、分析・診断医工学による予防早期医療の創成
2006年4月 - 2009年3月
科学研究費補助金 科学技術振興調整費
2006-2008 平野眞一、2009 濵口道成
担当区分:研究分担者
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気管支喘息の遺伝子治療のための基礎的研究
2006年 - 2007年
科学研究費補助金 基盤研究(C)
担当区分:研究代表者
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肺癌治療における薬物トランスポーター遺伝子多型の研究
2005年 - 2006年
科学研究費補助金 基盤研究(C)
長谷川 好規
担当区分:研究分担者
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遺伝子欠損マウスを用いた閉塞性細気管支炎の病態研究
2002年4月 - 2004年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
担当区分:研究分担者
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SMXAリコンビナント近交系マウスを用いたアレルギー遺伝子の同定と解析
2000年4月 - 2002年3月
科学研究費補助金 特定領域研究(C) ゲノム医科学
長谷川好規
担当区分:研究分担者