科研費 - 中川原 育子
-
研究課題/研究課題番号:21K00186 2021年4月 - 2024年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(C)
勝木 言一郎, 中川原 育子, 荒木 臣紀, 谷口 陽子, 高嶋 美穂, 岩田 朋子, 宮田 将寛
担当区分:研究分担者
本研究の目的は、東京国立博物館が所蔵する大谷探検隊将来品を中心に西域美術コレクシ
ョンを再評価することにある。
これらの多くは受入当時のまま、作品の主題や製作年代が更新されずに今日に至っている。実際、海外の西域美術コレクションや中国の石窟芸術に関する研究が進んでいる中にあって、その懸隔はあまりにも大きい。
そこで本研究は、図像学や様式論などの従来の美術史的な方法を踏まえながら、蛍光X線分析による彩色材料の特定、ELISA法による膠着材の特定、高精細X線CTスキャンによる塑像の製作技法の解明など、近年、進展が著しい文化財科学による分析技術を駆使し、西域美術コレクションの見直しを図りたい。
第一に、2022年度、東京国立博物館に寄贈された菩薩立像について、調査研究を行った。まず菩薩立像の来歴を調査し、第三次大谷探検隊が敦煌を訪れた際にそれを収集し、その後、大谷光瑞の別荘であった二楽荘で保管されていたことが明らかとなった。また菩薩立像に対する美術史的な調査を行ったところ、その材質が塑造彩色であること、当時、大谷探検隊の輸送方法を考慮すれば、菩薩立像はかなり損傷を受けたと推察されるが、製作当初がよく残っていると判断されたこと、そして菩薩立像の様式が敦煌地域の菩薩像と合致することが明らかとなった。さらに菩薩立像に対し、CTスキャン撮影を行ったところ、菩薩立像の内部にいくつかの心材が組み合わされ、それに土が重ねられるなどの構造が明らかになった。
第二に、ドイツ・トルファン探検隊がクチャのキジル石窟(現在の新疆ウイグル自治区)で採取した壁画20面について、調査研究を行った。ドイツ・トルファン探検隊は採取した壁画の裏面を石膏で固める方法で壁画を保存し、そして採取した時期や場所を記録していた。それらの壁画には、当時の石膏が今日まで残っており、いずれもドイツ・トルファン探検隊の記録が確認できたことから、いつ、どの洞窟から壁画を採取したのかを調査した。
第三に、ホータンの寺院遺跡から出土した壁画断片11面、ストッコ断片などについて、調査研究を行った。とくに壁画については主題が不明なものが多かったため、その特定を進めた。
コロナ禍にあり、国内外の調査活動がかなり制限された。ただし、東京国立博物館に寄贈された大谷探検隊将来品の一つである菩薩立像、ドイツ・トルファン探検隊将来品であるキジル壁画、そしてホータン出土の壁画断片などを調査研究できたことにより、大幅な遅れにまでは至らなかった。
第一に、大谷探検隊が甘粛省敦煌地区から将来した菩薩立像について、文化財科学的な彩色の調査を行い、彩色材料を特定するほか、菩薩立像の製作地を特定する。
第二に、ドイツ・トルファン探検隊がキジル石窟で採取した壁画20面について、文化財科学的な彩色の調査を行い、彩色材料を特定するほか、壁画20面を採取した時期や場所、壁画の主題を特定する。
第三に、ホータンの寺院遺跡から出土した壁画断片11面について、文化財科学的な彩色の調査を行い、彩色材料を特定するほか、壁画の主題を特定する。 -
アフロ・ユーラシア内陸乾燥地文明の近代動態分析―「近代世界システム」との相克― 国際共著
研究課題/研究課題番号:17H01639 2017年4月 - 2021年3月
科学研究費助成事業 基盤研究(A)
嶋田 義仁, 坂田 隆, 中山 紀子, ボルジギン ブレンサイン, 中川原 育子, 石山 俊, 和崎 聖日, 児玉香菜子, 平田 昌弘, 縄田 浩志, 楊海英, 中村 亮, Oussouby Sacko, 古澤 礼太
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
配分額:1804000円 ( 直接経費:1600000円 、 間接経費:204000円 )
近代文明史は人類文明のアフロ・ユーラシア内陸乾燥地中心から西洋中心海洋文明中心への移動であった。西洋中心近代世界システム拡大には地域差があった:アフリカ90%、中東50%、中国20%。今日抵抗はさらに進んだ。社会主義中国は一帯一路政策で新グローバル文明構築を目指す。アフリカのアフリカ連合形成は近代ネイション国家を植民地主義国家としてアフリカ合衆国構築を期す。イスラーム主義拡大も近代国家体制をゆるがす。中東では旧帝国のトルコとイランの政治力、湾岸諸国の経済力が強化され、ISはイスラーム主義思想を拡散した。ウクライナ戦争と中国国内統治危機をはらみつつ、21世紀は新グローバル文明構築時代となった。
Afro-Eurasia was studied as a world of battles between two types of global civilization, old Dryland and new European Ocean ones. Three types of regional battle, Africa, Middle East and China, were analyzed. This is a new contri-bution for the systematic analysis of the actual Afro-Eurasian world. -
アフロ・ユ―ラシア内陸乾燥地文明の歴史生態人類学的研究 研究課題 国際共著
研究課題/研究課題番号:26257003 2014年4月 - 2017年3月
科学研究費補助金 基盤研究(A)
嶋田義仁
担当区分:研究分担者 資金種別:競争的資金
-
シルクロード・キジル石窟壁画の絵画材料・絵画技術の研究
2012年4月 - 2015年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
佐藤一郎
担当区分:研究分担者
本研究は、東トルキスタン(中国新疆ウイグル自治区)、クチャの郊外にあるキジル石窟壁画を対象に、現地に今なお残る壁画だけでなく、20世紀初頭探検隊によって持ち出されたベルリン・アジア美術館所蔵のキジル壁画片についても、高精細デジタル画像撮影を行い、それによって得られたデータをもとに以下の基層研究を行う。すなわち、①壁画に使用された絵画材料の自然科学的な調査・分析、②地塗り、彩色技法などの絵画技術調査、および美術史的再解釈、③壁画の支持体、地塗り、絵画層までを含む彩色復元を試みる。
-
*牧畜文化解析によるアフロ・ユーラシア内陸乾燥地文明とその現代的動態の研究
2009年4月 - 2014年3月
科学研究費補助金 基盤研究(S)
嶋田義仁
担当区分:研究分担者
アフロ・ユーラシア地域の乾燥地文明に関する総合的研究。牧畜文化の解析と全体像の構造的把握を目指す。乾燥地における人間生活の基本構造を整理し、乾燥地文明の4類型の内的構造とその現代的変容を解明する。
-
シルクロード・キジル石窟壁画の材料・技法の研究
2009年4月 - 2012年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
佐藤一郎
担当区分:研究分担者
-
インドから中国への仏教美術の伝播と展開に関する研究
1998年4月 - 2001年3月
科学研究費補助金 基盤研究B(2) 課題番号:
宮治昭
担当区分:研究分担者
本件急は、インド亜大陸で成立し、形成された仏教美術がどのように中国へ伝播し、その過程において、歴史的・民族的な背景のもとに変容し、また展開したかを、①浄土図、②大日如来と密教五仏、③変化観音の3つの図像を軸にして、具体的かつ実証的に跡づけ、その様相を明らかにすることを目的とする。
-
クチャ地域の石窟寺院の壁画に表された供養・寄進者像の性格について
1997年4月 - 1998年3月
科学研究費補助金 奨励研究A、課題番号:09710032
中川原育子
担当区分:研究代表者
本研究は、クチャ地域の石窟寺院壁画に表された供養・寄進する人物像の性格について、①銘文と歴史資料の調査研究、②図像分析、③比較研究の3つの方法によって、この地域の人々が石窟造営にどのように関わってきたのかを、具体的かつ実証的に跡づけ、明らかにすることを目的とした研究である。
-
キジル石窟の仏伝図の図像学的研究ー「託胎霊夢」から「初説法」までー
1995年4月 - 1996年3月
科学研究費補助金 奨励研究A、課題番号:
中川原育子
担当区分:研究代表者